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タロットとゲームと儀式が融合した『荒野へ -The Game of Tarot-』デザインノート

『荒野へ -The Game of Tarot-』
2019年ゲームマーケット秋であっというまに売り切れた幻の名作(自分で言うた)『荒野へ The Game of Tarot』がご要望に応えて新パッケージで再販です。

今回は「予約分+数個」しか持っていけそうにないので「欲しい!」という人は、ぜひ「取置予約」してください。
ゲームマーケット2022東京2022年4月23日(土)キ02「はらぺこゲームデザイナーズ」に、14時まで取置しておきます。取置予約した人は返信された合言葉を言ってもらえれば購入できます。
取置予約ページ

22枚のカード(大アルカナと呼ばれる)を使って闇山(潜在意識)から、カードを荒野(現実の場)に開いていく。ルールに従って、自分の血、未来の血過去もしくは今に流しながら、すべてのカードを荒野に開けば「達成」だ。

ソリティア(1人プレイ)を習得した後は、2人でプレイを楽しんでほしい。協力しながら、相手を出し抜き、血を奪い合う熾烈な戦いを象徴的に演じることになるだろう。
プレイの結果を使って、個人的なことがらや、ふたりの相性を占うこともできる。精神を集中して挑んでほしい。

儀式用大判カードと便利な小型カード2種封入。
マニュアルシート、ざっくり把握シート、チャレンジ問題。
タロットカード(大アルカナ)の意味・象徴解説シート付き。

以下、『荒野へ-The Game of Tarot-』デザインノート。

『荒野へ-The Game of Tarot-』デザインノート

タロットに本格的に興味を持ったのは1998年頃だ。
BAROQUE 歪んだ妄想というゲーム制作のために本格的にタロットについて調べ始める。

容量と制作の都合上、敵(異形と呼ばれる)が20体ぐらいしか作れないとなって、ならば、この世界になぜ20体ちょいしか異形が出てこないのかという設定があるべきだと考えた。そうしないと20体は少ないよーって印象になっちゃうからだ。
そこで、「上級天使と呼ばれる存在がタロットを模して、異形のものたち22体を生み出した」という設定にしたため、タロットについて調べる必要がでてきた。

タロットを調べ始めると、これは単なる占いの道具にとどまらず、イコノグラフィー、宗教、西洋絵画、象徴、思考ツール、ゲーム、システム、照応、人間心理など、無数の方向につながるブツだと気づき、修行のような調査を継続。

2012年にイベント「思考ツールとしてのタロット」を開催。阿佐ヶ谷ロフト等で、100人規模のタロットイベントを行う。また池袋コミュニティカレッジの連続講座「思考ツールとしてのタロット」を3シーズン開催。

一方で、ソリティア(ひとり用ゲーム)を作りたいと考えていた。トランプのソリティアに興味があり、あれこれ遊んでいて、もっとダイナミックなソリティアができないかと考えていた。

ソリティアの長所であり欠点は、プレイしているのがひとりだということだ。ひとりだから気軽に、他人の目を気にせずにプレイできる。自由だ。のびのびだ。
だが、一方で、インチキすらできてしまう。いや、インチキするとゲームが面白くなくなるからしないのだが、なぜ、なにをひとりでやってるのかと、ときに虚無が襲いかかる。

相手がいないから何のためにやってるのかを見失いがちなのだ。

いくつかソリティアを作っていたのだが、この虚無が訪れる瞬間は拭い去れなかった。

もう一方で、儀式を作っていた。「記憶交換の儀式」というイベントをやった。

タロットと、ひとり用ゲームと、儀式が、自分のなかで結びついた。結びついて、3つの良いところがお互いを補いあう新しい完成像が見えた。

それが『荒野へ -The Game of Tarot-』のコンセプトの誕生だ。

何のためにやっているのだろうというひとり用のゲームが抱える虚無は、「占いのため」という目的があると消えた。占いの結果を虚偽にしないためにも、ルールを守ってプレイせざるをえないのだ。

占いとしても、シンプルにカードを引くのではなく、自分の手でプレイしカードを並べ、並べ替えることによって、生み出されたスプレット(展開配置)であるために、運命に干渉したような刺激が生み出された。

それを「儀式」という形で統合することが可能になった。

ルールを作り、改善し、テストプレイしながら(ひとりでプレイできるので無限時間テストプレイできる快楽)、これは瞑想だと気づいた。
無心になれるのだ。

不思議な、いままでにない遊び心地のゲームだ。
ぜひプレイしてみてほしい。

以下、もう少し『荒野へ -The Game of Tarot-』について。

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