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言葉の宝箱0770【失敗は本人がそれを受け止めるしか、前に進む力にはならない】


『白をつなぐ』まはら三桃(小学館 2015/10/26)


『白をつなぐ』まはら三桃(小学館 2015/10/26)を開くと
「一月、広島で開催される都道府県対抗男子駅伝。福岡を代表して出場する中学生から社会人までの世代の違う選手たちが、それぞれの思いを胸に、たすきをつないで走る姿を描く――」とあり、
また、あとがきには
「どの競技のアスリートもそれぞれ苦しい練習を経ているのでしょうが、長距離は、結果が練習量にほぼ比例すると言われています。試合で走っているアスリートたちの表情や体の動きを見ながら、そこに至るまでの厳しい練習と、ストイックな体調管理を思わずにはいられません。アスリートの人生そのものを見ているような気になります。番狂わせが少ないのですから、練習をした人が勝つのですが、それでもアクシデントがあります。その日の調子やちょっとした偶然が、思いがけない結果をもたらすこともある。
長距離が筋書きのないドラマだと言われるゆえんで、そこもまた大きな魅力です」とある。
走る選手たちの心境をメインに、都道府県対抗男子駅伝の世界が臨場感あふれ綴られているスポーツ小説。

・人前で堂々と自分のアピールをする訓練も、
強いメンタルを作るのに必要だ P25

 ・指導は難しい(略)
気の弱い子は、怒られると意気消沈するし、
プライドの高い生徒なら、反発を覚えるだけだ。
難しく考えたり、真面目な子なら、いつまでも尾を引くことになる P34

・長距離は、画家がまっさらなキャンバスに絵を描くような、
小説家が白い原稿用紙に文章をつづるようなものだ。
画家のひと筆ひと筆、小説家のひと文字ひと文字が、
作品を完成させるように、君たちも一歩一歩ゴールを目指す。
ぜひ明日は真っ白な気持ちで走ってほしい。
力強い一歩一歩を刻んでくれ。
悔いが残らないようにな(略)
ともかくみんな、真っ白な心をつないでくれ P78

・鍛え続けている脚は、脳の指令を待たずとも動く。
脚自身が、すでに意志を持っているかのごとくだ P99

・みなさん、ちょっとほっぺたをつねってみてください(略)
痛いですか?(略)
それが生きとるっちゅうことです。
痛いのを感じる自分がここにおるということです。
生きているうちには、痛いことやつらいこともあるけど、
楽しいこともうれしいこともいっぱいあります。
その全部が生きているということです(略)
みなさんもどうか、家族やお友達と仲よくしてください P124

・本気の走りが作り出すのは、美しさだけではない。
強さと恐ろしさも併せ持っている P142

・スポーツ科学を学んだ(略)
辛抱や我慢だけでは解明できない世界がそこにはあった。
それどころか、辛抱や我慢をしていたら、
取り返しがつかなくなる場合があることを知った(略)
体を作るために摂取すべき栄養素や、効率のよい睡眠方法など。
専門的なことから日常生活におけるちょっとした注意まで、
まさに、スポーツは科学だと実感した。
特にマラソンはそうらしい(略)
マラソンになると、素質は二、三割、練習が七、八割となるという。
それほど練習が必要な長距離だからこそ、
科学の力を取り入れていかなければならない P212

・足の裏全体で地面を押す。
まさに押すという感覚が正しい。
蹴ってしまえば空中に浮いてしまって、力が拡散してしまう。
与えて、もらう。もらって、与える。ごくシンプルな自然の摂理。
リズムをつかめば、あとは慣性の法則にしたがうのみだ P222

・失敗は本人がそれを受け止めるしか、前に進む力にはならない P255


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