言葉の宝箱 0120【迷いだすと一歩が踏み出せなくなる】
自然保護の在り方にも言及している水族館のお仕事小説。シリーズ第3弾。
アクアパークから海遊ミュージアムへ出向中の恋人、
梶良平の帰りを待ちわびる嶋由香。
しかし、梶は出向終了後、
すぐに内海館長から長期出張を命じられてしまう。
由香もアクアパークの新プロジェクトリーダーに任命され、
再び行き違いの日々。しかしそこには館長の深謀遠慮があった。
【プロローグ】【第一プール:セカンド・トレーニング】
【第二プール:ユルい鮭】【第三プール:ラッコの気持ち】
【第四プール:ピンクの海】【エピローグ】
・前に進むきっかけちゅうのは、一見些細で馬鹿馬鹿しく見えっから。
だからといって、
脇でせせら笑って見てるだけじゃよ、何もかわりやしねえんだ(略)
楽なんだよ(略)第三者的に笑って見てるだけっちゅうのは。
何一つ考えねえでも、妙に賢く見えっから。
だがな、本当に物事を変えたくて真剣に考え込んでっとよ、
普通は、いつの間にか恥も外聞も無くなっちまうもんだ(略)
何かやってみねえと、変わるもんも変わりゃしねえんだから P44
・誰の心の中にもあるんですよ―――『かわいい』から。
『かわいい』は素晴らしいことなのです。
ただこの感情はかなり本能に近く、
一般に考えられているよりも、ずっと強い(略)
時に『かわいい』は『かわいそう』に変化して、
情熱的で、献身的な行動を生みます(略)
同時に困ったことでもあるのです(略)
かわいいから守る。
では、かわいくないものは守らなくていいんでしょうか(略)
かわいい生き物には関心が集まり、資金も人手でも容易に集まります。
一方、かわいくない生き物は放置。人知れず絶滅していく。
これは気持ちの問題ではなく、きわめて現実的な問題なのです P143
・こだわりすぎて、泥沼に入り込んでしまい、出られなくなる人もいる。
冷静であろうとするあまり、冷静ではなくなるのです P145
・迷いだすと、一歩が踏み出せなくなる P150
・飼育するっちゅうことは、
その命に責任を持つ、ちゅうこっちゃから P222
・自然に関する問題は不思議やな。
壊すのも守るのも、偉い人の間だけで決まってしまう P223
・やってみよ。僕、当たって砕け散るの、得意だから P266
・些細だけど、具体的な事柄―――これが一番きくんですよ。
考えを変えてもらうにはね。プライドも傷付きませんから P271
・あいつはおもしれいぜ。
よく失敗もするが、全力で失敗しやがるから、
こっちも笑って見てるだけでは済まなくなってしまう P298
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