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新規事業日記:番外編

昨日配信された、C Channelがアプリサービスを終了するというプレスリリースは今も閲覧数が伸びまくっているが、これはひとつの時代の終わりの始まり…となるのか。

私がこのニュースで思い出したのは、自分が起業した際のビジネスの終焉のことだ。ビジネススクールでは「撤退ルールが大事。優れた経営者の条件」とか教わるものだけど、実際に自分が心血を注いできた事業を終わりにするのは座学のとおりにはとてもじゃないがいかない(あ、C Channelさんはアプリが終了するだけで事業は当然ながら継続です)。

当時、自分はあるカテゴリに特化したSNS的なものをつくって運営していた。ベンチマークはほぼmixiのみで、mixiのコミュニティであえて済むといえそうな事業を別途わざわざ場をうつして集客から苦労するビジネスをする意味があるのか?という問いに答えるに足る事業計画をつくった。そのなかでmixiのその先の成長に対する読みは今振り返るとかなり的中しており、クリティカルマスをいつむかえてその後ゆるやかに下降しつつ、さまざまなスタイルが分派してくる、という読みもほぼ正確に当たった。けれど、まさか海外勢のFBやmyspaceなんかがあそこまで日本でも成長するとはまったく読めていなかった。あくまでローカライズされたサービスしか日本では無理と思い込んでいたんだろうな。

ともあれ、かなり早い段階で株主から撤退を迫られた。というか、「経営者なら金を稼ぐことに必死になれ!てめえの部下を食わせてくことにもっと死ぬ気になれ」と毎日怒号を浴びて、足りない経験値のなかで試行錯誤し、売れるものはなんでも売ることにしたのだった。まず最初に売ることにしたのは自分。社長であり本業はメディア的には注目されていたが、内情が火の車もいいところであった。文章を書く、企画書をつくる、広報をやる、プレスリリースを書く、メディアへキャラバンをする、など業務を切り出して徹底的に自分の能力を売った。なんとかしてお金を生まなくてはならなかったからだ。

当然、火の車の本業に費やす時間も大幅になくなり、株主からはそこにかまける暇があったら腎臓でも体でも売れと言われていたので、本当に東奔西走であった。今でならパワハラだのセクハラだの(いえ、当時でも充分パワハラでありセクハラです笑)に該当するなかなかの話だが、自分は実行こそできなかったが経営者ならお金を稼ぐことにここまでどん欲に必死にならなくてはいけない、ということをすごく理解できたと思う。もちろん心は死んだけれど。

そのうちに、ゼロからつくったWebサービスを売却してみようと考えた。調べたらあったんですよね、事業売却のマッチングサイトみたいなものが。赤字を垂れ流しているサービスをだれが買うかって話なんだけど、とてつもないナレッジの巣ではあり、メガエージェンシー2社とは話をしてたが興味本位という感じで終わった。結果としてサービスを畳んだのは、私が代表職を解任されるよりうんと早かった。自分の唯一の功績は、この撤退を早くできたことだけだったと思う。

ちなみに解任については、株主の戦略のひとつであり、私に選択権があった。「退任と解任、どっちでも選んでいいよ」と言われ、自分は最後まで投げだすつもりはない、ということを示すために解任にしてもらったんだった。文字にして振り返るとまだまだ心が血を吹きますね笑 もう10年以上経つのに。

それなので、本格的に問題になる前に撤退する決断をなさったことが素直に「すごい」と思えた。やっぱりビジネススクールで教わったことはホントだな~と。まだやり直せる体力のあるうちに、ドメインを変更するのはすごく重要だ。何しろ従業員を食べさせていくのが使命なんだから。

photo by mugley


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