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前野みづ
2022年3月30日 15:53
冬の縮みこむような寒さの頃を少しずつ体が忘れていき、まだ肌寒い気温の中にも太陽の陽気を含んだ風のやわらかさに触れると、季節の変わったことをそっと告げるようです。 殺風景だった木々の枝からは幼い若葉が飛び起きるように顔を出しはじめ、松などの針葉樹はその葉の色がより一層つややかになっていき、冬には見向きもしなかったその鮮やかさに驚かされる毎日です。 近所の小川沿いを夜に歩いていると、雲一
2022年3月16日 17:13
なにぶん桜の季節である。日本に住んでいると、「生命は大なり小なり咲き誇っていずれ散る」という人生観を植え付けられる。美しいものにはトゲがあって、桜はその美しさと引き換えに、そんな儚い人生観を受け入れさせる。 世の中、知らなくていいものばかり。くだらないものに目がくらむ。浦島太郎が竜宮城を知らなければ、なんと平穏に過ごしていただろう。余計な心配が、私の心をざわつかせる。そして美しいものは無責任
2022年3月2日 21:14
1890年、オディロン・ルドンは「目を閉じて」という題の絵を描いた。本当は画像を入れたかったが、フランスの著作権をよく知らないので文章だけの説明になります。すいません。 それでどんな絵かというと、男とも女ともつかない中性的な顔立ちをした長髪の人物が、半裸で水面から肩より上だけを出して、ただ目を閉じてるというもの。 色調は全体的にぼんやりと暗めで、そして水彩画のように淡い。しかし夜明け