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言葉の宝箱 0062【生きるのに必死だと余計なことはしません】

『札幌アンダーソング・間奏曲』小路幸也(角川書店2015/3/30)

駆け出し刑事の仲野久が勤務する札幌の警察署に「おおきな ゆきたいせきば みっつのうちのひとつに したいをうめた」という謎の手紙が届く。雪堆積場とは雪国特有の排雪した雪を運び溜めておく場所のことだが、その手紙だけを頼りに巨大な雪堆積場を掘り起こすわけにはいかない。捜査が進む中、久の先輩刑事の根来は被害者とされる男の娘に「あの娘には、背徳の匂いがする」と不審を抱き、変態の専門家で超絶美少年の志村春に協力を要請する。平凡刑事と天才探偵の奇妙な事件簿第2弾。

・人間、生きるのに必死だと余計なことはしません P10

・究極の快感は、快楽を感じながらの死。
だから自殺する人の中には死のうと思って死ぬんじゃなくて、
快楽をむさぼった結果の死っていうのも意外と多いんだ P58

・人間っていうのは生きていけば、そしてたくさんの他人と関わっていけば必ずいくつかの顔が語られるようになるんだ。
たとえどんなに〈善い人〉でも、
ある人にとっては〈普通の人〉になったり、
ある人にとっては〈酷い人〉になったりもする。
関わって証言した人の心の有りようで変わってしまうんだ。
〈善い人〉のことを悪く言う人は、大抵の場合心の貧しい人だ P72

・殺人事件でいちばん多いのは身内や知人間の犯罪(略)
犯人は、
家族もしくは親族あるいは顔見知りっていうのがいちばん多い(略)
殺人という悲劇は、人間社会が、家族というものがそこに存在する限り、
この世からなくならない P125


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