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楽描きxクリエイティブx脳科学 論 〜生産性アップとセラピー効果〜

「絵を描く」ことは脳に良く、仕事の生産性・創造性が上がる。

昨今の働き方改革で、残業時間を減らして「集中して効率を上げること=生産性アップ」のようにまことしやかに言われていますが、ビジネスパーソンにとって、果たして「集中する」ことだけが本当に生産性が上がるのか?

前回のNOTEでは、楽しく描く「楽描き」の価値について描きましたが、今回は少し視点を変えて、脳科学の観点から「絵を描くこと」の効果を紐解き、マインドフルネスなどと同様、またセラピー効果(ストレス軽減)もあり、創造性は当然、生産性アップにまでつながる、という話について書きたいと思います。
(少しは読みやすいよう、脳科学のマニアックな説明は避けておきます)

<<目次>>
・「楽描き」な図解: 今回の話の全体像 〜時間のない方へ〜
・「集中力アップ=仕事の生産性アップ」という幻想
・  図解: 『ぼんやり脳』の時の脳の働き
・  描きながら考えることで創造性(クリエイティブ)が上がる
・  ココロにやさしいセラピー効果(アートセラピー)

”楽描き“ 図解: 今回の話の全体像 〜時間のない方へ〜

※「楽描き」で、描いてみました(iPad Pro 使用)

今回は時間のない方のために、今日の話の全体像(結論)をビジュアル図解してまとめました。このビジュアルを見ていただくだけでも、大まかな結論は理解いただけるかと思いますので、ご参考ください。詳細について理解を深めたい、という方は下の文章を読んでいただけると嬉しいです。

ちなみに、文章で伝えることは、字という「点」で伝えるため、文章を一字一句読んで理解するのに時間を要します。一方ビジュアルという「面」で伝えることは、100%理解することができないとしても、「伝えたいおおまかなメッセージを一瞬で相手に理解してもらうことができる」、思います。(これについてはインフォグラフィックエディターの櫻田潤氏から学んで受けている影響です)

「集中力アップ=仕事の生産性アップ」という幻想

「集中力を高めることが良し」というように言われていますが、「集中力を高める」=「脳を緊張状態においている」ことです。問題提起したいのですが、果たして、人は「集中」状態が長ければ長いほど、仕事の生産性は上がるのでしょうか?
「集中状態」は決して悪いことではありません。確かにスポーツでもそうですが、「ゾーンに入る」という言葉にもあるように、脳にα波がでて瞬間的に爆発的なパフォーマンスを発揮することができます。ただ90分など「ある一定の時間内に」です。
しかし、ずっと「走っている」状態、たとえば毎日8時間労働で走り続ける場合だと、例えるなら「マラソンを全力疾走で走ろうとしている」ようなもので、単に脳を疲労させてしまい、かえって生産性が上がらないリスクがあります。
また、集中状態にあると近視眼的になる傾向があり、「木を見て森を見ず」のことわざにもある通り、周りが見えにくくなくなるデメリットがあります。よくあるのが、仕事や勉強などに集中しすぎて、お菓子や飲み物をもらったのを覚えていなかった、とか、そんな経験ありませんか?
「集中」は短距離型で作業するにはいいですが、 思考に広がりをもって考えられないので、創造力を高めるには決して適していません。

一方で、「非集中」の時はどうでしょうか?
 一見「集中しないと生産性が下がる」のではないか?と思われがちで、仕事の効率が下がるというような誤解が生じがちですが、脳がリラックス状態になるため、思考が整理されたり、思考が広がったり、集中とは違う沢山のメリットが実はあります。「非集中」の状態、これは脳科学理論で言う、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)、わかりやすくいうと「ぼんやり脳」とも言われる考え方です。

 この「ぼんやり脳」状態、決して脳が働いていないというわけではありません。「ぼんやり脳!」(西田昌規氏著)によれば、この「ぼんやり脳(デフォルト・モード・ネットワーク)」の状態を脳科学研究で調べた結果だと、集中して意識的に脳を働かせているときに比べて、なんと15倍もの脳が働いているのだそうです。

図解: 『ぼんやり脳』の時の脳の働き

※「ぼんやり脳!」西田昌規氏著の図解を引用させていただきました

ぼんやり脳の5つの働きとして以下の5つが挙げられます。重要なことは、

1、ニュートラルな「いつもの自分」に立ち戻れる
2、自分を点検して内省する
3、これから起こりうる事を予測してシミュレーションする
4、記憶を定着させたり、整理・統合したりする5、脳をリラックスさせ、スタンバイ状態にすることができる

以上をまとめると、集中と非集中は適度なバランスが必要で、創造的な仕事をするときにはリラックスした環境の中で頭を整理して内省できるような環境を作った方が生産性が上がるというわけです。

これを見ると、Google社(米)が業務時間のうちの20%を自由時間(好きなこと、クリエイティブな仕事)に当てるように、という意見は非常に理にかなった考え方だと思います。
ちなみに、一方の日本人のビジネスパーソンの場合、残業時間がなくなり作業時間に追われてばかり、また非集中的な仕事=非効率だと誤解しているので私語もせずに働いている企業もありますが、脳科学の観点でいうと、実は生産性も悪いし、鬱などの精神疾患も増える確率が上がったりするので、決して生産性アップには繋がらないわけです。(脳科学の観点でみると、今の日本企業の「働き方改革」がいかに進んでいないか?わかってしまいます)

「描きながら考える」ことで創造性(クリエイティブ)が上がる

ここまで、脳科学理論の観点で、「集中」と「非集中」の比較をしましたが、
「楽描き」についてポイントをおさらいすると、以下になります。

<<楽描きのよい点>>
・楽描きは、「非集中」(リラックスした)状態で行うもの
・楽描きをすると「ぼんやり脳」が働き、自分の状態を内省したり、これから起こることをシミュレーションしたり、記憶の定着、思考の整理・統合できたりするので、アイデアを考えたり、創造的(クリエイティブ)なことを考えるに非常に良い
・一定の時間は意識的に集中しない、「非集中」的な時間を取って、両方のバランスが必要

ところで、前回のNOTEで、茂木健一郎氏の落書きのTwitterをお見せしましたが今回は、私の好きなイーロンマスクの「BORED ELON MASK」のtwitterをご覧ください。(イーロンマスクの裏Twitterアカウント)

細かい内容云々はさておき、イーロンマスクも、おそらく「非集中モード」で何か新しいことを考えていて、新しいことを発想していたんじゃないかと思います。かのスティーブ・ジョブスは歩きながら考えたそうですし、アインシュタインも相対性理論を考える際にバイオリンを弾きながら考えいたそうです。
このように多くの人は、新しいアイデアや発想を考えるときには非集中モードで「絵を描くのと同じように考える」傾向にあります。
前述の「ぼんやり脳」の項でも書いた通り、「非集中モード」になると脳はリラックスした状態になり、視野も広がって「森を見る」ような状態になれます。

マインドフルネス(瞑想)で「あるがままにその瞬間に意識を向ける」のと同じように、「あるがままに(感じるままに)自由に描く」ことでマインドフルネス(瞑想)と同様の効果が見られるわけです。これは「書く瞑想」と言われる「ジャーナリング」と同じ考え方です。(※「書く瞑想」については、吉田典生氏著の「ジャーナリング入門」の本をおススめします)

少しずつご理解いただけたかと思いますが、仕事の生産性や創造性を上げるとき、あるいは新しいアイデアを出すときには、リラックスして気軽に考えてゆくプロセス、「楽しく」「描く」という「楽描き(Doodle) 」 があると、斬新な発想・アイデアがでてくるのではないでしょうか?
しかも、(右脳の)イメージに浮かんだものを頭の中で整理しながら図や絵(イラスト)で描くことで、より漠然としていた抽象的なものを、具体化できるように思います。

※今日のこのブログも実はそんな感じで書いています(笑)

仕事の集中を高めるためのOFFモードとして機能しますし、仕事以外でも、「感じるがままに描きながら考える」といい気分転換にもなるし、非常に楽しい気分なれるわけです。

決まりはなくて、好きなことでいいと思いますよ。

楽描きはココロにやさしいセラピー効果も(アートセラピー)

また、「楽描き」をするとセラピー効果もあります。いわゆる「アートセラピー(芸術療法)」としての考え方です。

表現アートセラピストとして活躍されている吉田エリさんの著書「はじめてのアートセラピー」によれば、「無心になって」「子どもになったみたいに」思い思いに創作活動して表現をすることで、リラックスしながら意識の扉を開き、自分の深い心の声を聞けて、無意識とつながることができるそうです。
アートセラピーには音楽やモノ作り、様々な創作活動がありますが、もちろん「描く」という創作も含まれます。五感を生かして(右脳で描くイメージで)イメージを膨らませながら、うまく描こうとせずに感じるがままに絵を描いたりしてゆくことで、セラピー効果があります。

※参考:「はじめてのアートセラピー」(吉田エリ著)の「自由画」を引用

ここまでくるとアートな要素がかなり強いように印象を受けてしまいますが、もっとアートのハードルを低くして、「楽描き(Doodle)」をするだけでも十分に同じ効果があると思います。大切なことは「楽しく」「描く」です。

例えば、私がセラピー的に「楽描き」しているものはこんなものです。
※昨日、とあるサイトを見ながら書いてみました。

絵は実際に描いてみると、楽しさがわかってきます。「絵心がないから」とか「恥ずかしいから」と最初は描くのをためらってしまう方もきっと多いでしょう。でも、まずは簡単な書きたいイラスト(ピクト)を「まねる」ことからはじめてみましょう。この絵だって私が自ら作ったわけではなく、イラストに描いてあるものを、ただ単純にまねして描いただけです。

「学ぶ」は「まねぶ」、つまり絵も「まねる」ことから始まります。
ですので、グラレコを学ぶなり、自分なりで落書きして、日頃思っているものを絵で表現してみたり、それぞれのやり方で「楽描き」してみるといいと思います。

□英語ですが、おすすめのDoodle サイト(Doodle Institute - USA)

まだ、自分一人ではで書けない、という方も多いと思いますので、次回、楽描きの実際の描き方を、次回NOTEで「おすそ分け」したいと思います。

今回は、難解な内容でしたが、特にビジネスにおけるデザインやクリエイティブのへの理解はまだ低く、今後、ビジネスでのクリエイティブへの価値や地位向上を図る必要があると思っています。
そういう意味で、あえてクリエイティブをより左脳的な「脳科学理論」の観点で、「絵を描く」意味、クリエイティブの価値を、図解化・言語化しました。

「絵を描く」クリエイティブの力がビジネスにも、さらにはセラピーにも役立つ(=脳に良い)、ということを参考になったら幸いです。クリエイティブの重要性を感じている人間として、私のNOTE投稿から一人でも多くの人から共感いただいて、心地よい影響があるといいな、と思います!

最後に今回のNOTEを読んで「絵を描くことが脳に良い」という理解を深めたいと思われる方へ、以下のおススメ本をご紹介しておきます。

今回参考にした図書(おススメ本)



もし内容が面白かった、と感じていただけた方、是非「いいね」を教えていただけると嬉しいです♪ 

ついでに宣伝ですが、我らが#櫻田ラボ の櫻田潤さんの新刊、スケッチノート入門が6月21日新刊予定です。絵を描いてみたい人、ぜひどうぞ!

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良かったら、前回の投稿も是非ご覧ください!

追伸:今回の文章は研究者の方々が書いた書物を元にまとめたものです。
もし間違いなどご指摘がございましたら、是非ご指導くださいませ。

サポート頂いた分は、好きな読書に使って勉強しようと思います😊