見出し画像

パワーのある服

インスタグラムでは知人を一切フォローせず、フィードにはキレイなものや好きなことだけ現れるようにしていて、ソーシャルネットワーキングサービスの名前に反して、時折いいねをしあうだけの緩い関係を心地よく感じている。フォローしているのも好きなファッション誌が多く、流れてくる広告も見たくないものは積極的に評価をしてフィードに出てこないようにしている。そうしたら、現れる広告がほぼファッションと美容になり、それも厳粛に取り締まっているから絶対的に苦手なブランドの情報はまず出てこなくなっている。

そうしてわかったのだけど、今の日本の女性ファッションはほとんど同じ傾向なんだな、ということ。ブランドによって大きな差がほとんどなく、ゆるいシルエットのナチュラルでラフなワンピースだったり、アースアラーのセットアップばかりが広告としてフィードに登場するのだ。タップして詳細に飛ぶと、どれも素敵だし着心地はよさそうでわるくない。でも、本当にすべてがそれ。そして気がついた。

お洋服に関しては数年おきに突如自分的フィーバーが訪れる以外は、きわめてノンポリシーであり、ここ数年はショップに行って信頼する店員さんに「わたしに似合うものを薦めてください」と言っては、持ってきてくれるものをそのまま買っていた。それくらい、お洋服への情熱が持てなかったし、なんだか装うことに自分をあきらめていた。胸がときめくお洋服に、出逢うことができないでいたのだ。そして、薦められるままに買った服をまとっても当然愛着などなく、「なんだか…あんまり好きなジャンルじゃない…」と内心で思いながらも、“傾向”、“トレンド”というものの下に追従する他ないと思い込んできたのだ。それでもって結構な高価格で、せっかく大枚はたいて買った服を愛せないことが後ろめたかった。

それがどうです!

先日の “クレアファッション” で書いたけれど、「縫製と仕立てがよく身体を引き立てる服」の格好良さと魅力を思い出したわたしは、せっせと求めるフォルムをあちらこちらのブランドに探し、お財布と相談しながら購入を進めた。海外から届くその服を、ドキドキしながら試着してみる。このドキドキにはいくつかの理由があって、まず「サイズは大丈夫かしら?」ということと、「求めていたフォルムなのかしら?」、そして「それを着こなせる身体なのかしら?」ということ。

これがばっちりなんですよ!と、たまに出るですます調は、心のリアリティだと思っていただければ。そしてそれらは、今のトレンド要するに「売れ線」ではない。だからフォルムにしても探さなければバンバンと広告に踊るものではない。けれど胸がときめくのだ。

簡単にイメージしていただくには、海外ドラマの『グッドワイフ』のジュリアナ・マルグリーズの弁護士ファッションや、同じく海外ドラマ『SUITS』の現サセックス公爵妃のメーガン・マークルも出演していた、女性キャスト陣の劇中ファッションだ。あれ、どちらも法曹界が舞台なのは偶然なのか?キャリアファッションがこんなに色っぽくセクシーでパワフルだと気づくのに一体何年かかったのだろう?いやいやスーツやそれに準じた服を着ていた若造の頃は、かたっ苦しくて鎧のようで大嫌いだったのに。

わたしは最近、思考もキャリアもファッションも、自分がつくってきた規定に囚われずに自由に舵を執ることを選んだが、何もかもすべて大変に心地よく楽しい。自分自身を大掛かりに洗濯しなおして、まっさらになった白地に縦横無尽に洗濯ならぬ「選択」をしていって、新しい色彩を味わいたいと思っている。

photo by leafar.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?