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言葉の宝箱 0552【決して完璧ではない。耐えることを知りなさい。足らぬことの幸福を自覚しなさい】

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『香菜里屋を知っていますか』北森鴻(講談社2007/11/22)

ビアバー香菜里屋は
客から持ちこまれる謎がマスター工藤によって解き明かされる不思議な店。常連客は工藤による趣のある料理と共にこの店を愛していたが、
その香菜里屋が突然畳まれてしまい、
若かりし頃の工藤の秘密が明らかになる。シリーズ完結編。
『ラストマティーニ』『プレジール』『背表紙の友』
『終幕の風景』『香菜里屋を知っていますか』5話連作短編集

・人生は、まさかの連続ですよ P45

・人は、道端に転がった
小石ひとつに躓き、大怪我をすることがあります P57

・幸福であるがゆえの驕りかも P59

・楽しむという言葉が、
どうにも背負いきれなくなるときもあるじゃないですか(略)
がんばれ、がんばれって
励ましの言葉が呪いの忌み言葉になることだってあるんです(略)
負けるな、くじけるな、立ち向かえ、
その言葉の重みに耐え切れぬことが、人生のシーンにはままある。
どうしてここで立ち止まってはいけないのか、
後ろを振り返ったっていいじゃない。
ほんの少しだけ、しゃがんで地面を見つめるくらい、どうってことはない。そう思える人は幸せだし、
本当の強さを身につけているといってもよいだろう。
けれど多くの人は前を見つめられない自分を責め、
立ち止まってしまったわが身を鞭で打つ。かくして、悲劇は起きる P62

・変化はいつだって些細なことから始まる。
予兆は人に気づかれることなく提示され、思わぬ形で開花する。
喜ばしいか、恨めしいか、そんなことはまるでお構いなしで P107

・ああそうか、夫婦だものな。次第に似てくるモンなんだ P114

・決して完璧ではない。耐えることを知りなさい。
足らぬことの幸福を自覚しなさい P116

・同じ空間で共有する同じ食べ物というのは、
もっとも手っ取り早い連帯感発生装置なのかもしれない P118

・努力の末に習得した技術は、決して自らを裏切らない P127

・過去と向き合うというのは、なかなかつらいものだね P153

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