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言葉の宝箱 1107【間違いがどこにあったか。失敗を見つめないで、どうするんだ。ミスの理由を追及して次に活かしてこそ、人は前に進めるんだ】

『おまえの罪を自白しろ』真保裕一(文藝春秋2019/4/15)

衆議院議員の宇田清治郎は「総理の友人に便宜を払うため、国交省や県に圧力をかけたのではないか」という疑惑を糾弾され、連日メディアに追われていた。その最中に3歳になる孫娘が誘拐された。犯人の要求は「記者会見を開いて、おまえの罪を自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ」タイムリミットは翌日の午後5時。動機は宇田清治郎への怨恨か。それとも総理の罪を暴くことにあるのか。警察は「思い当たる過去の罪を事前に打ち明けてくれ」と宇田を説得する。保身のための駆け引きに長けた官邸サイドと対峙するのは宇田家の次男で秘書の晄司。宇田一族、総理官邸、警察組織。三者の思惑が入り乱れる中、刻々とタイムリミットが迫る。晄司たち家族の戦いが始まる。政治家一族の身内が誘拐されるという現実的に起こりうる危機を描き出すサスペンスミステリ。


・親がわがままだと、子もそっくりに育つ P6

・国会には国政調査権がある。
が、過去の例を見るまでもなく、証人喚問は野党の顔見せショーにすぎず、真相の解明につながるわけもなく、
検察と警察が動いてこそ、真実が突き止められる P11

・最先端の現実に、知識と経験が追いついてこない P36

・政治家には必ず裏の顔がある。
疚しい過去をすべて包み隠さず打ち明けてくれるとは考えにくい。
違法献金、職権乱用、談合の采配、贈収賄…… P51

・計画的な誘拐を実行するには、
秀でた立案能力と冷静な行動力、さらには瞬時の判断力も必要 P52

・過去にただの一度も罪を犯してこなかった者など、いるはずがない(略)大望と野心を持つ政治家が、一切の罪を犯さずに選挙を幾度も勝ちぬき、
与党の重職を得るまで、のし上がっていけるものなのか P55

・相手が困っている時、直ちに動こうとするのは、
本物の友人か、取り繕った偽善者と決まってる P61

・行動の裏には必ず真の狙いが隠されている。
プライドに縛られて、ただ粋がって
得意顔をしてみせたがるやつは三流以下だ(略)
普段からよく周りを見ておけ、何かを企んでいるか、
絶えず相手の腹の内を探り、己の観察眼を磨くんだぞ P62

・罪を自白した者が何を語ろうとも、残念ながら説得力は薄かった。
人は自分を飾りたがる P64

・普段から緊張感を持って接しないと(略)
不用意な発言をしかねない(略)
絶えず人の目を意識しろ P65

・間違いがどこにあったか。
失敗を見つめないで、どうするんだ。
ミスの理由を追及して次に活かしてこそ、人は前に進めるんだ P68

・国の予算は限られてるし、単年度会計で使うべき額も決められている。
こちらが手をこまねいていれば、よその地方に奪われるだけだ。
だから、政治家は懸命になって、
地元の案件が通るようにと予算の確保に奔走する。
それこそが政治家の大きな仕事の柱と言えるからだ P78

・迂闊に記者と女を信じるなよ。やつらは利に聡い P79

・政治家は周りを気にしてたんじゃ、勝負はできない。
腹をすえて踏み出す決断も必要なんだ P106

・頼ってきた者にすぐ手を差し伸べたのでは、
自分の価値が高まりはしない。
人は、本当に困り果てた時でないと、
その相手に服従してもかまわないとまでは考えない P110

・たとえ泥を被ってでも、
果たさなければならん使命というものがある P174

・相手を怖れずに自分の意見を堂々と表明できる人というのは、
必ず周囲の信頼を集められる P178


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