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中学受験にも使える図鑑⁉ 『あそべる算数』発売記念! 監修者・川島慶先生×脳科学者・瀧靖之先生のスペシャル対談!

思考力が育つアプリ「シンクシンク」やSTEAM通信教育「ワンダーボックス」を開発した算数教育の第一人者・川島慶先生に全面監修していただいた図鑑『あそべる算数』がついに発売! 発売を記念して、図鑑好きとして知られる脳科学者・瀧靖之先生と川島先生のお二人にお話を伺いました。図鑑が脳を育てる理由や、大人が子どもの好奇心を引き出すコツなど、子育てにまつわる貴重なお話をお届けします。

図鑑をボロボロになるまで読み込んでいた瀧先生の幼少期


――先生方は、子どものころ図鑑や絵本などを読まれていましたか?

瀧先生:幼稚園の頃から図鑑は大好きで、家にはオールジャンルの図鑑が揃っていました。特に魚や昆虫など、生き物全般の図鑑が好きでしたね。お行儀はよくないかもしれませんが、食卓にも図鑑を置いて、気に入った魚は切り抜いて並べたりしてボロボロになるまで読んで、また新しいものを買ってもらうという日々でした。その後、植物や生き物など自然界の美しさにアートのような魅力を感じてハマっていきましたね。最終的には医学の道に進みましたが、元は抽象画なども含めた絵画やアート全般が好きで、視覚から刺激される文系人間なんです。

川島先生:私は図鑑や絵本には触れる回数が少ない子どもだったので、地面に落ちている石ころを見て、ここをもうちょっと動かしたら「正三角形になるな」などと想像したりして、遊んでいましたね。先生は、車のナンバー遊びなんかはしなかったんですか?

瀧先生:そうですね。私は車を見るとそのボンネットとトランクの長さの割合とか車体美のバランスに目が行くタイプで、車体のフォルムだけ見れば、今でもどの車種かほぼ当てられると思います。

川島先生:すごいですね! 私はナンバープレートの数字ばかり見てしまって車体には目がいかないので、未だに有名なマークを見ても何の車かわかりません(笑)。


図鑑で養った好奇心が脳を育てる一番の原動力


――図鑑の良さはどんなところにあるとお考えですか?

瀧先生:図鑑で養えることは大きく2つあると考えます。まず1つめは、「流暢性効果」。脳には、物事を少しでも知っていると簡単そうに見えたり、関心がわいたりする現象があるんです。「魚にはこんな種類がある」など事前に知っていると、実物を見た時に興味関心がわくといったことです。2つめは、「単純接触効果」というのですが、人は物事を見たり触れあったりする機会が多くなるほど、その対象に興味を持ったり好きになったりする傾向があります。初めましてより、何回も会うと、よりその人を好きになりますよね。つまり、図鑑は1冊でその世界が端的に網羅されていますから、図鑑に触れる機会を増やすことで、脳が刺激されていくんです。
そして何より、図鑑を通して何かを「美しい」と感じたり、ワクワクしたり夢中になったりする知的好奇心は、脳を育てる一番の原動力です。図鑑で小さい頃に見て「美しい」「かっこいい」と感動した経験が、その後の伸びの種になるんです。

川島先生:面白いお話で大変勉強になります。この図鑑もビジュアル面にこだわって作ったので、子どもたちにワクワクしてもらえたら嬉しいです。ちなみに、瀧先生が息子さんの子育てにおいて、幼少期に意識されていたことはありますか?

瀧先生:わが家は夫婦ともに図鑑をはじめ読書全般が好きなので、その影響もあり息子も本を読むことが大好きです。小さい頃から毎週末、書店で好きな本や絵本を選ばせて買っていたら、4年生の頃には600冊ほどありました。今でも寝る前に親子3人で30分、それぞれ読書の時間を作るのが日課です。あとは、生き物でも自然界の現象でも、図鑑や本の世界と実物をつなげるよう意識していました。そうすることで、より感動し、記憶が高められて、忘れにくくなるんです。
また、息子はゲームもアニメも好きですが、その時期ハマっているものは、できるだけ私もやってみて、ハマる理由を息子と共有したいと思っています。

川島先生:それは素晴らしいですね。ゲームの時間管理に関しては多くの親御さんが悩まれることだと思うのですが、勉強でも遊びでも、わが子が今どんなことに興味があって面白がっているのかを知ることは、その子の個性を知れますし学びのヒントにもなりますから、とても大切だと思います。


読書も勉強も、まずは親が楽しそうな姿を見せること!


――親ができる「わが子に図鑑に興味を持たせるコツ」はありますか? 

瀧先生:図鑑を買い与えただけで、一人で世界に浸っていける子はそう多くはないはずです。そこで、子どもの知的好奇心を育てるうえで意識したいのが「模倣(まね)」です。子どもは「模倣」をして能力を獲得していきます。脳には、模倣に特化した「ミラーニューロン」という領域があって、運動の模倣だけではなく、相手の気持ちを理解する模倣も含まれます。ですから、保護者が「図鑑を楽しそうに読む姿を子どもに見せる」ことで、子どもも「楽しそうだから読んでみよう」と真似するのです。読書も勉強も同じ。まずは親がやってみて、それを模倣させるのがポイントです。
また、子どもは小さな大人です。暗記力や論理的思考力も十分ありますから、「まだ早い」などと思わずに、興味のある分野の図鑑はどんどん与えてあげるといいでしょう。

あそべる算数図鑑は中学受験の素地になる!


――瀧先生は子どもの頃、算数は好きでしたか?

瀧先生:実は私、高校まであまり算数や数学に興味がなかったんです。アートや自然界の造形美は極限までつきつめるくらい好きだったけれど、算数はテストで困らない程度にやっていたという感じでして。川島先生のように算数への好奇心を持つきっかけが幼少期になかったんですね。ただ、息子の中学受験を機に、算数の面白さに気づいてどっぷりハマりました。そういう視点で見ると、この図鑑は、中学受験の学びにつながることがたくさん書かれているので、幼少期に読んでおくとすごくいいのではと興味深く拝見しておりました。

川島先生:中学受験を意識して作ったわけではなかったのですが、算数から自然と派生する本質的な部分を扱ったので、結果的にはその応用である中学受験にも通じる部分があるのかもしれませんね。ちなみに先生が気になったページはどのあたりですか?

瀧先生:展開図や影のページなんかはまさに中学受験のエッセンスですよね。これを3歳からしっかり見ておいたら大好きになりますよ。あとは三角数とかフィボナッチ数列なんて、まさに中学受験で出てくるので、受験勉強を始める前になんとなく知ってると、まさに「流暢性効果」になりますよね。

川島先生:ありがとうございます。私がこだわったのは、ビジュアルでも見せること。たとえば、単位に関しては表紙の裏に「単位大図鑑」がありますが、ホチキスの芯や1円玉、はがきの実物大写真を使って、視覚で「1cmの10倍が10㎝になる」といった量感を関連付けて、生活の尺度になるようなページを入れました。桁に関しても、子どもは「枚数が多い方がすごい」という感覚があると思うので、そうではなくて「1円玉32枚よりも10円を使うとこんなに便利でしょう」、という10の“桁の威力”に対する納得が得られるような見せ方にはこだわりました。
あとは、数列などの部分でも、あえてすべては書かないこと。その先は自分で学んで感動してもらいたいから、高校から学ぶ概念で敢えて触れていない部分はあります。

瀧先生:図鑑の概念が拡張されました。本当に想像以上でした。これを小さいうちに見て遊んでおいたら、算数好きな子が増えると思うし、私が小さい頃に読んでいたら、今頃は数学の道に進んでいたかもしれません(笑)。

(文/加藤朋美)

川島慶(ワンダーファイ株式会社 代表)
東京大学大学院工学系研究科修了。算数・数学好きが昂じて学生時代よりベストセラー問題集「なぞぺ〜」の問題制作に携わる。2007年より花まる学習会で4歳から大学生までを教える傍ら、公立小学校や国内外児童養護施設の学習支援を多数手掛ける。2014年株式会社花まるラボ創業(現:ワンダーファイ)。開発した思考力育成アプリ「シンクシンク」は世界150カ国300万ユーザーを持ち、「Google Play Awards」など、国内外で受賞多数。2020年にSTEAM領域の通信教育「ワンダーボックス」を発表。過去に、東京大学非常勤講師を務める。算数オリンピックの問題制作に携わり、2017年より三重県数学的思考力育成アドバイザー。

瀧靖之(脳科学者)
医師。医学博士。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター センター長・加齢医学研究所 教授。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。一児の父でもある。


■書誌情報

『角川の集める図鑑GET! あそべる算数』
監修:川島慶(ワンダーファイ株式会社代表)
【定価】2,970円(本体2,700円+税)
【発売日】2024年7月10日
【サイズ】A4変型判
【ISBN】9784041149553

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