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ビジョンスケッチ - ビジネスとアートの関係性(1)

本日は復習から始めてみましょう。
前回こちらに記させてもらった「『観る力』を鍛える - VTS -」で、「みる・考える・話す・聴く」の四つの能力を高めていくことが重要であるとお伝えさせていただきました。そしてまた、私自身がセミナーやクライアントと戦略構築する際のアイスブレイクとしても、有効に使ってきたことも述べさせてもらいました。

弊社ではこのVTSをすでに5年以上活用しておりますが、その際に取り上げてきた絵画数も100作品を超えてます。こうして数多くをこなしながら、V T S に相応しい絵画、アート作品があることがわかってきました。

VTSに相応しい作品

もう少しだけ触れてみると...
①多様なアイデアを創出させて、その人なりのストーリーを紡ぐことができる。つまり共感ポイントがあるもの(宗教画は厳しい)。
②正解がない問いに自分なりの答えを模索できる。他人の言葉を聞きながら、重ね合わせて新しいものが見つかる作品がよい。
その点では、マグリットアンリ・ルソーの絵画は、視点の取り出し方で、参加者同士が、新しい解釈方法を見出す傾向がある。
ということでしょうか。

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ちなみに私はアート好きですが、当然ながらVTS視点で考えると全てがいいわけではありません。これが私がマーケティングを本業としながら、どうやってこの手法を教育視点だけではなく活用するか、ということを思案してきた蓄積なのかもしれませんね。

ビジョンスケッチ

さてアートに近い手法としてひとつ、今日はもう1つお伝えしたいと思います。それは「ビジョンスケッチ」です。

センスメイキング理論」の第1ステップ(感知/ありのままに観る)に寄与するとして「VTS」をご紹介しましたが、第2ステップ(解釈/自分なりのフレームにまとめる作業)として活用しているのが「ビジョンスケッチ」です。これは野中先生の「S E C Iモデル」に置き換えると「暗黙知から形式知への変換作業」となります。つまり、茫漠としたイメージ脳なとビジョン思いなどのイメージをアウトプットする作業という意味と捉えるということです。

しかし重要なのは「暗黙知から形式知」への変換前に「暗黙知から暗黙知」のS共同化(S-ocialization)、つまり親方の背中で伝えると比喩されるような言葉やデザインになる前の「個人が自己と他者の境界を超越する、他者に共感する世界」という意と捉えそれは言葉ではなく、絵ではないかと私は考えたわけです。

つまり、変換を必要とせずそのままを理解する、頭の中のモヤモヤをスケッチするというエクササイズ。これが「ビジョンスケッチ」です。アインシュタインの言葉「科学者は、数式より前に絵で描く」(「アインシュタインのノート」より)に繋がっていることでしょう。

「ビジョンスケッチ」について改めて整理してみます。
①言葉よりも絵の方が、自分の頭の中のありのままをアウトプットしやすい
②箇条書きでは、思考が先にそれ以上進まなくなってしまい共感を妨げる
結果として、この「ビジョンスケッチ」が「センスメイキング理論」上、極めて重要ではないかと感じているのです。

ビジョンスケッチの実例

この数年間での弊社マーケティングセミナー&ワークショップにご出席いただきました方々のビジョンスケッチ事例を見てみましょう。

ビジョンスケッチでのテーマ設定は「今までの概念"あたりまえ"の概念を外してしまうこと」ですので、テーマを設定するときは「自分が制約して居るものを外す」ことに有効なものを選ぶ必要があります。
そこで描いていただくテーマは以下のようなものが多いです。

「あなたが子供時代に熱中したものは何でしたか?」
「もしあなたが、一か月に1000億円を使えるしたら何に使いますか!」
という問いがあるとします。さあ、あなたは何を描きますか?

次回投稿までに

では。今回はここまでといたしましょう。
次回は、具体的に弊社これまでの事例(参加者の絵)を用いて、どんなことがわかるのかを説明させてもらえたらと思います。

もしお時間あれば先程のテーマについて、ご自身も描いてみてください。
説明予定の他の方の意見も参考になり、楽しめると思いますよ。

ではまた。
良い週末をお過ごしください。

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<ご案内> 弊社開催セミナーです。今回ご案内している「ビジョンスケッチ」も実際に体験いただけます。ぜひ参加検討くださいませ。

(続)