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「最終的な負け」と「目の前の失敗」を混濁しない

ギリシア神話に登場する勝利の女神、ニケ。
その名が由来のNIKEのCMで、マイケル・ジョーダンは言います。

プロでミスしたシュート 9,000本
負けゲーム 300試合
ウイニングショットを外した回数  26回

今までミスしてきた。何度も、何度も、何度も。

だから俺は、成功する。


今回は、「最終的な負け」と「目の前の失敗」の関係について、解説します。

概要

・なにを達成したらそのビジネスに勝ったといえるのか?
・0.25万円を見誤る「人間の不合理さ」
・「必ず失敗しない」よりも「失敗も成功もある」を選ぶ、合理的理由
・失敗と破滅を分かつもの
・自分らしい勝ち負けを定義し、「負けない」重視で「勝つ」

「魔王討伐」と「平和な世界の奪取」

以前、僕はバフを発揮するために必要な要素として、「勝ち負け」を定義することとお伝えしました。

なぜ、わざわざ定義することが必要なのか?

たとえば、ゲームでは「最終勝利の定義」が与えられています。
ドラクエであれば「魔王を倒して平和な世界を取り戻すこと」が最終勝利の定義。

しかし、人生やビジネスはそうではありません。

あなたは、なにを達成したら最終的にそのゲームに「勝った」といえるのか?

この答えに窮するのであれば、以降がきっと、参考になります。

「勝ち負け」を定義するのが苦手。その理由

有名なコイントスの実験があります。

次の2つの選択肢があります。あなたは、どちらを選びますか?

1)1回コイントスをして、表が出たら2万円、裏が出たら5000円を得る
2)1回コイントスをして、表でも裏でも、1万円を得る

感覚的に、わたしたちは2)を選びたくなります。

しかし、数学的な期待値(=得られる値×確率の合計)では、2)が1万円なのに対し、1)は1.25万円です。

2002年ノーベル経済学賞受賞・行動経済学の先駆者ダニエル・カーネマンは、「大抵の人は金額が同じ場合、利得の喜びよりも損失の痛みをより感じやすいこと」を立証し、この傾向を「損失回避バイアス」と名付けました。

人は、「1でも2でもお金が得られる喜び=利得の喜び」より、「2で確実に得られる1万円から、損失する痛み」を感じやすいため、この不合理な判断をしてしまうのです。

つまり、「勝ち負け」を定義するのが苦手な理由は、「損失の可能性が可視化されてしまうから」です。

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失敗1回でやめると、中長期では負ける

ではもし、トスが100回だったら、どうでしょう?

1)100回コイントスをして、表が出たら1回2万円、裏が出たら1回5000円を、それぞれ得る
2)100回コイントスをして、表でも裏でも、1回1万円を得る

おそらく、(損失回避バイアスを知らなかったとしても、)1を選ぶ人が増えると思います。
1は裏が66回以上出ない限り、2を下回りません。

さらに、トスを1,000回、1万回、10万回……と増やしていったら?

「失敗もある選択肢」と「失敗が無い選択肢」の差は、どんどん大きくなります。

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こう見ると、目の前の「失敗もある選択肢」が、魅力的に見えてきませんか?

失敗≠破滅

とはいえ、破滅への道は避けるべきです。

「失敗すると再起不能になる」を選ぶ者は、「勇猛果敢」ではなく「愚か者」。
僕たちは大日本帝国軍の特攻から、そう学んだはずです。

ビジネスは、再チャレンジをほぼ許してくれますが、倫理観や仁義を欠いた行為は、その限りではありません。

他人の誹謗中傷はもとより、生まれや性別、容姿など相手にほぼ選択権の無い事柄は、選択肢として扱わないのが鉄則です。

たとえば、あなたが上司から宴席で「今日は無礼講だ!好きなだけ飲んで騒いでもいいぞ」と言われたとします。

嬉しくなって飲みすぎ、色々あって介抱される「失敗」はあっても、酔った勢いで上司自身やその家族を揶揄するのは、「破滅への道」です。

失敗もある選択肢を選ぶ際は、まず「失敗しても取り返しがつくか?」を考えましょう。

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あなた(たち)らしい、勝ち負けを決める

1歩目として、ぼくは「あなた(たち)らしい勝ち負けを定義すること」を、オススメします。

例えば、
「これから2年後に年収1,000万円になること」が勝ち。
「2年後に年収が300万円下がる」が負け。

「今後3年で、住んでいる地域から待機児童が50人以上減る」が勝ち。
「3年で待機児童が30人以上増える」が負け。

なにも、大層な理念やミッションを掲げる必要はありません。(法やモラルに反しない限り)「あなた基準」「チーム基準」でいいのです。

未勝利であれば、負けないように、試行を続けよう。

そうはいっても、「失敗もある選択肢」をとるのは、苦しいです。

合理的には「中長期的な勝ち」に向けて、失敗もある試行を続けるほうが有利なのは、前述のとおり。
それでも、損失回避バイアスから心情的には、怖さを感じるでしょう。

この予算だと、今度のコンペで負けるかも……?
ここから書き直して、締め切りに間に合うか……?
こんな提案して、あの人に嫌われないか……?

そこで最後に、思い出してほしいのです。

「バスケの神様」と言われたマイケル・ジョーダンですら、シュートを9,000本失敗し、試合に300回敗北し、ウイニングショットを26回外しています。


そして最後に、彼は言います。

だから俺は、成功する。

まとめ

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さいごに:お礼と次回予告

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
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次回は2021年09月11日(土)更新予定


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