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誰かの良さを引き出すことが自分の喜びに! 子どもの頃のこと、教えてください!「ワンダーファイ代表 川島慶」

──いつのまにか親しんで、算数を好きになる──。7月10日(水)発売の算数図鑑『角川の集める図鑑GET! あそべる算数』は、そんなコンセプトで制作された、親子一緒に楽しめる一冊です。同書を監修した、ワンダーファイ株式会社代表・川島慶さんは、STEAM通信教育「WonderBox(ワンダーボックス)」や思考力育成アプリ「Think!Think!(シンクシンク)」など、子どもたちが楽しく学べるプログラムを数多く手がけています。そんな川島さんに、子どもの頃の話などをお聞きしました!

<プロフィール>
川島 慶

東京大学大学院工学系研究科修了。算数・数学好きが昂じて学生時代よりベストセラー問題集「なぞぺ~」の問題制作に携わる。2007年より花まる学習会で4歳から大学生までを教える傍ら、公立小学校や国内外児童養護施設の学習支援を多数手掛ける。2014年株式会社花まるラボ創業(現:ワンダーファイ)。

開発した思考力育成アプリ「Think!Think!(シンクシンク)」は世界150カ国300万ユーザーを持ち、「Google Play Awards」など、国内外で受賞多数。過去に、東京大学非常勤講師を務める。算数オリンピックの問題制作に携わり、2017年より三重県数学的思考力育成アドバイザー。

サッカーに夢中だった子ども時代

 子どもの頃は、とにかくサッカーが大好きでした。自分でプレーするのはもちろんですが、家でもお箸を人の両足に見立てて、戦略をシミュレーションすることに夢中になっていましたね。想像をすることが好きでした。

 二歳年上の兄と四歳年下の妹がいるのですが、この兄がなかなかのこだわり屋で。納豆以外は食べなかったり、何かやってみようと勧めても一筋縄ではいかないといった感じだったので、母は色々と試行錯誤していたかと思います。そのおかげか、私にはあまり何も言わず、自由にさせてくれて、割と何でも好きになりました。

 そんな兄も、好きなものには一途な性格だったので、自分と同じものを好きになってくれるよう、いろいろトライしましたね。その目的は、私の少ないおこづかいを使わないようにするためです(笑)。好きな漫画の単行本を兄が自発的に手に取るように準備したり、お気に入りのアニメが放送されるタイミングに兄をテレビの近くになんとしても行かせるといったことに一生懸命になっていたことを覚えています。今思えば、誰かに興味関心を持ってもらうために工夫する、というのは今も一緒かもしれません。

中学受験を機に気づいた、自分の「算数好き」

 幼稚園の卒園アルバムに書いた将来の夢は、「社宅の屋上に登ること」でしたが、小学1年生でサッカーを始めてからは、やはりプロのサッカー選手になりたいと思っていました。小学5年生くらいには、プロになるのは難しいなと薄々感じていた中で、サッカーのチームメイトから中学受験を視野に入れていることを聞かされたんです。彼が言うには、中学受験だと、今はあまりサッカーをする時間がなくなるかもしれないけど、高校受験がなくなるし、中高6年間の取り組み方によってはサッカーを続けながら大学に進学できる。その言葉をきっかけに、中学受験の準備をはじめたら、算数を解くのがすごく楽しいと思ったんです。

 思い返すと、私は小学校の教科書や学校のテストの出題文を読んで「先生やこの教科書を作っている人は、どうしてこの数値設定にしたんだろう」「もっとこう変えたほうが問題を解くときに気持ちがいいから、もっと算数好きな人増えるだろうにな」だったり、文章題でも「文章が味気なさすぎるよ。もうちょっと設定もキャッチーにした方が学びたい人増えるだろうな」みたいなことを考えていました。中学受験の時も、「この問題のこのポイントに気づく人は多分30%ぐらいだろうな」と分析したり、とっても面白い問題に出会うと「ああ、いい問題だな」と1分間ぐらい感動に浸ってから解き始めたりしていましたね。

幼い頃から、誰かの良さを引き出すことが好きだった

 幼稚園の年長時代に、忘れられない思い出があります。当時、同じクラスに、仲間より少し体格が小さいことなどから、いじめられがちな男の子がいて、当時の私は、彼が人気者になるような仕掛けをしてうまくいったことがありました。その何日か後に「感謝を伝えたい5人に手紙を書こう」というような授業があったのですが、その彼は「かわしま け さま」という表記で私宛に10枚ほど感謝を伝える手紙を書いてくれたんです。その時に、「こんなに喜んでもらえるんだ」という驚きと喜びを感じたことを鮮明に覚えています。その思いは小学生になっても消えることはなく、普段あまり目立たない同級生を自然にキャラ立ちさせて、その人の良さを引き出すことに喜びを見いだしていました。この原体験が今の仕事につながっていると思います。

 サッカーでも、自然とキャプテンという立場を任されることが多くなっていきました。そこでもメンバーの持ち味をいかしてチームが円滑に機能するかを試行錯誤したり、仲間と監督の間に立って、勝利のために心をひとつにするために一生懸命でしたね。今、私は会社の代表という立場で多くのスタッフと働いていますが、当時の試行錯誤が、ものすごく活きていると感じています。

子どもの喜ぶ顔が見たくて教育の世界へ

 大学3年生の頃から、「花まる学習会」の代表・高濱正伸さんのもとで思考力を題材にした問題を作る機会をいただいて、問題を作る適性やその面白さを感じました。花まる学習会の野外体験にも参加する中で、高濱さんや花まる学習会の魅力に触れ、大企業の内定先を断り花まる学習会への入社を高濱さんに頼み込みました。

 花まる学習会に入社し、その理念に共感したり、現場にやりがいや楽しみを感じていました。NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」でも紹介された、中高の恩師の井本陽久先生の存在も大きく、彼と共に国内外の児童養護施設や公立小学校を訪れて学習支援、出張授業を繰り返す中で、思考力育成アプリ「シンクシンク」の構想が浮かび、花まる学習会の応援を受けながら、仲間を集め、会社を設立することになりました。

 言葉は、世界中いろいろな国で違いますが、数字とか数式は、世界共通なんですよね。人類がこれまで積み上げてきた叡智のうち、考えることを純粋に扱うのが算数・数学だと思っています。私が監修した『角川の集める図鑑GET! あそべる算数』は、「いつのまにか親しんで、算数を好きになる」をコンセプトにしています。子どもたちの日常にしっくりくるような場面で算数に触れられるアイディアを盛り込みました。

日常にある数学的要素を楽しく学ぶことができる『角川の集める図鑑GET! あそべる算数』


 図鑑は、子どもたちがパラパラとめくって楽しんでもらうものだと思っています。この図鑑を子どもたちが好きなときに触れられるよう、身近な場所に置いていただけるとうれしいです。

ライター:中村実香

【書誌情報】

角川の集める図鑑GET! あそべる算数
監:川島 慶
【定価】2,970円(本体2,700円+税)
【発売日】2024年7月10日
【サイズ】A4判 変形
【ISBN】9784041149553


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