カマウチヒデキ(読む人)

シミルボンに書いた本にまつわる文章(2016-2022)をここに上げていきます。 写真…

カマウチヒデキ(読む人)

シミルボンに書いた本にまつわる文章(2016-2022)をここに上げていきます。 写真家・雑文家・200字小説家 web magazine アパートメント 長期滞在者 https://apartment-home.net/author/kamauchihideki/

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200字小説「袋の話」

200字小説「ガガンボ」

200字小説「植物園」

200字小説「隠者」

200字小説「契る」

200字小説「帯」

200字小説「ヒ」

200字小説「発酵」

200字小説「縫い目」

200字小説「蝉」

200字小説「エキセントリック」

200字小説「うぶすな」

200字小説「時化」

200字小説「変奏」

降りてくる西宮

写真というのはたしかにどこか特定の場所を写しているのに、写ったものは常にどこかよそよそしい貌をしている。見慣れた通勤路、見慣れた河川敷、見慣れた信号、見慣れたコ…

藤田莉江写真集「クラムボン101」あとがき

rememberという単語には「思い出す」と「覚えている」の二つの意味があると習ったけれど、本当は意味が二つあるのではなく、日本語で「思い出す」「覚えている」と分けられ…

200字小説「ガガンボ」

200字小説「エキセントリック」

降りてくる西宮

写真というのはたしかにどこか特定の場所を写しているのに、写ったものは常にどこかよそよそしい貌をしている。見慣れた通勤路、見慣れた河川敷、見慣れた信号、見慣れたコンビニ。しかし写真になったそれらは必ずそれらの見慣れた記憶とはどこかずれている。 見慣れた西宮の光景が、初めて見たどこかのように写るかもしれないし、違う眼球から見た映像に見えるかもしれない。まぁあたりまえといえばあたりまえで、レンズという眼球から見てるからなのだが。 人が何かを「見る」とき、動員されるのは眼球だけでは

藤田莉江写真集「クラムボン101」あとがき

rememberという単語には「思い出す」と「覚えている」の二つの意味があると習ったけれど、本当は意味が二つあるのではなく、日本語で「思い出す」「覚えている」と分けられる記憶の作用を、英語ではその一語で包括するらしい。 よくよく考えてみれば「覚えている」から「思い出す」のであって、この作用に一つの言葉をあてるか二つの言葉に分けるかはその言語のクセのようなものに過ぎない。 一つの言葉にただ一つの意味が対応するわけではない。 他国語と比較したらわかりやすい話だけれど、日本語だけを