言葉の宝箱0734【人に優しくする方法を知らなかったんだ】

『居酒屋ぼったくり⑨』秋川滝美（アルファポリス2018/3/5）

東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」、名に似合わずお得なその店には旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある。
シリーズ第９巻。
『傷を癒すもの』『お助け栗きんとん』『それぞれの居心地』『家出騒動』『いつか来た道』５話連作短編集。

・口が悪い。『悪い』というよりも『汚い』と表現したくなるほどで、
近隣の評判も思わしくない　P18

・何をしてほしいわけじゃない。話を聞いてくれただけで十分　P22

・辛いときは甘える、できないときは助けてもらう。
それが家族というものだ　P26

・言わなくてもいいことをはっきり言って、人を傷つける。
しかも自ら『悪気はない』とか『あんたのためを思って』なんて
言葉を添える。
自分はけっして間違っていないと信じるやっかいなタイプ　P27

・世の中には悪口を言うのが大好きという人間がいる（略）
それとは正反対の性格で、とにかく誰かを悪く言うのが嫌いだ。
たとえそれが根拠のあることであっても、である。
なんでも堪えてしまうから争いごとにはならない　P33

・大事な人を傷つけられて黙っているほど温厚じゃない　P50

・頭の先から足の先まで全部いいところばかり、なんて人はいない。
だから、その逆――悪いところしかない人だっているわけがないのだ　P76

・かわいい笑顔・・・。
こうやって、ずっと笑ってればいいのに・・・　P83

・言葉が過ぎる人はいくらでもいる。
傷ついたり、落ち込んだりせずにすむのは、
彼らの言葉の底に温かい気遣いがあると知っているから　P86

・人に優しくする方法を知らなかったんだと思います　P98

・作るのが楽しいから作る。
家庭の味にできて美味しいから作る、買うより安いから作る。
おせちを手作りする理由は様々だ。
同様に、作らない、あるいは作れない理由だって様々だろう（略）
大事なのはお正月におせち料理を食べ、
家族揃って一年の平穏無事を祈るという行為そのものではないか　P120

・現実を肯定して楽しむ術を心得ている　P165

・誰かに強制されるのではなく、
自主的にやるのであれば、勉強でも運動でも嫌だとは感じない。
逆に、どんなに好きなことでも、強制なら楽しくない　P212

・人間なんだから、いいところもあれば、嫌なところもある。
誰かを好きになるなら、よいも悪いもひっくるめて好きになるべき、
『ありのまま』上等　P247