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#7 Ykiki Beat / When the World is Wide(2015)──スタジアムの音が聞こえる

【best album of my life】
これまでの人生、様々なタイミングで出会ってきた数々の名盤を振り返っていこうという企画。今聴いたら少し恥ずかしいものから、当時は激ハマりしていたもの、変わらずずっと大切な名盤まで紹介してきます。
今回はその7回目、Ykiki Beatの『When the World is Wide』です!

Ykiki Beat / When the World is Wide

Ykiki Beat / When the World is Wide

東京を拠点として活動していた5人組バンド、Ykiki Beatが2015年にリリースした最初で最後となったアルバム『When the World is Wide』。たった1枚アルバムをリリースし、2016年に解散したが、現在メンバーのうち3人がDYGLとして活動しているのでその名前を知っている人もきっと多いはず。
Ykiki Beat、DYGLは2010年代の日本の停滞していたバンドシーンにとってのひとつの起爆剤になった。

そんな彼らが2014年にリリースした楽曲『Forever』は、たった1曲で膨れ上がった東京のインディーロック、いや日本中のインディーロックシーンを爆発させた。

この曲を聴いた瞬間に僕はバンドを辞めたと言っても過言ではない。こんなバンドが日本にいるなら自分がわざわざ音楽をやる意味もない。自分のやりたいことを自分以上にやっているバンドに出会ってしまったからだ。
イギリス訛りのアクセント、日本のバンドサウンドでは表現できないコード感、スタジアムを想起させるサウンド感、全てにおいてこの島国のキャパシティを超えてきた。
"日本ではこういう曲は書けない、こういうバンドはウケない"。そういった固定概念を完全に覆した。さらにボーカルの秋山くんは帰国子女でもなく自分で勉強してイギリスアクセントを習得したらしく、もう誰も言い訳できなくなった。こんなバンドがいるのだから他ができないわけがない。そういうことだ。
僕はYkikiBeatに負けた。同じ土俵にすら立っていないけど、そう感じるほどの圧倒的な登場だった。それほどに"Forever"という1曲の存在は偉大なのだ。

"The Running"でのThe KillersやNew Orderを彷彿とさせるシンセのサウンド、"Vogues of Vision"のThe Jesus & Mary Chainのようなギターのノイズ、もう果てしなく気持ちがいい。この辺りのバンドが好きな人の心にヒットがしないわけがない。ちょっとWhite Liesのことも思い出して軽く涙。
アルバムのどこからどう切り取ってもこのバンドの良さが伝わる、これぞ名盤としか言いようのない凝縮されたYkiki Beat最初で最後の歴史に残る名盤。絶対に聴いてほしい。

そして現在活動中のDYGLも最強の3rdアルバム『A Daze In A Haze』をリリースしたのでそちらにも目を向けてほしい。

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