四方塚 環

ニンジャスレイヤー+を読むために始めた。

四方塚 環

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マガジン

  • あまりヘルシーでないSFの話

    中空の閉鎖空間で暮らしている病んだ子供たちのお話。

  • 逆噴射小説大賞2021投稿作品

    四方塚が逆噴射小説大賞2021のために投稿したテキストのまとめです。 Sci‐Fiジュブナイル『薄紅は祈りの色』、 ディーゼルファンタジー『ドラゴン・ハイウェイは死んだ』、 仄昏い青春小説『サイトーくんは透明になりたかった。』、 以上三つを撃ちました。

  • 逆噴射小説大賞2019に応募した作文

    人外ファンタジーが二本、ハードボイルドSFが一本、ジュブナイルホラーが一本。都合四本。

最近の記事

薫香とカソナード

前書:これはなんですか 本編『薫香とカソナード』 黒衣森に雨が降る。月星は分厚い雨雲の褥に籠り、辺りは下草一叢見えぬ濃きインクの如き闇。その闇を抉り取るようにぼうっと一つ、朱い光が灯った。フレカニ・チライキナが掲げたランタンだ。ランタンは彼女の――ルガディンの――足捌きに合わせて揺れている。そして一息分、灯りは止まり、また揺れだす。今度はやや忙しなく。 (軽率だった)とフレカニは思った。  背中が湿った気がするのは冷や汗なのか、雨粒が入り込んだのか。それとも。  それはコ

    • 時流に乗るので宜しく~ https://bsky.app/profile/yomotama.bsky.social

      • その花は月を食む

         安っぽい集合住宅の森の中、LED街灯の白に混じってオレンジ色の灯りが見えたら、それが目印。扉を開け放ったアパートの一室から百花の香りが漂う。 「これで上手く行くんですか」  バケツいっぱいのガーベラやスプレイリリーに囲まれながら、薔薇三輪のアレンジを抱きしめて少年は問う。 「それはあなた次第ね。頑張って」  私はマダムの顔で少年を送ってやる。  塾の先輩に贈る花束はきっと功を奏する。要は脇に添えたグリーンだ。呪いをかけたディルの芳香が少女を少年の虜にする。  ここはヒ

        • 胡蝶奉髪録・小夜女書く

           有鶴八年閏十月中旬払暁、御城下を抱くように聳える御杉山に火が立った。火の粉は滑るようにお山を駆け下り、明け切る頃には本丸を焼いた。 「お方様、お方様」  小夜は座りもせずに奥の間の襖を開け、御側室様と姫様、若様を連れ出して、城の廊下を走りに走った。  小夜はお方様の財産だ。お輿入れの時、箪笥や打掛や絵入りの歌留多と一緒に罷り越した。その証しに、お方様の蒔絵付きの小箱の中には小夜の髪がひと房、懐紙に包んで仕舞ってある。   木と紙と綿とが燻される中、火の見櫓の半鐘が遠く

        薫香とカソナード

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        • あまりヘルシーでないSFの話
          3本
        • 逆噴射小説大賞2021投稿作品
          3本
        • 逆噴射小説大賞2019に応募した作文
          4本

        記事

          休肝日にしようと思ったんだけど

          初めに だって、昨日も一昨日もアルコール摂取して楽しかったからさ。今日はアイスティー片手に吞み書きしてもいいかなって、さっきまで思ってたの。  風呂入って上がったっけ、カルピスソーダに鏡月垂らしてしまった。自動的。今日はこれをお供に吞み書きするよ。   きのうの吞みの話 朝からお出掛けして本屋のハシゴから始まって藻岩山展望台で終わる、ドーミンおのぼりさんみたいな観光してた。ああ、楽しかった。(北海道は無医村ならぬ無書店村がゴロゴロあるのイで、書店める巡りがに一定のsじゅs

          休肝日にしようと思ったんだけど

          三ヶ月の諸々。 【呑みながら書きました】

          初めに あっという間に前回から三か月も経ってしまってどうしよう。今回は自家製ジンバックを呑みながらやります。ボンベイサファイア常備してあって良かった……! 何か新しいもの書いた? 書いた! 渡辺八畳さん主催(https://twitter.com/yoinoyoi)の『3日で書け!』に今回も参加しました。「ウーロン茶」「ハンドルネーム」「紅」で頑張った。紙幅の都合もあるけど、もっとバシッと極まる物語を書いてみたいものだ。ツイキャス感想にも取り上げてもらったけdれども、ま

          三ヶ月の諸々。 【呑みながら書きました】

          リハビリになればいいけれど

          最初に 前回の吞み書きからいっこも作文しなかったので、自家製さくらんぼ酒片手にいろいろやってみます。  前回はゲームの話ををしようと思って酔いが回ってしまってできなかったので補足を。あと今日はいろいろなものの感想文委にしする。 ハーヴェステラの話  スクエニののうごのうy農業ゲーム。二、三年前くらいにドラえもんののうry農業ゲームやった時にもそうだったんだけど農が忙しくなりすぎてゲームが進まない。起床、農作業、家畜の世話、料理で日が暮れていく。六次産業化しないとロクにカ

          リハビリになればいいけれど

          ツイッターに何かあったら私はここに居るよ……

          ツイッターに何かあったら私はここに居るよ……

          朝になっても硬膜の内側にアルコールの気配がしてたけど、雪かきチョー頑張った。

          朝になっても硬膜の内側にアルコールの気配がしてたけど、雪かきチョー頑張った。

          久々に酔ってみました

           先ほどまでニンジャスレイヤーTRPGで遊んでおりました。面白かった。 今はセコマストロングを呑みつつタイピングしています。なのでトップ画像もセイコーマート。  外はしんしんと雪が降っています。明日は除雪の朝になることでしょう。  思えば12歳くらいから除雪から免れたことのない人生でした。雪かきのない冬とはどんなものだろうと思いをはせることは度々ありますが、うまく想像できたためしが有りません。  そんなことはどうでもいいでしょう。わざわざ語るべきことでもない。  そういえ

          久々に酔ってみました

          人でなしのオーロラ

           ここではオーロラの破片が時々降ってくる。蟲の翅に虹色の光沢をまぶしたような小さなオーロラを発電所に持って行くといい値で売れる。今日もオーロラはパンに化けた。世界を鎧うオーロラを所々欠いた天は暗く、空の穴からは雨が降り注ぐ。僕は雨に当たらぬように帰路を駆けた。  部屋の扉を開けると、消したはずの灯りが点いている。ヒリつく暇もなく目の前に影がゆらめく。 「イェパ、久しぶり!」  コーセイだ。彼は僕の肩甲骨を撫でる。 「心配したろ?」 「うん」僕もコーセイを抱きすくめる。

          人でなしのオーロラ

          蒼穹は孤独に通じ、

           その夜は船団じゅうが浮かれていた。改元だったのだ。世界各地の寄港地を巡り終え、どの船の航海士も風詠みもタービン番も、新たな船出に酔いしれていた。中心部の王宮船では盛大な宴が開かれたそうだ。更に外側に位置する病院船でさえ、甲板の上は例外ではなかった。 「……っと」  ジョゼは欠伸も溜息もかみ殺した。船倉薬草園は例外の一つだ。甲板の夜は農業の昼。宮廷薬師が開発したという熱くない灯りが煌々と、ジョゼには名前の見当もつかない草木を照らしている。相方のパガン爺と二人きりでは階上の乱

          蒼穹は孤独に通じ、

          むつぎ大賞、「ワンシーン」を完全に勘違いして一章まるごとぶち込んでしまっていた……。これはエントリーさせてもらえただけでもありがたい……。

          むつぎ大賞、「ワンシーン」を完全に勘違いして一章まるごとぶち込んでしまっていた……。これはエントリーさせてもらえただけでもありがたい……。

          吾子よ、世界の果てを越えて翔べ。

          吾子よ、世界の果てを越えて翔べ。  イチカが処置を終えて早期発生室前のベンチに座ると、偏光アクリル張りの未出生児室が良く見えた。午後を廻ったリプロダクト・センターは平日にも拘わらずにぎやかだ。亜人の親たちが熱心にアクリルの向こうを見つめている。今日中にあの人たちの仲間に自分たちも加わるのだと思うと、ちょっとドキドキする。  背中にツートンカラーの翼を生やした丹頂天狗が、ゴールデンレトリバーのコーボルトをその翼で掻き抱き、そのすぐ隣では大きな耳を忙しなく動かす兎の獣人に只人

          吾子よ、世界の果てを越えて翔べ。

          ネオ電のガンスリンガー酒場に杉先生がいっこずつコメントつけておられる。スゴイ。

          ネオ電のガンスリンガー酒場に杉先生がいっこずつコメントつけておられる。スゴイ。

          あまりヘルシーでないSFの話

          ある程度の分量になりましたのでここにまとめておきます。 表題通りのジュブナイルSF。マガジンまとめもあります。 以下本文リンク

          あまりヘルシーでないSFの話