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「心を高める、経営を伸ばす―素晴らしい人生をおくるために」稲盛和夫著

この本は、もう15年以上前から持って、時々持ち歩いて読んでいます。経営のカリスマと言われた稲盛会長の考え方が非常にシンプルな文章で書かれていて読みやすく、またわかりやすい。そして、文庫本サイズなので、上着などのポケットに入れて持ち歩けるので、電車での移動中などでちょっとした時間でも読んだりできて、小さな学びの繰り返しとなります。

この本を読んで一番感じたことは、大きなことを成し遂げる人は、小さなことを丁寧に積み重ねているんだ。小さなことの積み重ねはやがて大きなことになる。ということでした。

稲盛さんの言葉は非常にシンプルで、人間として当たり前と思えることが書かれていますが、実にそれを忠実に守れる人がいないというのが現代社会じゃないかなと思います。京セラという大企業をたった一代で築き上げた凄腕の経営者は、非常にシンプルなことを実践していく実践家だった。考え方が大切というのは、稲盛さんが常におっしゃっていることですが、僕も利他の精神を持ってこれからは活動していきたいと思いました。

さて、この本に書かれているフレーズの中で一番印象に残っているものを一つ取り上げます。

「土俵の真ん中で相撲を取る」

これは、文字通り、土俵の真ん中にいるときから、常に自分が土俵際にいるんだという危機感を持って、一歩もひけないという思いで仕事に打ち込むという意味です。お客様の納期があったり、月末のノルマに数字が追い付かないとか、我々はいつも期限と隣り合わせに毎日を送っていますが、直前にならないとなかなかお尻に火がつかないというのも現状だと思います。

中学生の時、僕は優秀な生徒でなかったので、漢字テストで漢字を覚えたり、社会科の歴史の年表や基本用語を覚えたりするのも人一倍時間がかかっていました。いかんせん不器用だったため、中間期末テストも直前に一夜漬けで勉強して臨むようなことはなく、一か月以上も前からテストのことを考えてこつこつ勉強していたタイプでした。事前にちょこちょこと勉強していい成績を取る奴らや全く勉強しなくてもいい点数が取れる優等生がうらやましいと思っていました。

実は、この年になっても全く不器用なところは変わらず、だからこそ回りに優れている人たちを見つけたらできるだけ仲良くなって謙虚に学ばせてもらおうという姿勢をできる限りとっているのはそのためです。今になっても満足しない結果になることは多くありますが、不器用ながら、中学のときのそういう苦い経験のように続けていくことをやめないようにしようと思います。

なぜならば、続けていくことは人間にとっても大切な能力であると信じているからです。稲盛会長の「土俵の真ん中で相撲を取る」からこのような自分なりの解釈が生まれました。

「土俵の真ん中で、、、、」の話からつい相撲に関するエピソードを紹介したいと思います。小学生の時、相撲を熱中して見ていました。野球を観戦するのはもちろん大好きでしたが、相撲はたった数秒の間にお互いの集中力は土俵の中に最高潮になり、ぶつかりあう。たった数秒の競技の裏に秘められた奥深さに僕自身魅了されていました。小学校六年生の時、若貴がデビューで話題になりましたが、そのとき同期でハワイからきた曙関がデビューし、十両に昇進したことで話題になりました。稽古場を見学に行って、十両になりたての曙関と写真を撮らせてもらいました↓ 204センチですから、もの凄く大きい。このときは、のちの横綱になるなんて想像もしていませんでした。今では、モンゴル人力士をはじめ、たくさんの外国人が日本の国技相で活躍されていますが、当時は外国人力士はまだまだ珍しかった時代。文化の壁、人種の壁(おそらく差別などあったかもしれませんが、)、日本語を一から学び、大相撲のしきたりにしっかり順応させて横綱まで昇っていった曙関の努力な尋常ではなかったと思います。自分ひとりだけが、まったく違う人種という環境は、僕も何度も経験していますが、日本の大相撲界で外国人としてトップにたったというのは甚だしいプレッシャーだったのでは?と想像しました。彼こそ、まさに「土俵の真ん中で相撲を取る」を得意の突き押しで土俵の上で実践していたのでしょう。

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