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自走式経営に欠かせない人権尊重

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 先日、経営の神様と言われる稲森和夫さんが亡くなられました。
 京セラやKDDIを設立して大きな会社に育て、JALを再建させました。
 このすごい経営手腕を学びたいという経営者が後を絶たず、稲森さんの盛和塾には数多くの経営者が集まりました。
 
 こうやって日々学ばなければならないほど、会社経営は難しいものです。設立することは簡単なんですけどね。

 なかでも大変なのが、人材問題です。

 もちろん資金繰りもたいへんですが、良い人材に恵まれている会社は、自然に売上げが上がって経費削減も進み、労務トラブルもなく、離職がないので従業員が会社の財産になり、人員募集にかかる費用が不要になり、結果として資金繰り問題に直面せずに済んでいる印象です。

 「経営はヒト・モノ・カネ」と言われますが、良い人が定着していれば、新しいアイデアで新商品開発ができて金回りも良くなるので、最重要ポイントはヒトなんだろうと思います。

 良い人材がいきいきと仕事をしてくれていれば、社長が自ら現場に出る必要もなくなります。会社が勝手に利益をどんどん出してくれるようになるのです。
 これが「自走式経営」と言われるものですが、経営者の多くがこの自走式経営をしたいと思っているようです。

 自走式経営の仕組みが完成すれば、後は読んで字のごとく、経営者の個別具体的な関与なく経営が自走してくれるので、そうなれば、経営者は自分のために時間を使うことができます。

 大きな会社の経営者は、1人で現場に出て汗水垂らして働いて、その大きな会社を支えることはできません。経営者には経営者のやるべきこと、つまり、戦略を練り、重大な経営判断をすることに集中すべきです。
 成功している大企業は、自走式経営がうまくいっているのです。

 会社が小さいからといって、社長自らが現場に出て1人で働いていたら、いつまでたっても会社は小さいままですし、いつまでたっても社長が現場作業をしなければならず、社長が倒れたら終わりです。
 小さい会社でも、自走式経営を推進していく必要があるのです。

 そして、自走式経営の要は、会社のために働く人々です。

 会社の従業員だけでなく、取引先関係者、地域住民、原料仕入れ国の国民などなど、全ての人の人権が守られて初めて、自走式経営が可能になります。人権侵害があれば、将来会社がトラブルに巻き込まれ、経営者はその後始末に時間とエネルギーとお金をかけなければならなくなるからです。

 会社が、将来も安定して経営を続けようと思うなら、会社の営業活動によって影響を受ける全ての人が誰1人として人権リスクに晒されないように十分検討対処しなければなりません。

 むしろ、関係者全員の人権尊重をしていさえすれば会社経営は安定する、と言っても過言ではない気すらしています。


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