どうしようもなく特別だから、恋愛感情なんていらないの
「恋愛感情としての好きが、あまりにも大きくなりすぎたから」と私に冷静に話してくれた君が、いつか、この先私を嫌ってしまうことがひどく怖い。君にそんなことを言えば、「人して好きという感情が消えることはないから、いなくなることなんてきっとない」と言う。
人として自然と惹かれ合ったわたしたちの間に、恋愛感情なんてものはきっと要らなかった、だけど、そんなこと決められることじゃないものね。
君が私を慕ってくれて、大事に思って、私も同じような気持ちを君に抱いているのにたったひとつ、どうしても同じに気持ちになれている気がしない。それがひどく悲しい。
私を嫌う準備をしているみたいに見えてしまうのは、気のせいなのですか。
私は君に出会えて、ほんとうに心から感謝しているのに、大人になってこれほど特別だと思える人に出会えるとは思っていなかったのに、
いつか話せなくなる日がくるなら、「ほらやっぱり恋愛感情なんて邪魔なだけだった」と思ってしまうのです。
人としての好きだけじゃ、だめなのですか。
恋愛感情なんて終わりがくるものだからそんなもの、尊い関係にはあってほしくないのに。男女というだけで分かり合えないこともあるのですか。君と私はそこだけはどうしても合わないままですね。
何においても理解者でいてくれる君と、そこだけはどうしても分かり合えないのですね。
それを悲しそうに笑うのも、私は耐えられそうにないのです。
恋愛感情を抱けば、私の言葉でひどく傷つけることも増えるのでしょう、そうしたら私はほんとうの私を君に開示できなくなってしまうでしょう。君は違うのですか。
恋愛感情は、人歪ませてしまうでしょう。それほど好きなんだと言われたらもう返せる言葉など持ち合わせていないのです。
「どうして」と思う私に
君も「どうして」、と思ってしまうのでしょうか。
君と友人でいられることを私は尊く、そして何より楽しく思うのです。こんな特別な関係をどうしたら壊そうなどと思えますか。
君には、きっと私じゃない。
私にも君じゃないのです。
それは私のエゴだと言われても、それでもやっぱりそうなのです。
私がいまの恋人に出会って直感でそう感じたように「私にはこの人だ」と感じたように、君もいつかそういう誰かに会ったとき、私の言葉の意味を理解してくれるのでしょう。
私はそのときがくるのを心待ちにしているのです。寂しくならないでほしい。
君の臆病も孤独も不器用も強がりも弱さも丸ごと全部、ひっくるめて抱きしめてくれる人がきっといるのです。
私が君のそういうところに、人には見せない君に気づけたのは、手を差し伸べたのは、同じ場所にいると感じたからに他ならない。君のいる場所に手を差し伸べて、座って、お話をすることは、私はいつまでだってしてあげられる。毒を抜いてあげることもできるかもしれない。
けれど、その場所から出たときに待っていてくれる人は互いに違うのです。
「ほら出るよ、抜け出そう」と誘うことはできても、その先を一緒に歩くのはわたしたち2人ではないのです。
「待っている人がいるでしょう」と、「いつまでそうしているの」と、そう、声をかけてあげられる存在でしょう、私たちは。
私がひとりになっても君は迎えにきてくれるだろうし、私もきっと迎えにいく。
君を嫌う努力をした自分が憎い。でもその努力も特別な存在であることの証でしょう、君なら頷くでしょう。
感情をたくさん使わせてしまってごめんね。私が話そうとするとき「言葉を選ばなくて良い」と言ってくれる君の優しさを、私はしっかりと飲み込んでいること、伝わって欲しい。
愛情とも友情も呼べないこの感情に名前をつけることは難しいけれど、これほど互いを大事だと、手放せないと思えていることで十分だと私は思うのです。
君が誰かの手をとって幸せになる瞬間を、私はちゃんとこの目で全身で見届けたいのです。
恋愛感情を互いにもたないいまの関係が、どれだけ尊くて永続的なものかを、君もほんとうは感じているはずです。
結果的には、私の思うところに君が落ち着いてくれたのかもしれないけど、それは君が感情を殺してしまった結果かもしれないけど、「それでよかった」と思わせるのも私の役目だと思っています。
崩れそうになれば何度でも救ってあげる、手も引いてあげる、いつまでだって言葉を交わすし、ちゃんと目をみて気持ちを聞いてあげる、
君がちゃんと愛すべき人を愛せるように。あるべき場所に戻れるように。
いつか、君の選んだ人が、君を選んだ愛する人がどういう人間なのか、君の声で君の言葉で聞かせてほしい。
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