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怪談『赤ピエロ青ピエロ黄ピエロ』

今作は、元友人のSちゃんの為に創った恐ろしい怪異のお話です。
最初に忠告しておく事があります。
この話を読んでから3日間は、できるだけ怪我をしないよう心がけてください。
もし、不幸にも怪我をしてしまった場合は、なるべく血を見ないようにして急遽止血しましょう。
そうすれば、赤ピエロも出ることはないでしょう。

さて、このお話はそんな忠告を無視したがために、この怪異に出逢ってしまった不幸な少女のお話です。

ある日、その少女は友人から赤ピエロ青ピエロ黄ピエロという怪異の話を聞かされていました。
しかし、その少女は話にあまり興味が無かった上、スマホをいじっていて話をほとんど聞いていませんでした。
そう、忠告の部分すらも……

そして次の日、その少女は道で転んで膝を擦りむいてしまいました。
ですが、その少女はあまり気にせず治療しないまま目的地へと向かいました。
するとしばらくして、その少女は固まった血が人の顔のように見える事に気がつきました。
その顔は真っ赤で不気味な笑みを浮かべており、その少女も
「なんか…怖いな…」
と思っていました。

そして少女は家に帰り、お風呂に入りました。
染みる傷口を見て、洗い流したはずの真っ赤で不気味に笑う血の固まりが忘れられずにいました。
そんな事を湯船の中で考えていると、突然、湯船に張ったお湯に、真っ青なピエロの顔が写りこんだのです!
「ピエロっぽい」ではなく完全なピエロが、異常な程口角を上げて笑っているのです。
数秒後、すぅーとピエロは消え、湯船は何事も無かったかのように凪いでいました。

そしてそんな事が起こった日に安眠などできるはずもなく、案の定ピエロの悪夢にうなされ、変な時間に汗だくで起きるはめになりました。
そして、トイレに行こうとして、部屋の電気をつけた瞬間。

いるのです。

目の前に2メートル近い真っ黄色のピエロが、いつの間にか立っているのです。
叫ぶ暇もなく、ピエロは少女の二の腕を掴み、スッと持ち上げました。
持ち上げたまま2秒程止まったかと思うと、「ギギギギギギ」という古いドアを開けるような音と共に、ピエロの上半身と下半身が箱のように開いたのです。
開いたピエロの下半身はペンキで塗りつぶされたかのように真っ黒でした。
少女が恐怖のあまり絶句していると、少女の身体を掴んでいた手がパッと離れ、少女は足先からスルリと真っ黒な下半身に沈んでいきました。

いったい彼女はどこへ行ってしまったのでしょう?

あとがき

これは確か……私が16歳の時に書いた多分2作目の怪談です。
少し表現の修正などはしましたが、ほぼ変えてないです。

ちなみに元友人のSちゃんは実在する人物ですね。
私が当時好きだった女の子で「ピエロが怖い」といつも言っていました。
そんな中、ピエロを題材とした怪談を書いた昔の私は馬鹿なんでしょうね。
好きな女の子にイタズラしていいのは小学校くらいまででしょうに。

そして今まで干支をモチーフにした十二怪談シリーズを更新していたのに、急にこの作品を出した理由はですね、なんと十二怪談の兎と龍は私が気に入らなすぎてボツにした作品だったからです。
実はその後に続く蛇だけお気に入りなんですよね。
なので、少しネタ切れしてきました。
もちろん9月2日までは毎週更新しますけど。
新しく兎の怪談を書けなかった理由は夏バテです。
来週こそは新しく兎の怪談書くぞ!

ということで、少し長くなりましたが、あとがきは以上です。

もしこの怪談作品を少しでも楽しんで頂けたら、スキやフォロー、コメントを頂けると嬉しいです。

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