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競技力・パフォーマンスとは?

競技力とは何か?

皆さんは「競技力」と聞いて何を想像しますか? 私はこれまで「競技力」という言葉をずっと使っていましたが、ふと考えた時、これらは「概念」だということに気づきました。「競技力」とはとても曖昧な概念ですよね。スポーツ種目が違えば当然求められる専門性も違いますし、一流アスリートでも土俵が違えば、持っている能力やスキルを発揮しにくくもなります。まずここで競輪を例にして競技特性を見てみましょう。

競輪の競技特性

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図の中に書かれている通り、競技特性には様々な要素があり、中には数値化することができないものも存在します。テニスで例えると、筋力を使って素早いストロークやサーブで相手を負かす選手もいれば、筋力がない分持久力で勝負する選手や、動き回らずに頭で勝負する選手もいます。一つのスポーツにおいても、「競技力」を高めるために必要な能力というのは個人個人で変わってくるのです。

そこで、各スポーツの競技力を示す特徴的な動きを例にまとめてみました。これだけが正解ではありませんが、参考にしてみてください。

【走る】
・短距離走:股関節の役割が最も重要
・サッカー、ラグビー、バスケットボール:走行中の素早い方向転換のスキル
・ランニング:骨盤の回旋運動や腕の振り、体幹の傾斜といった動作
【跳ぶ】
・陸上:跳躍は人間が行う動作の中でも発揮パワーが大きい
【投げる】
・野球とソフトボール:肩関節を中心とした上肢を柔軟に動かせることで速く遠くへを可能に
【打つ】
・ゴルフ、テニス、バドミントン、野球:一瞬の衝突をコントロールする打撃
【蹴る】
サッカー:体幹を使って蹴り足をムチのように振る
格闘技:股関節の屈曲および内転のトルクの貢献度が大きい
【その他】
・レスリング:相手選手から受けている力、重力、地面反力
・サイクリング:ペダリングは左右の股関節とひざ関節の伸展・屈曲がいずれも重要


私はこれら競技力は変数であると考えます。平たく言うと、何をトレーニングするのかは、競技特性や能力、コンディションなどによって変わるということです。

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実は私がチームスポーツに関わっていた頃は、データから選手を評価していた部分がありました。選手の数値の伸びから、どのようにして予測した未来に繋げるかを考え、数値化できる競技力の指標にこだわっていたと感じています。データは可視化できるというメリットがありますが、指標を導き出せたとしても、それを自分のものにできないと意味がありません。高スペックのパソコンを持っていても、使用方法が分からないと使いこなせないことと同じように、高い指標だけにこだわるのではなく、それらの生かし方を考えるべきだということです。

また競技力は、自分自身にしか理解できない日替わりの体調や感情といったコンディションによっても左右されます。すなわち競技力を自分のものにするためには、自分自身がどう感じるかを発見し、主体的に問題を定義して、解決方法を見つけなければなりません。心拍数や脳波といった部分からコンディションの可視化ができるようになり、近年スポーツ界ではこうしたデータ活用が積極的に行われています。しかし本当に大切なのは、データという客観の部分ではなく、自分がどう感じるかという主観の部分にあると私は考えます。詳しくはこの後のコンテンツで紹介しますが、そのために必要なのは「意訳力」だと思います。

パフォーマンスと思考力

ハイパフォーマンスを発揮するには、効率的で効果の高い方法を選択をして、競技力を自分のものにする必要があります。そのためには思考力が欠かせません。私は思考力とは、「自分の頭で考えるもの」であると考えています。

そもそも「考える」ことと、「知識を得る」ことでは頭の使い方が異なります。知識とはあくまで自分自身が立てる目標やゴールに辿り着くための手段の一つです。しかし、いくら手段を得ても、道筋を能動的に考えなければゴールに辿り着くことはできません。まずルートを逆算した上で、自身の現在地を考え、そこをスタートラインとすることで見えてくるプロセスを一つずつこなしていき、自分の感覚を磨き続けることがゴールへと進んでいくための方法なのです。


気づかなくてはいけない「何か」

これまで皆さんは人との出会いに「意味がある」と感じたことがあるかと思います。それらの「意味」は、すべて自分で何かに気づいた時に感じるものです。そんな出会いと、スポーツのパフォーマンスは同じであると私は考えています。人には誰しも「気づかなくてはいけない何か」があるのです。

出会いに「意味がある」と感じる定義が人それぞれ違うように、「ハイパフォーマンス」の定義も、人それぞれで異なります。なぜなら、人には向かう目標に違いがあるからであり、生まれもった望みや、生まれてきた目的がそれぞれで違うからなのです。自分が成長できるかどうかは自分の魂レベルで見つけるということです。

では、次にそんな自分の成長を阻害する要因がどこにあるのかを考えてみましょう。

・無意識に自分や相手にバツ×をつけている
・自分の考えに固執する
・自分の教えを絶対視して人に押しつける
・自分に自信をなくす
etc

こうした思考のクセが阻害要因となって、成長のスピードが止まってしまうことがあるのです。

「考え方・あり方・やり方」を見つめてみる

スポーツの世界だけではなく、ビジネスの世界でもパフォーマンスを発揮するために必要なことは同じです。ここではパフォーマンスに必要な三つの要素から、これらを見つめていく機会と方法を紹介していきます。

❶主観と客観
問題が起こった時に意識が外ばかり見ていては成長しない
→自分自身や現状(現在地)に向き合うことで学びを得られ、より深く見つめる機会

本来の自分のために「より自分を知る」手段であり、起こること全てに意味があります。ピッタリのタイミングで目の前に出会うべき人が現れるので、それに気づけるかどうかが重要です。

❷自立と自律
今の自分を生かすこと
自分が持っているプラスの要素はもちろん、マイナスも自分の資質として生かす方法
→自分に与えられたものは全て自分の資質としてコントロールする努力

今の自分・自分の体・自分の考え・自分の価値観・自分の直感など、とにかく自分のありとあらゆるものを生かすことです。自分を生かすこと、すなわち自分を大切に扱うこと。

❸イメージング
「前提」を思い描いて、
・競技やレース、仕事で活躍できている自分
・自チームが一体化して勝利に繋がっている
・世界で活躍できている自分
など目標をイメージする
→特に明確にイメージができているかどうかが重要になる

イメージングに関して、二つの事例を紹介します。まず一つ目は、オリンピック最多の28個もの金メダルを獲得している競泳選手のマイケル・フェルプス選手のやり方です。”水の怪物”と呼ばれる彼は習慣として、”完璧に泳ぐ”ということを常にイメージしています。目標タイムはもちろんのこと、そのために必要なストローク数なども寝る時にイメージしていました。また、目標を潜在的に意識できるように天井に目標を貼り付けるなど、工夫もしていたそうです。

スポーツだけではなく、ビジネスの世界に目を向けてもパナソニックの松下幸之助さんや、京セラの稲盛和夫さんなど、イメージングをしながら成功した創業者たちがたくさんいます。ここでは、ソフトバンクグループの孫正義さんの「人生50年計画」を見ていきましょう。この「人生50年計画」は、孫さんが19歳の時に定めた10年ごとの大きな目標です。

・20代:名乗りを上げる
・30代:軍資金を貯める
・40代:ひと勝負かける
・50代:事業を完成させる
・60代:次の世代に事業を継承する

こうして立てられた目標は、


・20代:日本ソフトバンク設立(24歳)
・30代: 株式を店頭公開(36歳)
・40代:東証1部上場(40歳)
・50代:iPhone販売契約を締結(50歳)


といったように63歳になった現在まで、思い描いた通り達成しているのです。

彼らのイメージングで共通しているのは、ゴールの状況を自らで作っていることです。自分がゴールにいるイメージを持つことで、自分の現在地とのギャップを感じ、ゴールに到達するためのプロセスが見えるようになります。実際ゴールばかりに目が向いて、スタート地点や現在地が見えず迷子になってしまっている人が多いと感じます。

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外に意識を向ける前に、自分の内に意識を向け、考え方・あり方・やり方について考えてみましょう。そのためにはフェルプス選手や孫さんのようにストレートに自分をイメージしてみてください。そうすればイメージした姿と現在地のギャップが見え、何をすべきかが見えてくるはずです。

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