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カスタマーサクセスの目線〜Salesforce界隈歴10年目の憂鬱〜#SaaSLovers

#SaaSLovers 秋のブログ祭り13日目は秋らしく、感傷的なタイトルでお送りします。すみません、そんなに憂鬱ではないです。カスタマーサクセスって難しいなぁと。
株式会社リゾルバ代表の佐伯(@yonyonsaeki)です。

はじめに

10年程に渡りクラウド/SaaS/PaaS特にSalesforce界隈のエコシステムに携わっています。

導入コンサルに始まり、Admin、アライアンス、CS、プリセールスと沢山の目線を獲得してきました。
(キャリアについてなどもし良ければ前回の寄稿もご覧頂けると幸いです)

サブスクリプション、カスタマーサクセス、The Modelなど近頃皆様が注目し、取り組まれているコンセプトや概念にネイティブに触れられるという意味では有り難いキャリアでした。

正直、コンセプトを体現できず、人と対立し、ウンザリすることも沢山ありました。これから同じ道を通る方も多くいると思います。

器用貧乏と言われればそれまでのキャリアですが
そんな僕なりの目線から、
我々が取り組んでいく"カスタマーサクセスというゴール"
をどう捉えているのか、について共有をさせて頂きたいと思います。


"カスタマーサクセス"の難しさ

僕にとってのカスタマーサクセスは顧客企業と共通で目指す事業のゴールです。(ポストセールスの部署/職種とされる場合もありますが、今回扱うのはコンセプト/概念の方です)

SaaSスタートアップを運営される皆さんの中でも

こんなにいい製品/サポートなのに何故売れないのか?と悩むセールスの方
丁寧にステップもご案内しているのに何故か活用が進まないと悩むCSの方

などもいらっしゃると思います。
提供サイドに目立った落ち度が無くても問題は起き続けます。

カスタマーサクセスの難しさは
提供サイドのサービス/スキルをいかに強めても限界がある、ということに尽きます。

自分達の持ち場でサービスや技術を磨くのは大前提ですが
それによって顧客の成功が実現される訳ではないと考えています。

こちらが頑張るだけじゃ駄目なんです。
顧客全体を捉え、処方するように部署や会社を超え様々なサポートを手配したり、外からどうにも出来ない時は促したりする必要があります。

この構造を捉えて対処しない限り、いくら頑張ってもサービスレベルは薄まり、不幸なPRJは増えるばかりです。


いかに"カスタマーサクセス"を実現するか?

カスタマーサクセスの実現は、それを支援する自分達が力をつけることだけでは成し得ないとしたら一体何をすれば良いのか?

10年間の取り組みにおける苦悩は、
"顧客の成功"の全体感を、とあるサービスの提供側という立場でいかに捉えるか、という戦いだったと思います。

顧客企業の役員含め、各ご担当に要望を聞いていくだけ、自社のソリューションを当て込んでいくだけでは答えは得られそうにありません。
顧客の顧客を含め、未来と現在を俯瞰的に、支援者として独自に捉え活動する必要がありそうでした。


顧客目線で考えない

禅問答染みてきますが
純粋にカスタマーサクセスを考えるには、
例えば「買っていただく」「ご要望にお応えします」という"商談精神"、"お客様精神"を超越するマインドを獲得しなければいけませんでした。


そんな時に出会い、背中を教えてくれた言葉があります。
Dreamforce(Salesforce主催のカンファレンス)でのMicrosoft CEOサタヤ・ナデラ登壇の一コマでした。

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"顧客にとっての価値は様々。完全なゼロサムゲームにはならない"(現地で聞いた佐伯なりの意訳)
そう言い切るナデラ、競合でもある相手を歓迎するマーク・ベニオフの姿にカスタマーサクセスプラットフォーマーの気概を感じました。

"「顧客に価値を与え、問題を解決していくうえで、ゼロサムでの解決策はない。幅広い選択肢を提供することが必要で、パートナーシップを組むことがそれにつながる」"
 (引用記事: https://ascii.jp/elem/000/001/052/1052827/2/)

その通りだと思いました。
自分達が最適である、そうあらなければいけない、という前提に立たず、
まずはフラットに、顧客の問題や解決策に向き合うマインドが整いました。

目の前の顧客から自社担当者や製品に向けられる要求にも動じないようになりました。
あとは顧客の課題を捉えて動くだけです。

顧客の課題を捉えるスキル

顧客ごとに異なる解決策/選択肢を考え、捉えるために
"マップ思考"(=全体を俯瞰するマップ図を元に捉えるべき課題の構造や場所を特定する)
が有用だと思っており、それに該当する図をよく作ります。
形は様々でも、有能なクライアントワーカーであれば誰しもお得意のフレームがあるはずです。

自分達のサービスやプロダクトを顧客の環境にJoinさせる感覚
例えば、IT軸でプロットしたフューチャーマップは、提供側のポテンシャルが顧客に伝わるだけでなく顧客にとっては、今自社にあるもの/別の取り組みが活かせることが伝わる意味で価値があります。

また、
"CRMを活用する前に顧客データの一元化そのものがボトルネックで別チームが検討中のため進められない"、とか、顧客にとって提案領域の取り組みの重要度/優先度設定を把握できるかもしれません。

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ナデラの言葉を再び借りますが、彼はこう言っています。

「私たちの業界を見て、これからどのようにこの業界が成功するのかと考えます。私たちのカスタマーに価値を提供する方法でしか成功することはできないでしょう。
私たちのカスタマーは、彼らにとって最も分かりやすく意味のある選択をするでしょう。そしてそれは、いつも同じ選択をするとは限らないのです。
彼らは異なるアプリや複数のプラットフォームを全て使用します。
プラットフォームのベンダとしては特に、互いに協力し、カスタマーが本当に困っていることを解決することが義務付けられています

類似製品に対する自社製品の優位性をWhyに持ってくるより、
顧客の置かれた環境に自社製品をWhyとして当てはめる方が
顧客にとって分かりやすく有意義です。


顧客のチームを補完する感覚

インプリのPRJ、オンボーディングの失敗、活用の頓挫、といったトラブル/クレームは後を立ちません。
例えば、僕はよくこんな図を使って課題の構造を捉えています。

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例:BtoBマーケ/セールスプロセスの刷新と導入をしたい

これだけやることがある中で(中身はちょっと適当です)、顧客は恐らく全ては見えておらず、出来る人もいません。
製品と導入を委託するとして、通常、点線に契約上の発注/受注点がくるとします。
顧客がどの程度、提案時の前提とした戦略/戦術に腹落ちしてるかは不明です。

一方で、顧客の目的は上位にあるのと
手段の提供サイドとしては、その構築力/製品力に注力するので中央にいけばいくほど関心度が薄まり、補正がかかります

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結果、関心事の違いが心理的なギャップを生みます。

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プリセールスにおいては顧客自身の課題抽出力や、支援側のソリューショニング力で、PRJにおいては要求定義力と要件定義力で、このギャップを埋めることになりますが、この分量が毎度変わる、または一方からしか行われないことがしばしばあります。

プリセールスとPRJで顔が変わる場合なんかは、実態以上に非常に大きな期待値落差が発生して感情的なトラブルがつきものです。

PRJの成功要因として語られるのはいつも人です。

-あそこは喋れるPMがいるから・・
-お客さんの現場の人が若くてリテラシが高く・・
-CIOの推進力と鶴の一声で力強く・・

「PRJは結局人がすべて」と言われる理由はここにあります。
ギャップを吸収する役割を担っている人が見えないコストやソリューションとなっています。(Trailbrazerの重要性は言わずもがな)

顧客ごとの"相性"を"運"にせず、を乗りこなすには、
距離的なギャップを近づけたり、手薄な部分を強めたり補完する支援を
自社やパートナ、顧客自身のチカラを使ってデザインする必要があります。
(自社のケイパビリティが小さかろうと、色んな力を使って努力する姿勢が重要です。)

この辺りのことは、ジュンヤさんのnoteにプロジェクト成功のルールとして書いてあった、と勝手に解釈しています。

営業出身の方がこれ書けるのは、カスタマーサクセスの目線だなと。


最後に

今回は名もなき僕の持論、
目線の共有でしたので正直お役に立つものかどうか分かりませんが、同志が見つかれば嬉しいなと思いますのでSNS等で絡んで頂けると幸いです。

カスタマーサクセスマネージャはカスタマーサクセスにコミットする全員です。

弊社ではこんな目線を基に、ユーザ企業サイド/提供サイドを力強く、繋げてカスタマーサクセスを実行するアドバイザリを少数精鋭、細々と行っています。

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カスタマーサクセスを目指す道は深く長い道だと思っています。
志あるクライアントワーカーの方は、自社や自分の力不足だけでなく顧客や他社/他者へ思うところも日々あるかと思いますが、
構造を捉え、チューニングし、共に、粘り強く取り組んでいきましょう。


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Twitter: https://twitter.com/yonyonsaeki

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Salesforce活用を軸としたITコンサルティング会社リゾルバを経営しています。 SIer技術顧問数社を担当。約10年Salesforce/Cloud界隈にコミット。ex-CSK,FLECT,Salesforce https://www.re-solver.co.jp/

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