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EC×カスタマイズ=「着用する人」を真ん中においたファッションの楽しみ方へ

実際に手に取ったり試着をしないと決断が難しいとされていた洋服も、EC、オンラインショッピング、通販で買うことが当たり前になりましたね。皆さんがお店にアクセスしやすい都会に住んでいても、家にいながら効率的にECサイトをハシゴしてショッピングを楽しめるようになりました。

アパレルメーカーも従来の「店舗至上主義」から、オンライン上でのサービス提供に大きく舵を切っています。

急速に進む消費者の行動変化に対し、今回は販売する側の視点で、これからの購買体験について考えてみたいと思います。

メーカーの提供サイズからこぼれ落ちるファン


通常アパレルメーカーは、一般的な日本人の体型を想定して、ウエストや着丈など、基準となる寸法を設定しています。

海外に販路を持っているブランドもありますが、多品種・小ロット化が進むなか、サイズ展開を増やす=ものづくりの負担が増える=コストアップになるため、ペルソナとなるファンの体型を一定絞り込んで商品開発をしています。

もちろんメーカーが打ち出しているイメージ=着用モデルに体型が近しい人たちがファンになりやすい、というのはありますが、憧れと現実にはギャップがありますし、どんなにデザインが素敵でも、サイズがあっていない服はセンス以前の問題になってしまいますよね。

ブランドの世界観には共感しているが、提供サイズが原因で別ブランドに流れている「ポテンシャル層」を認識する必要があります。

サイズに対するこだわりにどこまで対応できているか

「ジャストサイズ」の定義もさまざまで、一般的な目線での「相場的なサイズ感」と、個人それぞれの好み、大衆からあえてハズして一歩先をいくサイズ感まで、ファッション感度が高い消費者ほどこだわりが強い傾向にあります。

該当サイズの展開がない、展開はあったが十分な在庫を準備できなかったことによる機会損失は、声を上げないサイレント層も多く、ブランドにとって大きな課題です。

可変要素を加えることで売上がどこまで変化するか

ひと昔前は商品をトレンドにヒットさせれば売上がタテに伸びていく時代がありましたが、消費者が成熟し、好みが多様化するにしたがい、展開アイテムを増やす(ヨコに拡げる)ことが売上を伸ばすための重要なポイントになっています。

せっかく企画して製造したひとつのアイテムに対して、選んでいただけるお客様の数をできる限り最大化することが、売上をアップする上においてはもっとも省力的かつ効率的な一手かもしれません。

商品にさらなる価値をアドオンするために

大手SPAメーカーはもちろん、異業種からの算入や、個人のD2Cブランドなども混在し、アパレル業界はより多くのプレイヤーがしのぎを削る戦国時代の様相となっています。

ひとたび価格競争に巻き込まれてしまうと、商品自体の作り込みにも妥協がおよび、ファンが離れていくマイナスのスパイラスにも陥りかねません。

商品のデザインやクオリティを落とさずに、選んでもらうための要素を付け加える=購入を断念する要素をできる限り減らしていくことが、まず手始めに着手すべき検討事項かもしれません。

お好みで可変できる要素を残した商品ストック

展開サイズにおける機会ロスへの対策として、ジーンズ等の裾上げサービスがあります。
ウエストやヒップ等は構造上改変が難しいため、既製の展開として可能な限りサイズを揃え、掛け合わせとなる股下寸=足の長さについては、購入者や好みに合わせて加工する手法です。

千差万別な消費者の体型に対して、メーカー側の設計と在庫の負担を極小化しながら、売上を最大化する方法として、従来からスタンダードなサービスとして定着しています。

パンツの股下以外にも、スカートの丈、トップスの着丈、袖の長さなど、購入後のカスタマイズを前提で在庫を持つことができれば、製造の細分化を抑えられるのはもちろん、高価格帯の商品ほど、こだわり層の購買率アップが期待できます。

自分好みにカスタマイズできる、という価値を付与することで、ファンに対して新たなワクワク感を醸成することにもつながります。

古着とカスタマイズ

若者を中心に再来している古着ブームにおいても、サイズのカスタマイズが売上に大きく寄与する可能性があります。

古着はもともと一点物の性格があるため、気に入ったデザイン×状態×サイズ感の掛け合わせ難易度が高く、気に入って購入する確率が大量生産のPB品と比べて格段に低下します。

この一点物との出会いが醍醐味とも言えますが、「サイズ以外は申し分ない」商品ゾーンも多分に存在するのが現実です。

状態に関しても、貴重な年代物ほどダメージが大きく、高価格帯がコレクション化する要因にもなっています。

サイズがカスタマイズでき、気になるダメージは補修できる前提がお客様に認知されれば、購入のハードルは大きく下がることが予想されます。

時間が醸成する豊かな体験

オーダーメイドやカスタマイズ、壊れたものを修理するには時間がかかります。時間がない、忙しい、すぐ買ってすぐ着たい、気に入らなければ安いから捨てればいい。即興性のファストファッション文化は、地球環境への負担もさることながら、「素敵なものを楽しみに待つ」という文化も毀損しているかもしれません。

完全オーダー品でなくとも、パーツやサイズを選べるカスタムオーダーを利用したことがある方でしたら、注文して届くまでの「豊かな待ち時間」を、商品を手に入れる喜びとは別に感じたことがあるのではないでしょうか。

体験(UX)はスマートに

オーダーメイドやカスタマイズが一般に浸透しない理由として、面倒そう、時間がかかりそう、持ち込む手間、などがあります。

お店に裾上げを依頼する場合も、即日受取ができないと再来店、数時間後の仕上がりでも、周辺で暇を持て余してしまう懸念から、購入自体を断念してしまうケースが多くあります。

オンラインで購入するとなおさら、自分でお直し先を探さねばならず、追加の費用や手間を勘案していくうちに、購入後の満足感は急速に低下していきます。

わかりやすくスムーズに依頼できるオンラインUXや、使う用事にあわせて仕上がりの納期を選べたり、購入したECショップから自宅に届く間にお直しが完了しているなど、
購買体験の本質を見つめ、従来からあるサービスにオンラインの利便性をかけ合わせることで、広くたくさんの人に届く新しい価値に昇華できます。

「自分専用」を手にする満足感

スーツなどでは一般的なカスタムオーダー、着付けにより個人にあわせる日本の着物、富裕層のオートクチュールなど、ハレの日やオフィシャルな場においては重視されるサイズ感ですが、フィットした洋服を着ることによる心地よさは、日常においても対外的な自信につながり、しいては自分自身を大切にすることにもつながる、洋服のもたらす大きな力ではないでしょうか。

ブランドやアパレルショップがお客様に対して「体型や好みにあったサイズ感の洋服を着て一日を過ごすこと」の素晴らしさをもっと気軽に提供できるようになれば、QOL(生活の質)を高めることができる豊かな消費行動として、ファッションが再注目される日も近いと思います。

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fitu WEBサイト


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