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"セールスエンジニア"いりませんか?#SaaSLovers

人たらしのMiiTel小松さんに誘われたリレーブログ#SaaSLovers 16日目を担当します。
株式会社リゾルバの佐伯と申します。Salesforceエコシステムの改善を軸に今年1月よりコンサルティング事業を興しています。


Salesforce社の技術営業(SE)部隊に
昨年3月まで属していたこともあり皆さんの記事とは少ーし軸をずらして
SaaS企業における"技術営業の取り組み"について書きます。

すこーしニッチに聞こえるかもしれないですが、
今周りに技術営業がいない、必要としていない、としても

技術営業を"スキル"として捉えた際に、

SaaSビジネスに関わる多くの人にとって今後無関係ではないと思っています。

勿論エンジニアの方にとっては、ひとつの身の置き方(キャリア)としても是非読んで頂きたいですし、

営業やマネジメントの方にとっては今後の業績、組織拡大を目指す上でのファンクションとして参考にして頂ければ幸いです。

■自己紹介

手前味噌になりますが、Salesforce在籍時、技術営業として担当領域で関与売上高No.1を記録しています。
(2018年度中小企業領域(CBU)、自部門単独で扱える主力製品郡において。where句多めでごめんなさい。)

細かくはアレですが、従業員数百名企業を対象とする担当セグメントでACV1000万円前後の比較的Big Dealとされる案件中心に年間3億弱絡んでいました。
活動量だけでも感じとって頂ければ幸いです。

それまではというと、SIer中心にしつつ、かれこれ10年近くSalesforceに関わっており(ChatterもなくClassicの更に前のUIの頃から)

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Customer Successのビジョンのもとに会社や組織のファンクションをひょいひょい跨いでは連続的な課題に向き合う生活をしてきました。

あまり立場に陥らず、全体を捉えて役割を果たすこと、に拘りを持っています。

そんな意味では僕ほどTHE MODEL型組織で持つべきマインドについて腹落ちしているプレイヤーもいないのでは?!
なんて密かに思っています。

■技術営業はなくならない

さて、技術営業というお仕事ですが
「47%の仕事がなくなる?」としてちょっと話題になった論文の中で、今後なくならないお仕事として
なんと”702職種のうち14位”にランクインするほど、高度で人間的なお仕事とされています。(2013年のものなので大分前ですね)

【参考】オックスフォード大学の論文
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf   
(最後尾のAppendixにランキング表が載ってます)

(検索するといくつか取り上げたメディア記事が見つかります↑)

「なにくそ!」という職種の方もいると思いますが、職種の定義は大いに各自の認識とズレがあると思うので話半分に見てもらいつつ・・・

解説記事的には

“セールスエンジニアは営業職と技術職の両方をこなす仕事で、製品やサービスに関する技術的な知識を有しています。顧客からの技術的な解説やサポートが求められるため、コンピューターにはできない分かりやすく説明する能力が必要とされます。”


とのことで「マルチスキル&知識、専門的でありながら顧客寄りの仕事」といったところでしょうか。

と、これって、
SaaSに関わる
アドミンのあなたも、インサイド/フィールドセールスのあなたにとっても、

既にやっている、または大事に思っている、ことだったりしませんか?

要はこれを組織、職種として注力して取り組むかどうかの違いですので
"技術営業"的なスキルが皆さんの仕事、顧客にとって関連性も、重要性も高い
ことを感じて頂けるかと思います。

ではそんな仕事に組織で取り組む
技術営業のチームが、具体的にどんなことをするのか、
今後のSaaSビジネスにおいてどんな役割を果たすのか、
僕個人の経験交えて考えていきたいと思います。

■技術営業チームの役割

たくさん挙げてもあれなので、大きく2つ。

1.商談を前に進める

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画像引用:Salesforce社セミナー資料よりhttps://saleszine.jp/article/detail/712?p=2

商談の8つのフェーズをもとにすると2〜4のソリューショニングが主戦場でです。

1あたりで発生する初訪や一次ラポール構築、
5あたりで発生する組織攻略要素、6以降の交渉・クロージングについては後方で見守ることが多かったです。

逆に言えば、営業チームにとっては、
より上記したフェーズ(高度なリレーション構築)に注力できるようになる、
ということが言えるかと思います。

商談におけるコンテンツとも言える、提案内容を具体化して前に進めていく、ことが求められます。

スキル的には
仮説構築やヒアリングを通して、各顧客に対して的を得た提案を構成していくための
コンサルティングスキル

システム構成やデモンストレーションによる価値証明、座組みや計画をコーディネートするための
インテグレーション(IT/PRJ)スキル
をベースとしています。
実案件レベルでのパートナーエコシステムとの重要な接点にもなります。


2.営業セグメントやチームの数字を支える

自己紹介の通り、技術営業も売上高(ACV等)を主要な評価のベースとしています。

セグメントによって営業と技術営業のアサインRatioは違ってきますが、
(エンタープライズになると限りなくツーマンセルでのアサインに近づいていきます)

基本的にはある程度のチームやセグメントレベルの
営業組織を横断で支援するイメージです。

僕は常時6〜7人ぐらいの営業チーム、にアラインし、各営業の皆さんと目まぐるしくタッグ組んでました。

ですので、リソースに絞りをいれながら活動して行きます。
大きく2つのポイントを意識し、組織の営業パフォーマンスを引き上げます。

"面での支援"
業界・業種別の課題やソリューションをまとめた提案書、デモ、事例などのアセットや、営業部隊の武装を強化します。


結果として、各メンバーのReason to Call、Visit前仮説構築・ヒアリング、顧客個別課題の特定を間接的に支援します。

"クリティカルな支援"
チーム状況や各メンバーのパイプライン状況を見ながら、ポテンシャルのある顧客や初期の案件に深く入って行きます。

結果として、キーとなる商談に対してACVの最大化(BigDeal)、後続フェーズへ商談を引き上げ、受注見込の高い案件と量をパイプライン上に確保します。

このように担当セグメント、チーム全体の達成を、ファンクショナルに支援し、よりブレの無い強固なものにします。

提案の具体化やアセット化、ピンポイントでの支援、など
プロダクトマーケティングの方や営業企画、営業、営業Mgrの方でも当たり前にやられていることですよね。対象とするレベル感や範囲の違いだけです。

■これからのSaaSに技術営業が求められるワケ

敢えて2点に絞って、技術営業が今後求められる背景、理由を挙げてみます。

1つ目、コアプロダクトからWhole Productへ

ペインを捉えた、ビジョンと魅力あるサービスが次々立ち上がる中、
PMFに近い成長状態を迎えるサービスも増えています。

ビジョンに沿ってプロダクト・サービスの拡大展開、買収統合、アライアンスによるエコシステム、販売チャネルの拡大といった動きが出てきて、ソリューションも売り方も複雑化していきます。

ちょうど、先日13日目實川さんの記事でも、

“Reproは昨年の間はApp/Webで事業部が分かれてそれぞれのターゲットを開拓していたのですが、現在はマルチチャネルでのマーケティング強化ができる強みを活かした組織体制にする意味で事業部を統合しました“
“ペインが大きければ大きいほど高いお金を払う価値があります。そして一般的に、複数部署にまたがる問題はペインが大きくなります。複数の関係者が絡まることにより、案件が複雑化します。“

このように組織成長と変化を迎える会社さんも今後続くでしょう。
そして、単価をあげていくことへ取り組む局面では、複雑性への対処が必然になります。

営業活動自体が高度化していくので、そこに注力するため
にも提案パートの高度化を支える機能を何らかが担う必要が出てきます。

2つ目、技術そのものを知らないと発想できないソリューションがある

これはエンジニア出身だからこそ、強く思うことです。

ユーザ企業様含めBizサイドの方のITリテラシは非常に高くなったと思います。
IoTやAIといった技術のユースケースも言語化され実績も出来、身近なところではAPIといった概念によって、サービス間を連携する発想や会話も容易になってきました。(随分楽をできるようになりました)

一方で、新しい技術やツールがコモディティ化するまでに多少のラグがあることと、複数の技術を組み合わせて、全体の複雑なソリューションを書くには技術そのものの理解と、アーキテクト的な視点が必要になります。


例えばこんなイメージ(ややシステム寄りな表現の部分ですが)。大きく提案してるつもりが、実は提案が売り手のプロダクトの視野で小さくまとまり、意思決定を引き出すには、お客様環境内のシステムや業務間の接点がぼんやりして、攻略しにくい状態になることがあります。

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技術のリアルを知る人間がいれば、
製品スコープ外含め、既存の仕組みや配置を時には想像、ヒアリングしつつアライアンス先のソリューション含め広く、大きく描き出すことができます。

期待効果や活用によるトップライン貢献などだけを経営層に訴求しても、準エンタープライズ以降はクロージングできないため、複数部署に意思決定やソリューションがまたがる商談では

" 現状に即して実現可能であること、
競合に対していわゆるマルバツ表の多寡以外の表現で、自社製品の統合的なメリットを訴求すること"

が必要です。
(風呂敷や絵に描いた餅と揶揄されるものにしないことが重要になります)

エンジニア出身でなければ出来ない、という気持ちは1mmもありませんが

提案の発想の一つとして、技術やインテグレーションへの理解をベースに持っている方の営業参画、
というのは今後の世界では非常に重要になりますし、
営業系組織人材の多様性における一つの実例になります。


■メッセージ

最後に少し僕の大好きなWall to wall 提案(W2W)を引き合いに出しました。

営業はアート、という人がいます。

SaaSの発展とSalesTechの発展の相関は非常に強く、
科学的なアプローチそのものの検討や、結果としてより創造的な仕事の仕方への関心は高まっているのだと思います。

効率的に動き、顧客課題と向き合う中で
大きく発想し、具現化して顧客を巻き込んでいくのは最高にクリエイティブなことだと思います。

組織/職種を置くかはさておき、部分的にでも、スキルとしての技術営業の要素を組織や自身の仕事に取り入れてみたり、
エンジニアの方にとってはキャリアや能力開発の選択肢として参考頂ければ幸いです。

大変長くなってしましました。ご覧頂き有難うございました。

まだ始めたばかりですが、Twitter(@yonyonsaeki)もそこそこ更新しています。フォロー飢えていますので、良ければ繋がってください。

明日は、17日目 レセプショニスト颯人さんです。
引き続きお楽しみください。

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