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【カオリ】吸収封印

少女は踊り狂った
また間違えた選択を
したのだと
人目を気にしながら
ふらふらり
心安らぐ場所求めて
ふらふらり
たくさん
たくさん
おぼえておこう
二度とこの体に
思い出が残らなくとも
忘れないようにと
ふらふらと
けたけたを
混ぜた
丑三つ時
ひたすら
ひたすら
心地良い
景色と
音と
記憶を
ふらり——
ふらり———

空気裂け
はるか上空
突き抜ける
何処どこまでも
何処どこまでも
澄んだ場所

忘れた体に染み込ませた
記憶は云う

さあ癒せ
祓え
踊れ——

少女の口からは
けたけたと
嘲笑う音は止まず
頭に響く声を知らぬふり
少女を案じた
「死に直結」
あの言葉も
きこえない
信じない

狂ってはいる
けれど
可笑しな可笑しな踊り子だ
けれども
ボクは
こんなに
こんなに


生きたいと願ってる

生きたかったから
ここに来た

会いたかったから
ここに来た!

あの子にとって
大切な大切な
大事な人もたくさん生きる
この土地が
まだまだ続くようにと
願ったからこそ
ボクは

「ここにきた。みつけた」

右手首を
くるくるり
音はない
光を辿れ
苦し紛れでも
描いた草木に
心の中で礼を述べ
広場をくるくる
くるくる
くるくるり
招き入れたナニカとボクの
話し合い
死にたい
死にたい
死にたいよ
いけない
死にたい
会いたい
会えない
そんなことをするために
ここに来て
ない
死にたい
死にたい
しにたいが
消えない
朝日と共に
さわやかな息遣いと命の躍動
感じたならば
動け
溢れてしまった涙も
ただの水に
すればいい
動け
彷徨えば
きっと
ほら
有り難い
赤と青の門をのぞのぼ
緑の増えた
景色をまた臨む

そうだ

大丈夫

しにたい

大丈夫

ボクは———

登った歩道の下を
ゆっくり走る鉄車
ぼんやり眺め

「飛び込みたい、けど

 思い通りになるほど

 素直じゃ、ないぞ。ボクは」

何処かの御使い誕生日
一番会いたい
あの子に
お別れになるかも
知れない
メッセージ飛ばして
自らの言葉に呆れては
もう一度
朝日 眺めて
嘲笑う

そういや誰かも言ったっけ
ボクを見つけた
もう一人の聡い子が
あの地に残って
渦のよう、と。
違うよ
あの子は
そんな風には残らない
信じない
けど
この世の誰かがそう信じてしまうならばと
カケラをボクは
手元に引き寄せ
一緒に歌い
踊ったの
忘れてた
そっか
だからボクは
べた」のか———

おかえり

ごめんね

ありがとう

会いたい

生きたい

生きたい

生きたい

おかえり

大丈夫

全部ぜんぶ
ぜんぶ

あとは信じる。

だから

さあ、

生きよう———


少女は振り返らず
その土地を一旦離れて
またしても思い出す
遠い昔の自分が
亡くなった
高台の
高台の

いいんだ
どうせ思い出したとしても
ボクはもうなにか
出来るわけじゃない
できやしない
ボクを亡くしたあの人にまで
謝ってもらいも
したけれど
いいんだ
怒ることすら
お門違い
笑っちゃう
それがいい
ボクは影だ
影で陰の
どうでもいい透明な存在だ
謙るぐらいが丁度いい
それでも
信じる
ボクなりの我が儘を

きみと

あなたと

あの子たちと

ずっとずっと

ボクを探して
ボクの色を見つけて
ボクが出来る範囲の少なさだけど

それでよければ、

まもるから。

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