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言葉の宝箱 0551【考えるには、寂しいくらいがちょうどいい】

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『蛍坂』北森鴻(講談社2004/9/21)

カウンターでゆるりと時が流れる。香菜里屋に今夜もまた事件が一つ。
わだかまっていた謎が旨いビールと粋な肴で柔らかくほぐされる。
それが当店の「陰謀」なんです。
ほろ苦くて美味しく切ないビア・バーミステリシリーズ第3弾。
『螢坂』すべてを捨てて戦場カメラマンをめざした頃の
あの坂道はどこに消えたのだろうか
『猫に恩返し』世田谷線の線路に面して建てられた黒猫ゴン太の顕彰碑。
その裏側に女の顔が浮かぶという噂
『雪待人』3代続いた画材屋がいよいよ店を畳むという。
待ち続けた1枚の絵はいつ完成するのだろう
『双貌』カウンターの向こうから見つめてくる男の姿が記憶の底を刺激する『孤拳』若くして逝った「脩兄ィ」の最期の願い。幻の焼酎・孤拳を探し求めてドアを開けた、香菜里屋で明かされた衝撃の事実。5話連作短編集

・ただ彼女がそばにいてくれることのみが嬉しかった。楽しかった P9

・手間を掛けるだけが技術ではない P30

・人が老いるとは、こういうことなのだろう。
そう思えばつらくはあったが、絶望はしなかった。
苛立ちを、誰かに転嫁することもなかった。
人はこうして日々朽ちてゆく P86

・人には踏み込んで欲しくない事情もある P96

・罪を重ねることであるとしても、
その罪さえも甘い思い出に変えてしまう不思議 P121

・食べ物ひとつで幸福な気分になれる P129

・夢は甘ければ甘い方がいい。夢として持ち続けるかぎりは P139

・人にとって大切なのは初対面における第一印象でしょう P141

・寂しいよ。けれど寂しいことは哀しいことじゃない。
自分がこれまで為してきたこと、これから為すべきことを考えるには、
寂しいくらいがちょうどいい P179

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