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Google社による初めての退職パッケージについて

Google合同会社(Googleの日本法人)の社員が同社からの退職パッケージに対抗するために労働組合を結成したとの事で、3月2日に記者会見が開かれました。
同会見によるGoogle社のパッケージは次のような内容との事です。

1)3月2日から5月31日までの90日間の期間、給与が支払われる
2)解雇の手当を支払うが、今日より14日以内(3月16日まで)に退職に合意すると多く支払う
3)未使用な休暇についての支払い
4)再就職斡旋サービスの利用
5)ビザのサポートや、メンタルヘルスサポート

会見ではGoogle社からのパッケージメールも現物公開されており、それによれば直接的に退職するよう薦める内容はなく、パッケージに応じない場合には解雇となる旨も明示されていないようなので、現時点ではとりあえずは整理解雇ではなく「解雇を予定していない希望退職の募集」という扱いになるのでしょうか。
Googleは解雇まで想定しての事だったのでしょうが、ユニオンが組成された事やこれによるレピュテーションリスクも鑑みれば、希望退職で一定の削減の目途が立てば、パッケージを通知した社員がこれに応じない場合には解雇までは行わない事は十分想定できます。

ただ、パッケージが通知された社員にすれば、「貴方はこの会社に必要ない」と通告されたものと相違ない訳ですから、特に他社でも高く評価されるスキルを持つ層には「抵抗して会社に残ることも果たしてどうなのか」という判断が働くのが通常なので、パッケージに応募する者はかなり出てくるのではないかと思います。

Googleは2023年1月に、全世界で1万2000人を解雇すると発表したばかりで、解雇規制が厳しい日本だからといってグローバル的な公平性から例外的に取り扱う事も出来ないのでしょう。

リスクを承知での取り組みでしょうし、Meta(Facebook)は11,000名、Amazonが10,000名を解雇する発表した通りGAFAMやTwitterといったビッグテック企業で一様にレイオフが活況となっている事を鑑みれば、成長を維持するためにAI等の新しい分野に向けたスピーディーなリストラクチュアリング(要員の再分配や削減)が必要だという事なのでしょう。

労働法が違うという理由だけで日本だけ特別扱いしていると、グローバルなビッグテック企業は圧倒的な支配的立場を維持できないのでしょうね。

逆に言えば、厳しい解雇規制が日本のテクノロジー企業がグローバルでは通用しなくなっている大きな理由と見ることも出来るかもしれません。

  〔三浦 裕樹〕

Ⓒ Yodogawa Labor Management Society


社会保険労務士法人 淀川労務協会



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