大串康彦

かつては技術立国と言われ、世界を席巻した日本の劣化が激しい件がとても気になっています。…

大串康彦

かつては技術立国と言われ、世界を席巻した日本の劣化が激しい件がとても気になっています。その原因を探り、これ以上の劣化防止の対策を考えることに関心があり、産業政策・エネルギー政策や技術に関連した記事を執筆します。

最近の記事

【国際競争力#6】清華大学の経済管理学院 顧問委員会

前回・前々回の記事では中国が製造業強国になるまでの軌跡を書きました。2010年以降は廉価な労働力に依存した製造業から高付加価値の製造業に転換する大方針が実施されました。この中でも高度な技術・ノウハウを取得した人材の獲得が重要で、千人計画・万人計画などの人材招聘プログラムが実施されました。今回の記事では追加資料として清華大学の経済管理学院・顧問委員会を紹介します。この内容を見れば、いかに中国が徹底して海外からのノウハウを習得し、国際競争力を上げてきたかのヒントになると考えます。

    • 【国際競争力#5】勃興するチャイナ(後)中国製造2025

      前回の記事では中国の急速な発展が起こった1980年代の改革開放から「世界の工場」と呼ばれるまでに国内産業基盤を強めた2010年頃までの中国の取り組みを紹介しました。 今回の記事では、「世界の工場」にはなったものの、製造業の付加価値が低いという壁にぶつかった中国がどのようにこの問題を打破してきたかに焦点を置いて、2010年以降に行った政策や取り組みについて解説します。 「生産量は大きいが、価値はそれほど高くない」 2000年代の後半までには、中国は「世界の工場」と言われるま

      • 【国際競争力#4】勃興するチャイナ(前)改革開放~世界の工場になるまで

        ※5/12 鄧小平が軍の関係者に起業を促す点について修正を加えました。 前の2つの記事(前々回の記事、前回の記事)では、1980年代に深刻な不況に陥った米国が競争力強化のために実施した政策を紹介し、それらの政策を基に1990年代以降に米国企業がどのように戦略を変え、勝ちパターンを築いていったかを解説しました。 今回と次回の記事では、中国がどのようにして競争力を強化し、多くの技術分野で日米欧と争うまでのレベルに至ったかの道のりを解説します。中国の急速な発展は、いわゆる「改革開

        • 【国際競争力#3】米国の競争力強化策(後)新しい勝ちパターンによる米国企業の躍進

          前回の記事では、1980年代に深刻な不況に陥った米国が競争力強化のために実施した政策を紹介しました。1980年代に実施した政策を基礎とすると、1990年代は基礎を土台に、またグローバル化の追い風を利用して米国企業による世界の圧巻が始まりました。今回の記事ではその戦略を紹介します。 グローバル化を背景にゲームのルールが変わる 1980年代は先端技術の開発、品質管理やコストダウンを達成する生産技術などに長けた日本が優位性を発揮した時代でしたが、1990年代になるとグローバル化

        【国際競争力#6】清華大学の経済管理学院 顧問委員会

        • 【国際競争力#5】勃興するチャイナ(後)中国製造2025

        • 【国際競争力#4】勃興するチャイナ(前)改革開放~世界の工場になるまで

        • 【国際競争力#3】米国の競争力強化策(後)新しい勝ちパターンによる米国企業の躍進

          【国際競争力#2】米国の競争力強化策(前)のちの米国企業躍進につながる制度の整備

          前回の記事では、日本の国際競争力の凋落について書きました。今回の記事では、1980年代に深刻な不況に陥った米国がどのようにして競争力を強化し、その後のポジションを確保した道筋を紹介します。これを参考に、これから日本がどのように復活を果たせるかを考える材料としたいと考えます。 1980年代の米国の競争力強化策 1970年代終わりのオイルショックから1980年代の前半、米国は戦後最大級(当時)の深刻な不況に直面していました。国としては経常収支と財政収支の「双子の赤字」に悩まさ

          【国際競争力#2】米国の競争力強化策(前)のちの米国企業躍進につながる制度の整備

          【国際競争力#1】凋落する日本の国際競争力

          日本の国際競争力の落ちぶれがとても激しいです。国際競争力の指標として知られ、毎年発表されているIMD世界競争力ランキング(IMD World Competitiveness Ranking)によると、2022年の日本の順位は63カ国中34位となっています。これは、かつて開発途上国と言われた韓国(27位)、マレーシア(32位)やタイ(33位)よりも順位が下ですし、中国(17位)にも大きく引き離されています。 本記事では、IMD世界競争力ランキングを基にした日本の状況について紹

          【国際競争力#1】凋落する日本の国際競争力