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SOGIハラで労災認定

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 先日、ダイヤモンドオンラインで、「宝塚歌劇団を愛する年収800万円59歳女性、老後に宝塚移住・ヅカ三昧は可能?」という記事が出ていました。

 私も、宝塚の花のみちのほとりに法律事務所を構え、いつでもすぐに劇場に飛んでいける生活をしてみたいと何度も思っているくちなので、この記事には大変興味をそそられました。

 相談者は、1~2年だけ宝塚での移住生活をして、その後は自宅に戻って老後を過ごしたいが、老後の資金が心配だ、という相談をしておられました。

 結論として、退職金とか年金とかがあるので、老後は贅沢をしなければ大丈夫!という希望の光の見えるような解説がなされていました。

 しかし、ちょっと待って!

 どっぷり宝塚の沼にはまる生活を2年間もした後、すんなりと沼から抜け出せる前提で分析していますけど、そんなことは可能ですか?

 私なら、そんなことは到底無理です。

 宝塚は、飲めば飲むほど喉が渇く塩水と同じ、と友人が言っていました。

 そうなんです。2年ごときで足を洗える世界ではないのです。

 ということで、私は宝塚への移住などせず、私生活や仕事とのバランスを上手く取りつつ老後を迎えたいと思っています。

 時間がない中で、やり繰りして観劇スケジュールを立てる、というのも、面白さが倍増する1つの要素ですしね。


 さて、前置きが長くなりましたが、今日は、SOGIハラでうつ病を発症した従業員に労災認定がされたケースを紹介します。

 今年6月30日、トランスジェンダーの40歳会社員が、上司からのSOGIハラでうつ病を発症したことにつき、労災と認定されました。

 SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉です。

 性的指向とは、どの性を恋愛対象とするのかということで、性自認とは、自分自身の性別をどのように捉えるか、ということです。

 SOGIハラは、性的指向や性自認について侮辱する行為です。

 本人の意思に関係なくSOGIについて勝手に公表してしまうこと(アウティング)も含まれます。

 これまで、うつ病を労災として認定する際には、SOGIハラだけでなく長時間労働のような別の要素も併せてされることが多く、今回のように、SOGIハラだけを理由としたうつ病で労災が認定されるのは初めてのことだそうです。

 SOGIハラは、パワハラではなくセクハラに近いものです。

 相手の性的指向や性自認は、それをわざわざ侮辱する行為は、業務に関連しているはずがありません。

 実際、今回のケースでも、戸籍上の性は男性で性自認が女性の従業員に対し、上司は、「彼」と呼び、これに抗議されると「戸籍上の性別変更をしてから言いなさい」とか、「女性らしく見られたいなら、こまやかな心遣いが必要」と言い、この話し合いの場で何度も「彼」と呼び、数日後の話し合いでも「くん」呼ばわりをしたそうですが、このような上司の行為は、業務遂行や指導に何の関係もないことです。

 「女性らしく見られたいなら、こまやかな心遣いが必要」っていうのは、女性蔑視発言でもあります。男性だってこまやかな心遣いが必要なのは当然です。

 業務に関連して発せらる必要性が皆無な言葉を業務上発しているわけですから、この上司の行為の悪質性は高いと言えるでしょう。

 


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