ヨドロウ(社会保険労務士法人 淀川労務協会)

業歴60年。新大阪の「社会保険労務士法人 淀川労務協会」です。(職員:30名、顧問先:…

ヨドロウ(社会保険労務士法人 淀川労務協会)

業歴60年。新大阪の「社会保険労務士法人 淀川労務協会」です。(職員:30名、顧問先:約650社、中小零細~大企業、上場企業まで) 人事労務コンサルティングと社会保険事務のアウトソーシングが主要業務です。 労働問題コラム「ヨドロウノート」を配信中。TEL:06-6676-7750

記事一覧

固定された記事

≪コラム≫ パワハラのメカニズム

パワハラが起きるメカニズムの一形態について、少し述べてみたいと思います。 部下の育成や指導には様々な手法がありますが、指導しても部下から期待した反応や効果が得ら…

合意退職のトラブルについて

顧問先様から「能力が足りなくて頭を抱えていた社員と話し合った結果、退職されることで合意しました」と、事後報告としてご連絡頂くことがあります。 ここでの「合意退職…

月給者の月跨ぎの休日振替に賃金の「控除・支給」調整が不要との誤解

これが、賃金規程等における「日給月給者」の労働者への一般的な賃金支払い定義です。 例えば、所定労働日が、7月:20日、8月:21日と月の所定労働日数が異なっていたとし…

【ニュース】定額減税、給与に反映しない企業は「労働基準法違反も」 官房長官...の見方

賃金はその全額を支払わなければならない(全額払いの原則)とするのは、賃金の一部を控除して支払うことを禁止するものです。 これに対し、労働法コンメンタール(厚生労…

【ニュース】家族手当、誰のため?「未婚で家族養っている人は対象外」とされた福岡市の女性団体職員の不満…の見方

諸手当の新設や改廃のご相談をお受けする際、まず取り組まなければならないのは「何のため? 誰のため?」にそれを行いたいのかについて、担当者様と必要な議論を繰り返す…

傷病手当金支給申請と休業補償給付請求と雇用契約の解消

例えば、上司からのパワハラが原因で精神疾患に罹患し休業を余儀なくされたと主張する者は、まず労災保険への休業補償給付請求を検討する事になります。 精神疾患がパワハ…

労働者死傷病報告書の提出で困っていること <労働者派遣>

労働者派遣における労働者死傷病報告の提出手続きに関する法律関係は次の通りです。 イ.派遣先が派遣先所轄労働基準監督署[甲]に労働者死傷病報告を提出する義務(安衛…

≪コラム≫ 減給の制裁は人権侵害?

少し驚いた相談事例がありましたのでご紹介させて頂きます。 RBA(Responsible Business Alliance)行動規範とは、電子機器業界中心に、安全な労働環境、労働者の保護、環…

契約期間満了日付での解雇?

例えば、令和5年1月1日~12月31日を契約期間とする有期契約の労働者(勤続期間6年)がいるとします。 当該労働者が10月1日に普通解雇事由に相当する不祥事を起こしたとしま…

労働者派遣における実労働時間管理と賃金と派遣料金の支払いの関係

労働者派遣における実労働時間の把握責任等は次のとおりです。 これに基づけば、タイトルの問題は次のように整理されます。 イ)派遣労働者の実労働時間の把握は派遣先の…

弁護士からのタイムカード等の提出要請に素直に応ずるべきか?

元従業員から委任を受けた代理人であるとして弁護士等から内容証明等の書面が届き、次のような書類の提出を請求されることがあります。 請求の根拠としては、「未払い賃金…

「過労自殺」と「本人の性格」

神戸市東灘区の病院「甲南医療センター」で勤務していた26歳の男性医師が昨年5月に自殺し、本年6月5日付で西宮労働基準監督署が労災認定したとのことです。 報道によ…

月途中就任の取締役報酬の考え方

取締役は会社との委任契約なので役員報酬を日割り計算することは委任契約の性質に反し、法人税法上の定期同額報酬の原則から日割り計算すると一部損金不算入という問題も生…

従業員からの未払い社会保険料の回収について

私傷病休職による長期欠勤等により、支払うべき給与よりも社会保険料本人負担額が上回ってしまう場合には、社会保険料を控除し切れない事があります。 当該従業員から不足…

派遣元の使用者責任(不法行為責任)と派遣先の過失相殺

労働者派遣契約(派遣元と派遣先)での損害賠償の取り決めで、派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合、当たり前のように派遣元のみに使用者責任を負う事を求められる事があ…

Google社による初めての退職パッケージについて

Google合同会社(Googleの日本法人)の社員が同社からの退職パッケージに対抗するために労働組合を結成したとの事で、3月2日に記者会見が開かれました。 同会見によるGoogl…

固定された記事

≪コラム≫ パワハラのメカニズム

パワハラが起きるメカニズムの一形態について、少し述べてみたいと思います。 部下の育成や指導には様々な手法がありますが、指導しても部下から期待した反応や効果が得られない場合に、自分の「理論」や「考え」を更に相手に受け容れて貰いたいと望み、それに拘り、屋上に屋を架すように自分の理論を受け入れて貰うための「別の理論」を重ねて使おうとすることがあります。 この現象は、往々にして、次のいずれか、もしくはその両方により生じます。 ❶の傾向が強い方の口癖は、「俺が若い頃は・・・」とか

合意退職のトラブルについて

顧問先様から「能力が足りなくて頭を抱えていた社員と話し合った結果、退職されることで合意しました」と、事後報告としてご連絡頂くことがあります。 ここでの「合意退職」は、正しくは、「個別的同意による労働契約の解消=合意解約」であり、労働契約の当事者たる「労働者と使用者」が合意して、将来に向けて労働契約を解約・終了させることをいいます。 私が「どちらからの申入れですか?」とお尋ねすると、「話し合った結果なのでどちらからとも言えません」とお答え頂く事も多いのですが、「退職したい」

月給者の月跨ぎの休日振替に賃金の「控除・支給」調整が不要との誤解

これが、賃金規程等における「日給月給者」の労働者への一般的な賃金支払い定義です。 例えば、所定労働日が、7月:20日、8月:21日と月の所定労働日数が異なっていたとしても、所定労働日の全ての時間を皆勤したのであれば同一の給与月額で賃金支給して良いという仕組みです。 休日の振替は、一般的には、「予め労働日と休日を入れ替えること」とだけ説明されることが多いですから、例えば、7月の所定休日と8月の所定労働日を振り替えて、7月:21日、8月:20日の所定労働日を皆勤すれば、いずれ

【ニュース】定額減税、給与に反映しない企業は「労働基準法違反も」 官房長官...の見方

賃金はその全額を支払わなければならない(全額払いの原則)とするのは、賃金の一部を控除して支払うことを禁止するものです。 これに対し、労働法コンメンタール(厚生労働省労働基準局編)によれば、但書として次のように定めています。 つまり、全額払いの原則はそもそも控除が無い前提で法制化されており、法令に別段の定めがある場合には一部控除を「認めている」 但し、その控除は「労働の対価を残りなく労働者に帰属させる」ような控除であるべきで、定額減税を給与に反映させない(明細への記載の趣旨

【ニュース】家族手当、誰のため?「未婚で家族養っている人は対象外」とされた福岡市の女性団体職員の不満…の見方

諸手当の新設や改廃のご相談をお受けする際、まず取り組まなければならないのは「何のため? 誰のため?」にそれを行いたいのかについて、担当者様と必要な議論を繰り返すことです。 既存の顧問先様は、検討段階からご相談頂く事が多いのでスムーズに議論を進めることができますし、日常的に頂戴している労務諸問題の根底にある原因の解消や、従業員満足の向上手段の構成要素の1つとして、必要に応じて、こちらから顧問先様にご提案させて頂く事もございます。 一方、新規先様から、「●●という手当を、●●

傷病手当金支給申請と休業補償給付請求と雇用契約の解消

例えば、上司からのパワハラが原因で精神疾患に罹患し休業を余儀なくされたと主張する者は、まず労災保険への休業補償給付請求を検討する事になります。 精神疾患がパワハラの影響を受けて発症した事が明らかな場合であっても、それが労災認定基準をクリアするか否かは別問題ですので、業務起因性が伺える精神疾患だけれども労災保険による給付は受けられないという事は起こり得ます。 因みに、令和4年度の労災認定率(請求件数に対する支給決定件数)は35.8%です。 労災請求を考える中で、認定は簡単では

労働者死傷病報告書の提出で困っていること <労働者派遣>

労働者派遣における労働者死傷病報告の提出手続きに関する法律関係は次の通りです。 イ.派遣先が派遣先所轄労働基準監督署[甲]に労働者死傷病報告を提出する義務(安衛法第97条) ロ.派遣元が派遣元所轄労働基準監督署[乙]に労働者死傷病報告提出する義務(安衛法第97条) ハ.派遣先が派遣元に派遣先が提出した監督署受理済の労働者死傷病報告(写)を送付する義務(労働者派遣法施行規則第42条) 施行規則第42条は「派遣先が派遣元に送付しなければならない」とされており、「派遣元は派遣先

≪コラム≫ 減給の制裁は人権侵害?

少し驚いた相談事例がありましたのでご紹介させて頂きます。 RBA(Responsible Business Alliance)行動規範とは、電子機器業界中心に、安全な労働環境、労働者の保護、環境負荷に対する責任を促進するために示した基準であり、2004年にHP, IBM, DELLなどが中心となって作成したEICC (Electronics Industry Code of Conduct)が業界の枠を広げるために改称し制定されたものです。 近年、サプライヤーに対してRB

契約期間満了日付での解雇?

例えば、令和5年1月1日~12月31日を契約期間とする有期契約の労働者(勤続期間6年)がいるとします。 当該労働者が10月1日に普通解雇事由に相当する不祥事を起こしたとします。 この場合、契約満了日が近いので、解雇ではなく、相対的に不当とされるリスクが低い12月31日付での雇止め(契約不更新告知)を一般的には選択します。 この雇止め予告通知をなした後に、当該労働者が無期転換申込権を行使したとします。 無期転換申込権における無期転換とは、「同一の使用者との間で有期労働契約が

労働者派遣における実労働時間管理と賃金と派遣料金の支払いの関係

労働者派遣における実労働時間の把握責任等は次のとおりです。 これに基づけば、タイトルの問題は次のように整理されます。 イ)派遣労働者の実労働時間の把握は派遣先のみがその責任負っている。 ロ)つまり、派遣元は派遣先から提供された実労働時間情報に基づき計算を行い賃金を支払えばよい。 ハ)一方、派遣先から派遣元への派遣料金の支払いの根拠となる時間は、必ずしも分単位で支払わなければならない訳ではなく、労働者派遣契約(派遣元と派遣先との企業間契約)の取り決めによるので、法的な縛

弁護士からのタイムカード等の提出要請に素直に応ずるべきか?

元従業員から委任を受けた代理人であるとして弁護士等から内容証明等の書面が届き、次のような書類の提出を請求されることがあります。 請求の根拠としては、「未払い賃金が発生しているため」とのみ記載され、「裁判手続きにおいて被告(使用者側)が争うのであれば、民事訴訟法220条、221条により主張立証責任の根拠としてどうせ提出しなければならないのだから、無用な手間を回避し紛争の早期解決を図るために最初から任意で提出しなさいよ」というのが言い分のようです。 確かに間違いではないのです

「過労自殺」と「本人の性格」

神戸市東灘区の病院「甲南医療センター」で勤務していた26歳の男性医師が昨年5月に自殺し、本年6月5日付で西宮労働基準監督署が労災認定したとのことです。 報道によれば、死亡直前1か月の時間外労働は207時間50分で、3か月平均でも月185時間を超えており、自殺するまで約3カ月間、休日が1日もありませんでした。 正に、「常軌を逸した過酷な労働」であり、労災認定された以上、使用者の安全配慮責任は免れないでしょう。 さて、過労やメンタルヘルス等の問題が生じた際に、当該労働者のパーソ

月途中就任の取締役報酬の考え方

取締役は会社との委任契約なので役員報酬を日割り計算することは委任契約の性質に反し、法人税法上の定期同額報酬の原則から日割り計算すると一部損金不算入という問題も生じるので、一般的には任期途中であっても満額支給するのが通例です。 一方、法的には、民法上の原則として受任者は特約が無ければ、委任者に対して報酬を請求することが出来ないとされていますので、取締役は特約が無ければ会社に対して報酬を請求することはできないことになります。(民法648条1項) しかし、取締役と会社との委任契

従業員からの未払い社会保険料の回収について

私傷病休職による長期欠勤等により、支払うべき給与よりも社会保険料本人負担額が上回ってしまう場合には、社会保険料を控除し切れない事があります。 当該従業員から不足分が振り込まれるならば問題ありませんが、未納のまま退職され、支払いが為されない場合には会社は対応に苦慮することになります。 当該従業員に退職金がある場合には、相殺により一括控除が可能です。 但し、賃金から控除できるのは労働者が負担すべき前月の社会保険料に限られており(健保法第167条1項、厚年法第84条1項)、一括控

派遣元の使用者責任(不法行為責任)と派遣先の過失相殺

労働者派遣契約(派遣元と派遣先)での損害賠償の取り決めで、派遣労働者が派遣先に損害を与えた場合、当たり前のように派遣元のみに使用者責任を負う事を求められる事があります。 労働者派遣では派遣労働者は派遣先の指揮命令下で業務に従事していて、派遣先が万全の管理体制を整えていたならば、器物の損壊や、現金違算、犯罪行為は回避・軽減できた(もしくはもっと早く発見できた)かもしれなかった訳ですから、派遣先にも過失割合は生じますし、例えばフォークリフトの接触事故等、直接雇用の労働者でも起こ

Google社による初めての退職パッケージについて

Google合同会社(Googleの日本法人)の社員が同社からの退職パッケージに対抗するために労働組合を結成したとの事で、3月2日に記者会見が開かれました。 同会見によるGoogle社のパッケージは次のような内容との事です。 会見ではGoogle社からのパッケージメールも現物公開されており、それによれば直接的に退職するよう薦める内容はなく、パッケージに応じない場合には解雇となる旨も明示されていないようなので、現時点ではとりあえずは整理解雇ではなく「解雇を予定していない希望退