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#サマソニ 感想戦 Maneskinに衝撃を受け 「この3年間、何をやっていたんだろう?」私と日本の音楽シーンの反省会

はい、ソニックマニア→サマーソニックと3日間、駆け抜けました。サマソニ初日のミッドナイトソニックは不参加でしたが、完走と言っていいでしょう。所感、雑感を。

・実質、3年ぶりの開催なわけですが(2020年はスーパーソニックの予定が延期となり、2021年のそれは手かせ足かせのついたかなり制限されたもので)、懐かしいな、昔に戻ったなと感じつつ、さて、この3年、私は、日本のアーティストは、音楽シーンは何をやっていたのだろうと感じた次第です。後述する、人権に関する話も。なんせ、音楽とどう向き合うかということも。何かをつくってきたのかということも。いや、3年は空白ではないのですけど、日本の音楽シーンが退化、停滞していたのではないかと思った次第です。

・マスクをしている他は、ほぼ2019年までのフェスでした。大合唱はないものの、大歓声はあがっており。モッシュ、ダイブはないものの、人と接しない程度に密集しており。

・イタリアのバンド、ロックの救世主Maneskinがあらゆる点ですべてを持っていったフェスでした。第1回フジロックで滝のような雨の中、RAGE AGAINST THE MACHINEを観たときのような、初めてインディース時代のXを聴いたときのような、衝撃で。尖っていて、歌って、踊れて。なんせメンバーのライフスタイル、アティチュードが凄まじく。20歳くらいのローマ出身の男女。ベースのヴィクトリアはバイセクシャルであることを公表しており、ライブでは上半身裸で乳首だけニップレスで隠して演奏。色物視する人もいるかもしれないですが、これは彼女なりの主張であり。抑圧、視線への抵抗、と。最後は最高におしゃれな服を全員が脱ぎ捨て演奏し、このジェンダーレス感、ライブ感はセクシーという言葉を使うのがむしろ不適切だと思われるくらい、ロックを感じ、主張を感じ。「すごいもの」を観た、という感じです。みなさんも、MV、音源、メンバーのSNSなどをチェックを。

・たまたま見かけたRina Swayamaのステージが圧巻で。エネルギーがほとばしっていて。LGBT婚に関する問題提起のMCが魂を感じるもので。大変に話題となり。何か懐かしいなこの空気と思ったら、2019年に参加した東京のレインボープライドのような空気感だなと。ManeskinもRina Swayamaも、そんな時間、空間でした。

・Maneskinのヴィクトリアが乳首をニップレスで隠していた件を、King Gnuのドラマーが真似し、井口理が「Maneskinです」と紹介した件や、マキシマム・ザ・ホルモンがカタコトの日本語を話す外国人アーティストの真似をした件が炎上し。ともにその場にいました。SNS上ではあまり触れられていなかったが、ともに、笑いが起こっていました。特にKing Gnuはスタジアムが湧き(擁護するわけではありません)。このあたり、アーティストとファンのアティチュードや、人権に関する意識のギャップを感じ。いじめがそうであるように悪気のない笑いや同調も罪で。もっとも、差別意識の前にそもそも「知らない」という問題も根深いなと思った次第です(知らないからしょうがないんだと言うつもりはありません)。このあたりも、この3年の間で何が変わったのか、変わらなかったのか(しかも、その変わる認識やスピードの違い)という話でもあり。個人的には、これを機会にみんな気づけばいいなというのが、建設的な一歩だと思い。批判、糾弾の論もみられ、その怒りも理解しつつも、様々なファンがいるフェスですべての観客に健全な人権意識とアーティストに対する予習の徹底を求めるのもいきなり求めるのも現実的ではなく。これが日本の現実なんだと可視化されたわけで(擁護、肯定するわけではないですよ)。では、これからどうするかという議論が大事なのではないかと。このあたり、以前、住んでいた墨田区のLGBT啓発ブックレットから学んだことで。少しずつ、勇気をもって注意を喚起していく、と。素晴らしいメロディの曲が実は戦争や平和、抵抗を歌っていることにあとで気づくように、これを機会に学ぶのがいいかと思った次第です。「届く声で批判する」私が論者として最近、こだわっていることです。

・一方、そのManeskinも、このフェスでは感染予防の観点からコール・アンド・レスポンスが禁止されているのに、「Make Some Noise」と煽ったり(まあ、これは別に”叫ぶ”ことに限らないわけですが)するのはどうかなあと思ったり。もちろん、それぞれを問題として捉えて議論するべきですが。ワンオクのTakaも煽っていたようですね。

・ファン視点ではTESTSET(METAFIVEのメンバーによるユニット)、THE SPELLBOUND(BOOM BOOM SATELLITESの後継バンド)がたまらず。特に後者は早朝に追加の1曲でBOOM BOOM SATELLITESの”KICK IT OUT"を。泣けました。その後、幕張メッセを出たら朝日がのぼっていて「あぁ、この感じ、懐かしいなあ」と。

・2018年のソニックマニアに出ていたCorneliusと電気グルーヴが帰ってきて。ご存知のとおり、いろんなことがありましたけど。2018年のときは、率直に(まだ何かが起こる前でしたが)、楽しめなかったのです。あれ、こんなもんか、と。途中で帰ったのを覚えています。その頃よりは楽しめましたが、時間が止まっているようにも感じました。あくまで個人の感想です。

・よく人が入っていたなあというのと、2日目はともかく、年齢層上がったなという感じです。若い人はフェスとの接点がそのそもなかったのか。フジロックが集客苦戦したそうで。ソニックマニアと初日はフジロックと重なるラインナップだったかなあと。ソニックマニアは、ULTRA JAPANとも客層が重なった印象(以下、略)。

・なんせ、サブスクで音楽を聴いているだけではだめなんだと思った次第です。リアルな場で音と接する、アーティストに興味を持つ、と。エネルギーを感じましたよ。まあ、フェスの演奏と、単独ライブではまた違うのですけど。

・K-POP、アイドルなどのパワーを感じた次第です。そして、カルチャーに関する感度が落ちていたなあ、私、と。

・あ、これは強く主張します。フジロックの主催者も含め暗に都市型フェスは、快適で、自然がなく面白くないみたいな、一部のフジロッカーからのサマソニ批判を見かけるわけですよ(最近の朝日新聞のスマッシュ日高代表のインタビューをご覧ください)。ただ、都市型フェスの何が悪いのかと私は強く主張します。オフィス街であり、住宅街である幕張が音楽、カルチャーで満ち溢れるってこれもまた非日常ですよ。そして、立派に野外フェスで、体力もいります。人工的なようで海も緑もちゃんとあります。もちろん、人権意識の問題も含め批判もあるでしょう。ただ、千葉県千葉市美浜区に、音楽のイベントが残り続けていること、しかも(良くも悪くも)日本の音楽シーンの見取り図になっていることは評価するべきではないですか。

まだまだあるけど、この辺で。中年が3日間、遊び呆けたようで学びの場になりました。アップデートしないといけないし、今の日本と世界のそれぞれの最先端と普通の感覚をともにウォッチしなくてはならないな、と。

少し前に参加したときは、間違いなく最高齢参加者だったのですが、今年は50代、60代の参加者も目立ち。来年も通いますよ!

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