ユヴァル・ノア・ハラリさんの児童書の感想

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。私は娘の夏休みが終わってホッとしています。

今回は、前回の記事でご紹介したユヴァル・ノア・ハラリさんの児童書『Unstoppable Us』の感想です。
読み始めた頃は大雑把な歴史の本かと思っていましたが、なかなか思想性の強い本でした。宗教や身分制度や国家や法律などはみんな人間が便利や効率を求めて創造した物語ーー「共同で見ている夢 ( shared dreams )」ーーで、格差や種々の差別といった社会の不条理というのは、それらの夢の創造のいわば副産物「予期せぬ結果 ( unintended consequences )」というのがハラリさんの主張。その上で彼は、より公平な世界のために、それによって悲しい思いをする人がたくさんいるような物語(たとえば、女性は劣った性であるとする教義)を捨てるといった取捨選択をしていこうと提案しています。
私は、世俗権威の牽制相手としての宗教権威の価値はその不合理性によってこそ保たれていると考えているので、ハラリさんの提案はちょっとずれているような気がしましたが、結論はともかく、本全体としては子供に深い思考を促す良い本だと思いました。11歳の娘も面白かったと話していました。

余談ですが、この本には「Breaking the Spell」と題された章があります。「(かけられた)魔法から自由になる」とか「夢から目覚める」みたいな意味です。人類共同で見てきた夢から目を覚まして、良い物語と悪い物語を客観的に合理的に選ぶ、あるいは創造していこうという主張がなされている部分です。私が自分用に読んでいる本の題名が一緒なので、ちょっと興奮しました。内容もちょっとかぶっています。ダニエル・C・デネットという哲学者の宗教についての本です。こちらもすごく面白いです。

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