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言葉の宝箱 0185【やれるとこまでやってみたい。もっと辛いとこまで踏み込んで、もっと面白さがわかって来るまで、試してみたいんだ、自分を】

『恋雨』柴田よしき(文春文庫2013/11/10)

不倫の恋に破れ、仕事も失った茉莉緒は偶然の出会いから、
伸び悩んでいる若手俳優雨森海のマネージャーに抜擢されるが、
その直後、撮影現場で殺人事件が発生し、海の関与が疑われる事態に。
奔流のごとき芸能界で必死にもがく
茉莉緒は海を守り切ることができるのか。
若手俳優を襲った殺人スキャンダルに
新人マネージャーが立ち向かう恋愛ミステリ。
芸能人マネージャーのお仕事小説としても楽しめる。

・人間には、そっちの方向に歩いてはダメだ、危険だとわかっていても、
すすむのを止められない時というのがある P28

・ふられた、と知った時に誰でもひどく傷ついた気持ちになるのは、
自尊心のせいばかりではないと思う。
それは、ひとりぼっちになることへの恐怖でもあるのだ。
恋人がいる、というだけで、自分はひとりじゃないと思っていられる、
あの心地よさを失うことが怖いのだ P41

・何もしなかったわけではない、確かに何かをしていたはずなのに、
気がついてみれば何も残っていない。
そして、後悔すら、ない。生きるために働いていた。ただそれだけ P59

・ほかの誰にも代わりが勤まらない仕事なんて、
この世の中にはないんじゃないか P80

・今まで何をやっても結局、中途半端だったろ。
だから今度こそ、やれるとこまでやってみたい。
もっと辛いとこまで踏み込んで、もっと面白さがわかって来るまで、
試してみたいんだ、自分を P330

・さよなら、と、上手に言えるんだろうか(略)
泣かないで言うのは無理だ。できっこない。きっと泣いてしまう。
だが、総てはもう、決めたことだった。あたしが決めたのだ。
あたしの人生。この先の一歩。これからの、歩く道 P503

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