サバ一筋で18店舗経営、「サバ博士」右田孝宣さんに聞いた「偏愛のつくり方」【よなよなビアファンド】
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サバ一筋で18店舗経営、「サバ博士」右田孝宣さんに聞いた「偏愛のつくり方」【よなよなビアファンド】

2021年4月に始まった、笑顔を生み出す多様性人材「よなよな人(びと)」へのビール投資プログラム「よなよなビアファンド」。「出る杭に心打たれる」をキャッチコピーに、様々な分野で活躍する人をよなよなエールで支援する取り組みです。

「よなよな人」に共通しているのは、自分がやりたいと思ったことを探求する「知性」と、それに情熱を傾ける「偏愛」を持っていること。日常生活を送るなかで、見失ってしまうこともある「偏愛」ですが、よなよな人達はどうやってそれを持ち続けてきたのでしょうか。

今回は、よなよな人第3号のサバ博士の右田孝宣さんに「偏愛のつくり方」についてお話を伺いました。

<聞き手=ふつかよいのタカハッピー、ヤッホーブルーイング・よなよな編集部スタッフ>

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【プロフィール】右田孝宣さん
大阪府生まれ。オーストラリアでの飲食業界経験を経て2004年に帰国後、居酒屋「笑とり」をオープン。2007年には鯖寿司専門店「鯖や」を設立。その後は、クラウドファンディングで総額1億1680万円の資金調達を果たし「とろさば料理専門店SABAR」を開店。現在、直営店10店舗、FC店9店舗、海外2店舗計18店舗のSABARを経営している。「本物のサバの美味しさ」を多くの人に知ってもらい、日本の食文化と魚文化を守るべく日夜奮闘中。
株式会社鯖や(右田さんの会社):
「サバの総合商社」を目指し、商品開発から養殖、製造、卸、販売、飲食店経営まで一貫して行なう飲食版SPAを実現。現在は、サバの養殖事業やサバを食べる食文化の啓蒙活動、商品開発などに取り組んでいる。
https://sabaya-group.com/

スーパーの鮮魚売り場でのアルバイトが「偏愛」の原点

——2007年に株式会社鯖やを立ち上げられ、「サバ博士」と称される右田さんですが、魚は元々お好きだったのでしょうか?

実は、19歳になるまで魚は食わず嫌いで、一切食べられませんでした。ですが学生時代の友人の紹介でスーパーの鮮魚売り場で働くことになり、捌き方や調理方法、食べ方まで本当に幅広いことを知って。少しずつ魚の魅力に取り憑かれていったんです。

その後は活魚(※)売り場に自ら手を挙げて移るくらい、のめり込みました。アルバイト中、配達先のお店でいただいたカレイの煮付けがすごく美味しくて驚いたのも、魚が好きになった理由です。

(※)鮮魚は捌いた新鮮な魚、活魚は生け簀などにいる生きた魚

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——なるほど、数ある魚の中でも「サバ」に興味を持ち始めた理由は何だったのでしょう。

23才のときに、オーストラリアの回転寿司チェーン店で働き始めたのがきっかけです。驚いたことに、日本では当たり前のように回転寿司レーンに並ぶネタ「しめ鯖」を、オーストラリアでは一度も見なかったんです。オーストラリア国内の市場に出回っている安価なサバは、臭みや酸味が強いのがその理由なようでした。

そんな中、回転寿司チェーン店を経営する社長から「右田、美味しいしめ鯖を作ってくれるか?」と宿題をもらい、それからはサバと向き合う毎日でしたね。脂の乗ったサバを遠くのマーケットまで探しに行ったり、臭みを消すための塩や酢の使い方、漬け時間を研究したり......。

結果、極力臭みや酸味を抑えながらジューシーに食べられるしめ鯖の開発に成功し、さらにそれをバーナーで炙って提供したものが現地の方に喜んで食べていただけるようになったんです。自分が作ったものを認めてもらえたのも嬉しかったですし、僕自身もサバの美味しさを再認識して、そこからどんどんサバが好きになっていきました。

サバ一本でビジネスを開始! ユニークな宣伝方法が注目を浴び……

——帰国後はさまざまな紆余曲折があったのち(今回は割愛。詳しくは右田さんの次回記事「5つのピース」にて)、オーストラリアで身につけたノウハウを活かし、海鮮居酒屋「笑とり」を開店。その後、株式会社鯖やを設立されていますね。

そうですね。「笑とり」で出していた鯖寿司がお客様から美味しいと評判になり、妻の後押しもあってサバ一本でビジネスを始めることに決めました。

サバイクと社長

問題はその宣伝方法でしたが、ある日妻がスケッチブックに描いていた「サバイク(サバ+バイク)」に乗って鯖寿司をデリバリーしたら面白いのではないかと盛り上がったんです。

実際に私自らバイクに乗り、自作のテーマソングを流しながらデリバリーにまわったところ、ローカル局の生放送で取り上げていただくことができました。これが、会社設立の決定打でしたね。

とろ鯖棒寿司

青森県の八戸前沖サバを使用した「とろ鯖棒寿司」はスーパー、デパートで販売され大ヒット

その後は「とろ鯖棒寿司」の販売や食育活動、とろ鯖料理専門店「SABAR」をオープンさせるなど、さまざまな事業に取り組んでいきました。

当たり前のように、サバを“生”で食べられる日を夢みて

——順風満帆に見えますが、苦労したことや今振り返ると「失敗しちゃったな……」と思われることはありますか?

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たくさんありますよ。たとえば、サバ専門店をフードコートに出店したことがありますが、あれは今思うと「フードコートでジャンクを救え!」というコンセプト設計がそもそも間違っていましたね。

お酒とサバ以外のさまざまなメニューがあって初めて「サバが“売り”って珍しいね」と注目していただけるのに、家族で食べに行ってサバだけで構成されていたら、正直「え、勘弁してよ」と思いますよね(笑)。

——(笑)。確かに、子どもを連れて食べに行くにはハードルが高いかもしれませんね。

でも、この出来事はサバ一本で事業を展開するうえで、どのようにサバを打ち出していくかを考え直すきっかけになりました。

近年、サバの缶詰の売上高がツナ缶を抜いてNo.1になったり、コンビニでサバがメインの弁当が売られていたり、私たちの「身近にサバがある生活」が当たり前になってきています。私たちはそこに乗っかるように尖ったコンセプトで「一過性のブームを狙う」のではなく、サバの新たな未来やマーケットをつくりたいと思ったんです。

そう考えたときに、ふとサバを“生”で食べることはまだまだ世の中に浸透していないと気づきました。お寿司屋さんで「しめ鯖」は目にするものの「生サバ」はほとんど目にすることがありませんよね。

23万人の方にアンケートを取ったところ、64.5%が「生サバを食べたことがないが、食べてみたい」という回答でした。興味はあるものの、食べられる環境がないだけなのであれば、接点を増やせばきっと多くの方が手にとってくれるはず。

今は、どうすればみなさんに生サバを手軽に口にしていただけるのか考えて、試行錯誤しています。ゆくゆくはお寿司屋さんでサーモンとマグロに並んで当たり前のように生サバが食べられる未来をつくりたいですね。

——そのためには安心安全に生サバを提供することが重要だと思うのですが、現在はどのような活動をしていますか。

実際のところ、海で人工種苗を使ったサバを養殖しても99.9%アニサキス(寄生虫)のリスクはありませんが、あと0.1%の安全を謳うために多大な時間とコストがかかるんです。そこで、僕たちは100%安全な陸上養殖(完全養殖)に挑戦することにしました。

陸上養殖には、卸のように丸ごと養殖場を販売する形態の「物販型」と、飲食店などの近くに養殖場を併設し、そこで育った鯖を店に提供する形態の「直販型」がありますが、まずは直販型で話題づくりを狙う予定です。

養殖場とお客様のタッチポイントを増やすことで「こんなところでサバの養殖をしているのか」という気づきを与えたり、実際に食べて「生のサバって美味しいんだな」と感動していただく体験を提供したいんですよね。

サバ博士 右田さんの考える、よなよなエールの魅力

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よなよなビアファンドの法被(はっぴ)を着用いただきました!

——実際に食べたり見たりして触れる機会があると、サバだけでなく水産業全体にも興味がわきますよね。

そうなると嬉しいです。将来的に、よなよなエールさんの大阪ブルワリー(大阪府泉佐野市と共同で建設計画中)にも陸上養殖場を併設し、その場で釣ったサバをバーベキューで焼いて、よなよなエールと合わせて楽しむ......なんてことができたら素敵ですよね。

——右田さんとよなよなエールの出会いはちょっと特殊で、右田さんが優勝されたビジネスカンファレンスの賞品として「よなよなエール1年分」をプレゼントしたのが始まりでしたよね。ちなみに、よなよなエールはどんなときに飲むことが多いですか?

バーベキューなど、外で非日常感を味わいたいときに飲むことが多いです。最近はお客様が訪問されたときにお出しすることが多いですが、高級感や特別感があるパッケージに喜んでいただけます。実は最近ボディメイクをしていたので意識的にビールを飲まないようにしていたのですが、久々によなよなエールを飲んだら2缶も3缶も飲めてしまう美味しさでした。苦味だけでなく甘味もあるので飲みやすいんですよね。

シバかれてもいい。挑戦し続ければ、自然と仲間が集まってくる

——よなよなビアファンドのキャッチコピーは「出る杭に心打たれる」ですが、右田さんのように自分の好きなことを活かし、活躍するにはどうしたらいいと思いますか?

うーん、そうですね。そもそも「好きなこと」を見つけるの自体が難しいですよね。だから、見つけられただけで素晴らしいし、センスがあるのだと思います。好きなことって、自分が何をするうえでも原動力や自信につながるじゃないですか。

あと、自分の好きなことだけでなく「やりたいこと」は口に出しまくった方がいいです。最初は叩かれたり、いろいろなことを言われるかもしれませんが、口に出さなければ誰にも伝わりません。何を言われても本当にやりたかったら我慢できます。「かぼちゃが喋っている」と思えば良いんです(笑)。

——かぼちゃが喋っている。そう思うと、乗り越えられそうです(笑)。

そうですよ。最近は副業解禁の流れもあり、やりたいことに挑戦しやすい環境が徐々に整ってきていますので、後悔するくらいならチャレンジした方がいいです。「言わなければ良かった」より「言ったけどシバかれた!」と思うくらいでいい。「失敗した」という結果が出るので、楽しいですよ。経験値も積み上がっていきますし。僕自身、たくさん失敗してきたので挑戦が怖くなくなりました。

自分を信じて仕事をすれば、必ず周りに波長が合う人が集まってきます。それが自然と大きな仕事に変わったり、何らかのチャンスにつながっていくので、焦らず自分の「好き」を大事にしてほしいですね。

とびきり美味しい生サバを食べられる未来に、乾杯!

「サバの陸上養殖で世界を変える」を掲げ、日々活動を続ける右田さん。「みなさんが当たり前のように生のサバを食べる文化を必ず作ります。ハードルは高いですが、だからこそ面白いし、私たちがチャレンジする理由があると思うんです」と力強く語ってくださいました。

好きなことにどこまでも真っ直ぐで、諦めずに挑戦し続けるその姿に自然と周りの人も惹きつけられていく。筆者もお話しているだけでパワーをもらい、「自分の好きなことを大切に日々過ごしていこう」と決意を新たにしました。

マグロ、サーモン......今までスター選手と言われてきた寿司ネタの横にいつか「生サバ」が並び、みんな笑顔で食べられる瞬間が、きっと実現するはず。そのときはよなよなエールで思いっきり杯を交わしたいものです。

よなよなビアファンドではこれからも、サバ博士 右田孝宣さんを支援していきます。

「よなよなビアファンド」では、これからも新しい“よなよな人”の発掘や、“よなよな人”への支援を行っていきます。これからの「よなよなビアファンド」も、お楽しみに!

おわり

取材・執筆:ふつかよいのタカハッピー、編集:ツドイ

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