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江國香織 流しの下の骨の深町直人は理想の恋人

一番好きな本 何回も読み直して、
単行本と文庫本の両方持っているのが
江國香織さんの「流しのしたの骨」です。

結構マニアックな小説なので、
この私の好きさを少しでもわかってくれる人がいればうれしい

小説を選ぶ時って、
さくっと読みたい時は東野圭吾さんとか林真理子さんとかを手に取るけど、

どっぷり浸りたい・じっくりページをめくることを楽しみたい時は
江國香織さん・川上弘美さん・川上未映子さんの小説あたりを手に取ります。

「流しの下の骨」はちょっと変わったある一家の1年をたんたんと綴られています。タイトルはギョッとするけれど、中身はそんな刺激は1ミリもありません。4人兄弟(女3人・末っ子は高校生の男の子)と父・母の家族。
大きな事件が起こるでもなく、
ちょっとした日々の出来事とか、季節と共に家族ならではの行事が描かれています。
大きな展開がないのに、なぜか何回も読みたくなる、
それはきっと小説に出てくる人達の生活をはっきりと想像できるから。おいしそうな焼売の匂いがしてきたり。もうすぐ冬がやってくると感じる肌寒い風とか。
鮮明に感じられる。

三女の「ことこ」は高校を卒業し、大学にはいかずのんびり毎日を過ごしている。周りと比べて焦るわけでもなく、自分の気持ちに素直に生きている。そんなことこの彼氏がまたまたよいのだ。彼氏は大学生の深町直人。自然に気を使えて、穏やかで優しい。冬の寒い時はしっかりと防寒しているのもいい。スキーの御土産に、ことこが好きそうな駄菓子を買ってくるセンスもいい。

タイプの人ってどんな人?って聞かれたら、
深町直人って言いたくなるくらい。
周りに流されないけれど突っ走ってるわけでもなく、
ふわっと穏やかで、きちんとしているのに堅苦しくない。
決めつけないところもいい。
小説では外見は詳しく説明はないけれど、
骨格がしっかりした、175センチくらいの短髪が似合う、
ちょっとたれ目なんじゃないかと思う。
真冬はダウンを着て、手袋にマフラー。
靴はいつもきれいに手入れされていて。
手は厚みがあって、つなぐと温かいんだろうな。とか勝手に想像しちゃう。

よしもとばななさんの「キッチン」が好きなひとはきっと好きだと思う。
どこか、すんと孤独というか寂しさもあるんだけれど、
暗くはなくて、日常のなかに溶け込んでいる感じ。
伝わるかな~
あとは、漫画から映画化されたネットフリックスの「ちひろさん」が好きなひともきっと好きだと思う。

私はどこか寂しさとか、孤独を感じている人がでてくる小説や映画に共感できるのかもしれない。すんごく不幸なことが起きて努力で這い上がってハッピーエンドみたいな話も、もちろん素敵だけれど、
穏やかで、今を受け入れながら生活していくという方がすっと心に入ってくる。その中で小さなハッピーなこととか、悲しいことをほんの少しだけ乗り越えたことかが描かれているとそれだけで大満足。

流しの下の骨は雨の日とか、
夜に読みたくなる。
持ち歩く用の単行本はもう何回も買い替えている大好きな小説。

小説の家族はそれぞれ個性があって、
考え方も違うけれどそれでもやっぱり家族っていいなって思う。
友達とかとは少し違う関係性。
離れていてもずっとつながっていて。

いつか深町直人みたいな人と出会いたい。
公園のベンチで座ってコーヒーを飲むだけのデート。寒い冬も隣にいると、ほっこりあったかくなる。
そんな人は本当に理想。

深町直人はきっと読む人にとってイメージが違うんだろうな。
他の人が想像する深町直人を語り合ってみたいな。


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