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2024年読書評6 三毛猫ホームズ ミッキーマウス

「三毛猫ホームズのプリマドンナ」
1989年、17作目。
短編集

本作は4つの話が収録されていますが、1つはエッセー。
著者の赤川次郎が本を読むきっかけになった話や学生時代の話。

彼は本ばかり読んでいた人ですが、興味深いのは、
どんなことでも継続が大事で、読書も読まない期間を開けると活字を追うのが苦痛になる、とのことです。
非常な読書家でも活字を追うことが苦痛になることがあるのか、と思いましたが、

私も本は好きですが、読むのは非常に遅いです。
速読を誇っている人もいますが、読書は競争ではありません。自分が読みたいと思うものを自分のペースで読めばいいのです。

童話で有名なロアルドダールはよく学校でトークを頼まれることがあって、子供たちにこんなことを言っていました。
読むのはどんなものでもいいから読みなさい、と。
とにかく自分が読みたいと思うものを読んで本に親しんでもらいたかったのだと思います。

「プリマドンナ」
歌唱コンクールで優勝候補生徒に喉に悪い香辛料を入れられる事件があり、なぜか殺人課の刑事片山が警護に乗り出す。
審査員の指揮者は朝倉という名だけれど、この名、赤川作品でよく見る気がします。作家は無意識に同じ名を人物設定に使ってしまうということです。

ところで主人公の片山という名は赤川さんの学生時代の友人からとったそうです。
この名はシリーズがヒットして期せずして有名になってしまった、そうです。当の片山さんは銀行員だそう。

「モーニングコール」
これは少し破綻しているなと感じました。
片山がカレーをかぶった後、「このアパートに帰った」とあるけれど、どのアパートか分からない。片山のアパートなのか? しかしその後、女性が刺されるがなぜか別の女性が現れる。つまり、小説として説明不足で、読む方は混乱する。
おそらく小説というのは、こういう風に作者の不備で意図せずに読みにくくなっているものも多いのでしょう。だから、小説というものは往々にして読みにくいもの、となっているのだと思います。

物語は
自殺しようとしている男、理由は妻を殺したから。しかし家に帰ってみると絞殺したはずの妻が刺殺されている。
男は片山の知人で、事件を捜査する
というもの。

これはどうも話がすっきりせず、登場人物も短編にしては多く、何を語っているのかよくわからず、つまりは出来が悪い短編であると感じました。
普段とは違って片山の言葉遣いも乱暴だし、代筆かそうでなければ、作者が忙しすぎたか、なんかしたのでしょう。

「古時計」
殺人犯を負って山荘に来た片山刑事、そこで資産家の老人が殺されそうになった現場に行き当たる。
片山はその屋敷での一族の悶着に巻き込まれ、同時に逃亡犯の影を追う、というもの。

人の命のことをどうとも思わない犯人が出てきますが、実際の事件で障害者を殺した犯人もいます。
私は人間というのは才能や知能だけではなく、まず、心を養わねばいけないということだと思うわけです。
この作者はおそらく絵空事として殺人犯を描いたのだけれど、現実世界にそんな人がいる。

「マックスマウスと仲間たち」
松尾由美
突然自分はマックスマウスだと言い出した息子=29歳を救いたいと叔父夫婦に依頼される従妹の女性。
という平凡であり奇妙な話。
主人公のOLとこの青年、青年のお見合い相手、OLの恋人が主な登場人物。

松尾由美は中期でこの手の妙な本を書きます。
テーマがあるのだけれど煮え切らないという。例えば、ジェンダーをテーマにしたり、裏社会を暗示したり、本書のようにディズニーをテーマにしたり。しかしどれも何が言いたいのか分からず、小説としても中途半端。

もしかしたら、ミステリとは一線を画し、大きな文学賞を狙っていたのか?

前期は推理小説を書いているけれど、バルーンタウンとか、あまり出来が良くない。
中期がこんな感じの書物。
そして現在書いている類のものが、娯楽色が強く、わたくし的には非常に好みです。
2000年以降辺りから作品が良くなっています。映画化されたものもあるし、ニャン氏などはヒットしているのではないか。

本作は中途半端な1つ。

要はウォルトディズニーは世間で言うほど良い人間ではなく、むしろ邪悪だった、君たち現実をよくみなさいと言っているのだけれど、確かにこの手のドキュメント番組を私も見たことがあります。
ディズニーランドは夢の国だけれど、裏事情は暗い感じです。
ディズニー自身は偽善者ぽいし、今の浮かれた日本人を見ると、テレビで流されるディズニーランド像にすっかり洗脳されている、という印象です。
またディズニーには性が描かれない。子供向けなのだから当然なのだけれど、この辺もこの本のテーマで。

この本で言う「新しい世代は」=この本が書かれたのが2000年頃でこの頃20代くらいの人たちが、新世代であり、一見、性に奔放なようだけれど、実は性に興味を持たない世代なのではないか、という。
性が重大なことではないから、適当にセックスする。

また、そんなことで人口飽和となり、人類は滅ぶのではないか、ということもテーマになっています。
人間たちは適当にセックスし、適当に恋人を作り、子供が生まれ、人口はどんどん大きくなり、やがて、増え過ぎた人間たちが世界を滅ぼしてしまう。
日本では「少子化」などと言うけれど、地球全体では1990年頃は50億と言われていたものが、今は70億、あるいはそれ以上。

作中、パソコンの、待ち受け画面がアニメーションになっている描写があります。
今はただの壁紙だったり、シャットダウンするのだけれど、昔のPCは動いていないといけないのか、幾何学的な模様が描き出されるものでした。
この作品の中ではミッキーマウスが増殖し、やがて消えるというパターンを繰り返すもの。
もしかしたら作者は、このようなことを地球全体の人類にみたてたのかも知れません。
人類は増殖し、滅亡するぞと。

実際、地球で起こる様々な災害は人類の邪悪さが引き起こしているものです。
悪のカルマが天災として起きているのです。

私が教えてあげます。
・人類は今の時代は滅びない
・しかし邪悪なことを止め、社会を是正しなければいけない

追記:少子化について
日本では出生率が低くなっているといいます。セックスには奔放になっているのに、出生率が低いという皮肉。
それは日本が極端に陥っているから。
セックスするものは出会い系、AV、何でもかんでも、酒池肉林をする。しないものは孤独で独身。
この30年で失業したものは給料0で、儲けているものは数十億の資産がある。

多くを得るものは分け与えず、助けようとしない。
だから経済が回らず、結婚もできず、子供もできない。

政府が子育て支援などで金を出しても、出生率は増えない。

その解決法は私がいつも言っているように「人間が正しい生き方をすること」であり、例えば、性の在り方を変えること。
特にAVや売春、ホストが女性を売春させるケースまで社会問題になっている。
こんなことを根絶させること。
このようなことが廻って、社会を徐々に良いものにして行くのです。



ココナラ
姓名判断

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