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言葉の宝箱 1149【長い年月、気持ちにすれ違いの生じない夫婦などありはしない。こうやって気まずい時さえやり過ごしてしまえば、あとはもとの平穏な暮らしに戻っていける】

『ストロボ』真保裕一(新潮文庫2003/5/1)

・歳は関係ない。鍛え方が足りなかっただけだ。まだまだ俺はやれる P11

・大した過去でもないのに、
昔を振り返りたくなるのは、ただの感傷にすぎない。
どんな仕事でも全力をつくせばいいじゃないか。
言い訳の重石を腹に呑むたびに、
手足の自由が奪われ、身動きがとれなくなる気がした P18

・写真は、撮られる側の思いを写すと同時に、
撮る側の技量や思惑をも鮮やかに浮かび上がらせる。
それらが一体となった時、一枚の写真に厚みと重みがともなってくる P34

・怖い顔をしていたのだろうか。
気負いとプレッシャーが顔に出ていたとは P43

・自分の中でわだかまりそうになる感情より、
大切にしておいたほうがいいものもある P44

・言葉の端々から、その人の歩んできた道のりが見えることもある P45

・年を経るとともに、技術や計算を確かなものとして見につけ、
その代わりに失われていくものが確かにある。
昔と変わらぬ情熱を保ち続けているつもりでも、
昔と同じでは決してなかった P48

・写真は一瞬を切り取るものであったが、
そこから時代の流れやうねりをすくい上げていくのが、
カメラマンの本来の務めだ P70

・女より男の嫉妬のほうが始末に負えない P79

・何を撮りたくてカメラを手にしているのか、
ちっとも伝わってこない写真ばかりだ P82

・長い年月、気持ちにすれ違いの生じない夫婦などありはしない。
こうやって気まずい時さえやり過ごしてしまえば、
あとはもとの平穏な暮らしに戻っていける P96

・人の心はいつだって、取り繕った表情の下に隠されている。
それをカメラの力ではぎ取ってやるのが、
プロとしての手腕じゃないか P150

・男が夢を語ると、とたんに女は現実的になる P200

・偶然のように見えても、
人の歩んで来た道には
必然の轍が続いていると感じられてならない時がある P207

・綺麗すぎる写真って冷たく感じられる時がある P221

・人が踏み行く坂の上からは、
いくつもの目に見えない運が転がり来るものなのかもしれなかった P237

・単純で後ろ向きの発想を恥じない者はどこにでもいる P273

・日常の小さな謎にすぎずとも、
その謎が解けた時、人の印象ががらりと違って見えてくる P339


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