言葉の宝箱0634【大義名分があるだけで簡単に残酷にもなれる】

『スイーツレシピで謎解きを 推理が言えない少女と保健室の眠り姫』
友井羊（集英社文庫2016/10/25）

高校生の菓奈は吃音で引っ込み思案だが、密かに好意を寄せる真雪はお菓子作りが得意な究極のスイーツ男子。ある日、真雪が保健室登校を続ける「保健室の眠り姫」こと悠姫子のために作ったチョコが紛失。鋭い推理をつまりながらも懸命に伝える菓奈は次第に大切なものを手に入れていく。お菓子作りのしくみが事件の鍵となる学園青春ミステリ。
『チョコレートが出てこない』『カトルカールが見つからない』
『シュークリームが膨らまない』『フルーツゼリーが冷たくない』
『バースデーケーキが思い出せない』『クッキーが開けられない』
『コンヴェルサシオンはなくならない』『マカロンが待ちきれない』
８話連作短編集。

・一歩を踏み出す勇気は消えていく。
逃げたまま世界のすみっこで、口をつぐんで静かに過ごせればいい　P25

・無理をせずに、できることをすればいい　P31

・期待に応えられないのが辛いってことはつまり、
できるのが当然と思っているわけでしょう　P85

・人との関わりは、きっと楽しさも運んでくれる　P101

・人との関わりが増えてきた。
楽しいことも生み出してくれるけど、
悲しいこと、怖いことも同時にもたらされる　P136

・褒められるのは気持ちの良いことだ　P148

・強引に踏み出すくらいのほうが人間関係はうまくいく　P154

・居場所って簡単に壊れちゃうんです　P189

・普通にできるはずのことができない状態を、
できる側が想像することは難しい　P198

・色々なことに、ほんの少しだけ踏み込んでみよう。
辛い思いをするかもしれない。
でもきっと楽しさもたくさん待っているはずだ　P212

・誰も友人がいなかったころは心が鈍感だった。
でも一度手に入れてしまうと失うことが恐ろしくなる　P231

・誰かのためになら、私は強くなれる。
一方で、大義名分があるだけで簡単に残酷にもなれる。
自分にそんな面があったことが恐ろしかった　P261