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自然の循環の中での暮らしと、守られるべきもの

わたしはいま築80年ほどの古民家のシェアハウスに住んでいます。
古民家というと、縁側、和室、平屋、木造・・・といった言葉が想像される方も多いのではないでしょうか?

実際に暮らしてみて感じているのは、日当たりが悪い分風通しがよいこと。つまり夏は冷房が必要ないくらいに涼しく、冬は室内でもダウンを着なきゃいけないくらい極寒。

いまは日中20℃くらいだけれど、晴れた日は外のほうが断然温かい。畑や田んぼで作業をして体が温まっているのに、家のほうが寒いので帰宅後にもう一枚羽織るという一連の流れ。笑

10℃以下にもなる真冬にもなれば、薪ストーブや、薪を使った「オンドル」という床暖房など、極寒でもできるだけ自然のエネルギーを使って暖をとっています。
🌲ちなみにオンドルについてはシェアハウスのオーナーちはるさんが記事にされているので、気になる方はぜひ。



シェアハウスに住む前から、冬は極寒で、みんな室内でも外の格好をしているのは知っていましたが、正直どうしてそこまでしているんだろう?家の中をもっと暖かくすればいいのに、と思っていました。

でも先日、ちはるさんと話をしていて、なんとなくそうしている理由というか、そういうありのままの暮らしが在ることへの疑問が少しほぐれたような気がしています。


あくまで私が感じ取ったことですが、そんなお話の一部をシェアしたいと思います。

自給自足が中心だった昔の暮らし

古民家が、日当たりが少なく風通しがよい木造建築であること。
これには昔の人の生活様式も大きく関係しているんだとか。

昔の人の、食べ物を自給自足する暮らし。
田んぼや畑が生活の中心にありました。
作物が良く育つように、それらは日当たりのいい場所に位置しています。

ともなると人間が住むところは田んぼや畑のない場所、つまり日当たりの悪い場所になりますが、木造建築である古民家にとって適した場所にもなっています。夏は高温多湿である日本の気候。木の劣化を防ぐため、夏の暑さをしのぐための立地でもあったのですね。

自給自足が中心となった暮らしの象徴でもあり、木材等自然の資源が活かされた建築。昔の暮らしは、作物や資源が第一で考えられていたように感じました。

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山の中に位置しているシェアハウス。この時期は10時くらいになってようやくやわらかい朝日が差し込んできます。この縁側の風景が好き。


人間は自然のごく一部でしかない

そこで感じるのは、人間って自然の中のごく一部でしかないんだなあってこと。

ここ数年においては、気候変動の問題の深刻化、農薬等で土壌も健康でなくなっている現状。人間が生み出した便利で快適なものが、自然環境に影響を及ぼしていることは言うまでもありませんよね。

もはや自然の一部どころか、一部分にも存在していないのではないかとまで思ってしまいます。


シェアハウスで行っている畑や田んぼも農薬や化学肥料を一切使わない自然農で、太陽、雨、風、雑草や虫、あらゆる自然の力・気候の力を使って育てています。
鶏や虫の糞、微生物、虫や植物、無数の命によって土が豊かになり、育っていく。育った植物の身がなり、またそれを食べる生き物たち。こうした過程は本来の自然の循環のかたちなのかもなあ。自然環境に存在するものだけで循環が成り立っているって、よくよく考えたらすごいことじゃないですか?

例えば人間はプラスチックなどの土に還らないごみ
食品や洗剤、肥料などに含まれている化学的なもの
それらを生み出しては環境に流れ出してしまっている。

いまの暮らしを始めて、断片的ではあるけれど自然の循環を目の当たりにすると、人間だけが循環から浮き出ていて、違和感を感じるようになりました。
言ってしまえば人間だって有機物。当たり前だけれど、生まれたときには化学的なものは一切含まれていないですよね。

以前のように、自然の循環の中に人間が存在できる世界が戻ってきてほしいと願っています。

そんな、世界中に存在する無数の生物のごく一部である人間の、大自然の中の古民家暮らし。極寒でもできるだけ自然のエネルギーを使って暖をとる田舎の人々の暮らしは、自然の一部として馴染んでいるような、矛盾のなさを感じました。ここで暮らす皆さんの姿が、そんな風に映っています。

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伝統的な棚田の風景。稲刈り前と稲刈り後、田んぼによって異なる景色は稲刈りシーズンならではのもの。


北欧文化と通ずるもの

キッチン道具、家具家電など、シェアハウスにあるものは人からいただいたものや中古品が多くあります。

「ここに新品のものを置いたら違和感がある」
「ここなら、いただいたものや中古品はたいていどんなものでも馴染む」

と言うちはるさん、こういちさん夫妻の言葉になんだか説得力があるなあと思ったのも、私はフィンランドがだいすきで、北欧のヴィンテージ文化にも馴染みがあります。

北欧の人々の、モノを長く大切に使う文化。誰がどんな風に使っていたのか、モノに宿っている背景を大切にし、捨てずに次の人に受け継がれていく。そんな印象があります。


いまの暮らしが、だいすきな北欧文化に通ずるものがあるなんて。笑

どこにいても、文化、知恵、マインド、目に見えないものこそ大切にしていきたいし、守られるべきものと思います。


最後ちょっとそれてしまいましたが、きょうはこの辺で。
一気に寒くなってきたので、みなさまお身体には気を付けてお過ごしください。

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