ターシャ・テューダーの世界・ひとり一宇宙
(2022.11.5更新)
タイトルの「ひとり一宇宙」とは、もちろん、物質的な宇宙が人の数存在しているということではありません。メタファーの宇宙です。宇宙全体を見渡したことのある人はいないので、ここでの宇宙は私たち一人ひとりの脳内にあるイメージとしての宇宙のことです。
皆さんはターシャ・テューダーと言うアメリカの絵本作家をご存知ですか?ターシャは絵本作家としても有名ですが、ガーデナーとしてもその名を知られている女性です。
2008年に既に他界していますが、若い時から農業に関心を持ち、バーモント州に広大な土地を持ち、絵を書いたり美しい庭を手入れしながら後半生、一人でスローライフの自給自足の生活をしました。
YouTubeに彼女の生活を映し出している動画が何本か上がっています。その中からこちらをリンクさせていただきますので、よろしければご覧になってください。
もっと見たい…という方は、他にもたくさんの動画が上がっていますので、検索してご覧になってください。
とても美しい映像で、まるで別世界のようです。ゆっくりと時間が過ぎて、平和な日々に見えます。
花の写真がたくさん撮れそうで憧れるけれど、このような生活スタイルは私には向いていません。でも、見ているだけで心が豊かになり、こんな生き方も素敵だなぁとため息がでそうです。
同じ地球上に、様々な生き方をしている人たちがいます。
こうした映像を見ていて思い出すのが、「ひとり一宇宙」という表現です。人間はそれぞれ自分が作り出した宇宙の中で生きている。ひとり一人が自分の宇宙を持っている、という考え方です。
人や物、起きる出来事、それらに自分なりの解釈をして見ているのがその人の宇宙。
その宇宙はその人独自のもので、誰とも共有することはできません。たとえ家族や親友、恋人同士であっても完全に同じ宇宙を見ていると言う事はありません。
そしてその宇宙は、その人が亡くなった時に閉じてなくなってしまいます。
例えば、私が私の解釈で見ていたAさんという人物は、私がこの世を去ると同時に消えてしまいます。肉体を持ったAさんという人物はそのままこの世に存在していても、私が私の解釈を与えていたAさんは存在しなくなります。
私が「この家は私が……して、子どもたちが……して、こんな事があった家」と思って暮らしている家も、私が消えた瞬間、物質としての家は残っても、「私の家」は私と共に消えてしまいます。
ターシャにとっては、外の世界で何があっても、この庭、絵の世界が宇宙。美しい楽園の宇宙。その宇宙で生きていたターシャ。
私たちはその庭をみてそれぞれ感じることは出来ても、ターシャに取ってこの庭がどのような意味を持っていたのかを知ることはできません。
ターシャの楽園はターシャの宇宙として、ターシャと共に消えたかのようです。
同時に、見ている私たち一人ひとりの解釈としての無数の庭としては存在しています。
そう考えると、あらゆるものが儚く、幻のようにも思えます。
でも、それだからこそ貴重で唯一無二の人それぞれの宇宙でもあります。
誰もが人生の最後の瞬間まで、自分独自の宇宙を創造しながら、その中で生きていることになります。
映像を見ながらしばし、ターシャの美しく優しい宇宙を垣間見ることができて、癒されました。
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