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紅いりんごジャムは母の味

好きな食べ物の話をするのって楽しいなぁって気づいた昨日。
今日も綴ってみたいと思います。
いくつか候補はあったのですが、カメラロールをスクロールして見つけた、秋にぴったりのこの子にフォーカス。
「りんごジャム」
サムネイル画像にも設定していますが、艶やかで綺麗ですよね。ルビーのようと言うと言いすぎかもしれませんが、見た目にも味にもおいしいのです。
今日は、この「りんごジャム」にまつわるお話をしていきたいと思います。

初めてひとりで作ったのは八年前。ひとり暮らしを始めた年の秋のことです。
私は、こどもの頃から、母の作る「パウンドケーキ」「梅ジュース・ジャム」「赤しそジュース」そして「りんごジャム」が大好きでした。
小、中学生くらいから手伝うようになり、ひとり暮らしで、どれも実践してきました。
季節に関係のある「梅ジュース・ジャム」は六月、「赤しそジュース」は七月頃なので、この「りんごジャム」が母に教わったおやつ実践の三つ目。「パウンドケーキ」はもう少し余裕ができてから作ったように思います。
母は、幼い頃から、あまりお菓子を買うことをよしとしてきませんでした。
スーパーで買いたいとせがんでも、特売の日にまとめて買うからと却下。友だちと駄菓子屋さんに遠足のお菓子を買いに行きたいと言っても、特売の日に買ってあるからそこから見繕うようにと却下。
なんでも強請れば買ってもらえると思わせたくなかったとか、虫歯にならないようにとか、健康に気を遣ってとか、いろいろ理由はあるのでしょうが、恐らく一番は家計事情があったのだと推察します。
(余談ですが、妹は立ち回りがうまく、母より甘い父とふたりで買い物に行くときにちゃっかり強請っていろいろ買わせていました。解せぬ。)
そんな母の却下にぶすくれる私を見かねて、たまに母がおやつを作ってくれたのです。

さて、このジャムを作るためには、「紅玉」という、酸味が強く、生で食べるにはやや固い、皮の色が濃い品種のりんごを探すところから始まります。アップルパイなどのお菓子作りにもよく使われると聞きます。近所のスーパーには置かれていなかったので、それを求めて品揃えのよいスーパーまで足を伸ばしました。
「紅玉」が手に入ったら、皮をしっかり水で洗います。このジャムのポイントは美しい紅。つまり、皮ごと煮るので、皮についた薬品等をできるだけ落とすのです。
洗い終わったら、一口大に切ります。
鍋に切ったりんごを敷き詰め、火にかけます。
日持ちするようにやや砂糖を多めに、でも、母の味に近づけるために甘さ控えめになるよう、市販よりずいぶん少ない量を、りんごに振りかけます。
それから、とろみが出るまでコトコト煮立てます。
皮の形がなくなったところで、味見。想像よりちょっと甘いくらいがちょうどよい。
なぜかというと…
最後にレモン汁をかけるからです。色鮮やかになりますし、日持ちもよくなります。
かける前がこちら。

かけた後が、サムネイル画像にもなっているこちら。

明るくなったのがおわかりでしょうか。
味もぐっと引き締まるんです。
レモン汁をかけた後は、火から下ろして余熱で混ぜて、粗熱をとります。
冷めたら完成です。
防腐剤等が入っていないので、冷蔵庫に入れて、できるだけ早く食べてしまわないと、すぐだめになります。(だめにしてしまったときはショックでした…)

パンやケーキに塗っても、ヨーグルトにかけてもおいしいですが、すーこ家では、定番の食べ方がありました。
その名も「りんごパリパリ」。
「!?」っとなったそこのあなたへ、今から説明しますね。それを読んでも、本当においしいの?と思われるかもしれませんが、騙されたと思ってお試しあれ。これが意外とおいしいんです。
用意するのは、作ったりんごジャムと、餃子の皮、水、以上。
餃子の皮一枚の真ん中にりんごジャムを乗せ、皮の縁を一周水で湿らせ、もう一枚餃子の皮を被せてジャムを挟みます。帽子みたいな形になります。
それをフライパンで、少し焼き色が付いてパリっとするまで両面焼いたらできあがり。
(写真がなくてすみません。)
これも受け継いだ母の味。こどもの頃友人宅に手土産として持って行ったものの、こんなのおやつじゃないと馬鹿にされたときは少し悲しい気持ちになり、母に抗議をして困らせてしまいました。
たしかにおしゃれなケーキには敵わないかもしれないけれど、温かいおやつなんだと、今なら胸を張って言えます。
熱々で召し上がれ。

では、手を合わせて、いただきます。
触感はマッ○のアップルパイに近いかも。
パリパリっとした餃子の皮ととろけ出したジューシーなジャムは相性抜群。
紅玉とレモンのほどよい酸味と甘味が口いっぱいに広がって、幸せな気持ちになります。
大学生のある時期から、甘いものを受け付けなくなり、市販のものはあまり食さなくなったのですが、今でも母が作ってくれたおやつは食べられます。そういう、優しい甘さなんです。
ごちそうさまでした。

ちょうど今の季節にぴったりのりんごジャム。
社会人になってすっかりご無沙汰ですが、また作りたくなりました。

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