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本に関するコラム
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記事一覧

降りてくる西宮

写真というのはたしかにどこか特定の場所を写しているのに、写ったものは常にどこかよそよそし…

藤田莉江写真集「クラムボン101」あとがき

rememberという単語には「思い出す」と「覚えている」の二つの意味があると習ったけれど、本当…

カマタ君のこと

小学生のころ近所にカマタくんという知的障害のある同級生が住んでいて、そのお母さんがどんど…

言葉は嘘をつく、ただ視ろ!

『あさひなぐ』全34巻 こざき亜衣 小学館 少し前から、こざき亜衣の漫画『あさひなぐ』に没頭…

不味い!

最寄りのT駅の北側、賑やかな南側とは対照的に場末感全開の寂しい商店街(? と言っていいか…

地名の謎

『尼崎の地名』という、30年前尼崎市発行の本を古書で探して手に入れた。 (わたくし兵庫県尼…

後南朝の河が流れる

後南朝という時代に惹かれている。 後南朝、なんていう「時代」は、まぁ、ないのだが。 教科書にも載ってない。 足利義満の時代に南北朝の形の上での合一がなり、南朝・北朝から交互に天皇を決める(両統迭立)という取り決めがなされたあとに、その取り決めがあっさりと反故にされて北朝系の天皇ばかりが即位するようになった。 それを不服とする南朝の遺臣たちが、廃された南朝の皇統を担ぎ、50年以上に渡ってゲリラ的に騒動を繰り広げた。これを後南朝という。 最初はここシミルボンにも書いたことのある

美しい日本・・・語

たとえば東京から友達が遊びにくる。関西で面白いところといったらどこ、と聞かれて、関西が誇…

歩行飲食問題

唐突だが、僕は「歩きながらものを食べる」のが好きである。 歩きながらものを食べるなんて行…

面白くて退屈な

『阿房列車 』 内田 百間 旺文社文庫 内田百間のいいところは、ものすごく鋭敏で不気味な小説…

すまないが大島弓子が好きなのだ

川上未映子が大島弓子について書いた『大島弓子を読めないで今まで生きてきた』(『そら頭はで…

言葉と意味についてのあれこれ

その昔、演劇青年だった。高校の頃から演劇部に所属し、飽き足らず別劇団も作り、大学に入って…

破天荒のディテール

南方熊楠が好きで、関連書をよく読む。 偉そうに「南方熊楠が好きで」なんて言ってるが、実際…

物語は終わらない(終わらなくてよい)

昔、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズに熱狂した頃、新潮文庫から全10冊で出ているうち、9冊目まで読んで「ああ、あと1冊しかない!」ということにうろたえた。 すでに故人の作家であるから、読み終わってしまえば終わりなのである。新作は出ないのである。 煩悶の結果、10冊目の『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』を読まないことにした。 まだ読んでいないシャーロック・ホームズが1冊ある。 これを読まない限り、ホームズは終わらないのである。 高校生くらいのときの話であるが