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飽きについて考える時間

 スタジオがオープンして約半年。おかげさまで少しずつ会員さんも増え、そして少しだけ退会する方も出てきました。

生活必需品ではない余暇の娯楽を提供するこのお仕事は人々の飽きとの戦いのような気がします。

 この2年、ヨガのお教室をやってみてやっぱり3ヶ月、半年あたりで離脱していく方が多い肌感覚があります。それより早いともともとヨガや私と縁がなかったのね、と思うけど3ヶ月の壁、6ヶ月の壁など節目の壁はヨガが合う合わないというよりも生徒さんにとって通うメリットが出せなかった、優先順位を上げてまで通わないという選択をさせてしまった、と考えています。

離脱を防ぐためにはどんなことが考えられるのだろう。サービス業2年目の私の頭で考えられるだけ考えてみる。答えがないけど考えることが大事!



辞めにくいルールづくり、サイト構造

 顧客目線に立つとあんまりやりたくないことではあるけど、辞める手続きが面倒だから辞めないというのも無くはないと思っています。
入会の時点で回数券より月謝制でしかも自動引き落としがかかる状況なのもやっぱり離脱は少ない印象です。
そしてよくある月額サービスの辞める手続きが煩雑であること。よくある質問から退会方法を検索してサイトの奥の方までいかないと申し込めない。やっとの思いで辿りついても理由を求められたり、本当に辞めるの?と何度も念押しのワーニングが出る。本当にげんなりするがここまでやったら立ち止まる人がいるからこうなっているんだろうなと。
一応弊スタジオでも解約のルール設定はしていますが、正直誰も見ていない。期限もやり方もぜーんぜん読んでもらえてないんだなと思う。だからといってルールだから!と押し付けるのも良心の呵責に耐えられずできる限り希望を聞いてあげる。辞めるのに。お人よしな自分が嫌になりますが、決断を尊重してあげたい気持ちと、スタジオに対して悪いイメージでやめてほしくない弱気な気持ちの現れです。
とはいえ解約ルールを理解した上で入会を検討していただいた方が良いかなと思い、今後はルールをしつこく説明したり、見えるところに掲示するように変更しました。入会率が下がっても離脱率が増えない方がいいかも、と舵を切っています。

効果を感じられるか

 ヨガがフィットネスかと言われると難しいですが、世間一般のイメージはその要素が強い。運動が苦手だけど体を動かしてみたい、そんな方が多いし私もその1人でした。
もちろん実際に通うとマインドへのアプローチの強さも感じるし、体も頑張った分だけ引き締まったり、緩められたりするのは私自身の体験としてありますが、週1回程度でどこまで実感してもらえるかは難しいところ。
今までできなかったポーズができるようになったことや、仕事で落ち込んでいた気持ちが和らいだとか、ご自身と向き合うことで感じられることもありますし、先生から認めてもらったり褒められたりするとこも気付きのトリガーとしてはとても重要です。
そうすると少しだけ先生の力量も試されます。スタジオという性質上、同じ先生に毎回通うわけではない方が大多数なので、長期で成長を見つめることは結構難しい。だからといって単発のレッスンで見える成長も少ない。だから生徒さん自身が自分に対する気づきを得る時間を取ることが必要なんだと思います。
目を閉じて自分のことを振り返る。さっきまでの自分と比べてどうだろう、1年前と比べてどうだろう。人と比べる必要は無いけれど自分と比べるのは必要な時間で、そこからできるようになったことやただあるがままに感じる気持ちに目を向けたい。自己否定が先に来てしまう方には先生からアシストし、徐々にその自己否定癖を自己肯定癖に変えてあげたいと切に願います。

コミュニティを作る

 最後に地味に大切なことをひとつ。オンラインでもオフラインでもやっぱり仲間がいることや帰属意識が持てることは離脱を食い止める要素です。私が自分のお教室やスタジオ運営をする1番の目的もコミュニティ作りです。
最初は顔も名前も覚えられないけど何度か通ううちに顔見知りになり、スタジオ以外でもコミュニケーションを取るようになったらすごいことですよね。
 私自身も某スポーツメーカーさんの開催するフィットネスイベントで出会った素敵な女性たちとInstagramでフォローし合ったり、時にはお茶やランチをして会社と家の往復だった生活にアクセントが加わり、無事に暗黒時代を抜け出した経験から家庭と職場以外の第3のコミュニティを持つ機会を創出したいと思って活動しています。
そのためレッスンでは自己紹介や何か発言する機会を作り、会話のきっかけを作ることをインストラクターを始めた頃から行ってきました。(黙々系のヨガをお求めの方は離れていきますが)
今回はコロナが落ち着いていることもあり、スタジオ主催の交流会を開催してみました。ロイヤルカスタマーと呼ばれるような高頻度で通ってくださる方ばかりになるかと思いきや、まだ入会して間もない方も参加してくださって小規模ながらも濃ゆい会になりました。
 こうして顔見知りが増えていくことに加えてもう一つ大事なことは、私もスタジオ作りに参加している!という実感。もっとこうなったら通いやすいよ、とか設備はこの方がいいのでは?とちょこちょこご意見をいただけることは運営側にとっては金言すぎるのですが、これに対してきちんと対応することができれば私の意見が受け入れられたと感じてもらえます。これは所属するインストラクターと同じなのですが、意見を聞いてくれるオープンな運営をしていないとだんだん空気も澱むんですよね。
頭ではわかっているんです…。でも実際全てを聞くことはできないですし、弱小スタジオはほとんど自分1人が窓口なのでつぶさに聞ける心と頭のキャパがないことが今の私の課題です。なんと小さいHDDなんでしょう、とたまに苦しくなりますがマネジメント1年生には伸び代しかないと信じて余分なものは圧縮して、空き容量を増やしていくしかないですね!(いいHDDにリプレースしたいのはやまやまですがそんなに簡単にできません。)


離脱を防ぐための究極は、生活になくてはならない存在になること

 最後にまとめると、目指すべきところは習慣化かなと。習慣にすることで生活の一部となり、娯楽ではなくインフラになることが目標です。もちろんインフラになるまで自分の一部になると他の良い先生に習いに行きたい、ryt200のような指導者養成講座を目指したい、はたまたインド修行なんてこともありうるかもしれないです。でも一ヨガ人としてはそれはすごく嬉しいことだしお祝いすべきことだと考えます。その時もしフィットするサービスを提供できればビジネスとしてはベストですが、そうでなくてもこのスタジオで修習してそして卒業していくのはまさにアヴィヤーサとヴァイラーギャ。
 快く送りだし、そしていつでも帰ってきていい宿木のような存在でいられたらこのスタジオを作った甲斐があるのではないかなと思います。

いつかそんな方が出てきますように。

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