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木の話

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適材適所という言葉、今は人の配置などに使われていますが、本来はその名のとおり木材を適した場所につかうという意味の言葉でした。  日本人が古くから付き合ってきた木の良さ、木の面白…
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#森育

木の話14 地域の木の良さ

木の話14 地域の木の良さ

動物は自分が住んでいる場所に食料が少なくなったり気候が変わったりして住みにくくなったらどうしますか?はい、住みやすいところへ移動しますよね。

では、木はどうでしょうか?木は移動できません。

移動できない木は何百年も何千年も何万年もかけてその場所に適応していきます。気温や湿度、腐朽菌、害虫なんかにも。

そうやってその地域に適応してきた木だけがその地域に残っているわけです。

そう考えると、その

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木の話12 日本はサスティナブル?

木の話12 日本はサスティナブル?

日本は国土の67%が森林です。

これは先進国では2番めで、日本は世界で2番めの森林大国といえます。

国土に占める森林の割合、つまり森林率の世界平均は約30%といいますから、日本の森のある風景というのは世界的にみても珍しい景色なんですね。

ちなみに私は大阪生まれの大阪育ち。大阪の森林率は30%…。47都道府県の中で最下位です。大阪の景色は世界標準だったんですね(笑

その森林では一年に約800

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木の話11 光合成

光合成ってご存知ですか?…って、すみません、ご存知ですよね。

では、光合成をナニで学ばれましたか?
ナニで?というのもわかりにくいですね。ナニが言いたいかといいますと、私は光合成といえばジャガイモというイメージがあるのです。

光合成を初めて習ったのは小学校。
植物は日光と水を使って光合成をしてデンプンを作ります。そのデンプンはジャガイモになります。その証拠に、ジャガイモをすり潰したものにヨウ素

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木の話9 二残一伐

木の話9 二残一伐

小学生のころの夏休み、毎年和歌山のじいちゃんの家で過ごしていました。

川で泳いだり、魚を突いたり、海で泳いだり、田舎は大好きだったし、じいちゃんも大好きだったのですが、一つだけ嫌なことがありました。

じいちゃんは小さい山を持っていて、下枝を刈ったりする山の手入れにたまに連れて行かれるんですが、田舎の友だちと遊びたいボクはそれが嫌でした。

じいちゃんにすると、「山に連れてったるぞ!」と笑顔で言

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木の話8 木の変形

木の話8 木の変形

障子にスギを使うのは、日本の木材の中でも乾燥を十分にすれば、変形しにくい木であることから選択されたと思われます。

障子は建築物の中でも精度が必要な部材です。よって、木の変形などがあるとスムーズに機能しなくなります。スギは軽いしちょうど良かったんでしょうね。香りもいいし。

木はこのように、変形する、という特徴があります。寸法が変わってしまうということは特徴というよりも欠点である、とも言えますが…

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木の話6 日本書紀の木使い

ヨーロッパが石の文化と言われるのに対して、日本は木の文化と言われます。

世界的に言ってchina(チャイナ)、と言えば磁器のことですよね。

では、japan(ジャパン)と言えば?

答えは漆器です。漆(うるし)塗りのことです。
世界的にみても日本は木の文化なんですね。

どれぐらい木の文化かといいますと、日本書紀にさかのぼります。
日本書紀に、

「杉と橡樟の両樹は浮宝の、桧は瑞宮の、柀は奥津

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