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介護は情報力~介護保険サービス以外にも色々ある!使える制度~

この記事に「介護は情報力」というタイトルをつけたのは、介護するにあたって知らないと損することが沢山あると痛感するからです。その一つに、介護者・要介護者の経済的負担を軽減する様々な制度の存在があります。

これらの制度は、ただ待っていても教えてもらえるものではありません。基本的に、患者と家族の側が自ら尋ねないと教えてもらえないことが多いので、介護が必要になったらまず何か使える支援制度がないか、役所の福祉課や包括支援センター、かかりつけ病院のソーシャルワーカーさんなどに聞いてみましょう。

なお障害福祉の制度については介護保険のケアマネさん(介護支援専門員)よりも障害者のケアマネさん(相談支援専門員)のほうが詳しいです。お住まいの地域に基幹相談支援センターがあれば、そちらに問い合わせてみましょう。

病状が重くなったり、入院などで多額の医療費がかかる時などにも、新たに使える制度があるかもしれませんので、あらためて相談してみるとよいと思います。その時々の状態や年齢に応じて、案内される制度も違ってきますし、制度自体も新しくなっていくので、折に触れて情報収集していくことが大切かなと思います。

介護といえば誰もが思い浮かべる介護保険サービスについては、この記事では割愛し、その他の使える制度についてご紹介していきたいと思います。


●高額介護サービス費

1カ月間で負担した介護サービス費の利用料が一定額を超えた場合、超えた分が後日返金されます。自己負担額の上限は収入によって変わります。市区町村の介護保険担当窓口で申請します。


●介護保険負担限度額の認定

住民税非課税世帯で、預貯金などの資産が夫婦で2000万円以下(単身者は1000万円以下)の場合、介護保険施設などの食費や居住費負担が軽減されます。自己負担額の上限は、所得などによって変わります。市区町村の介護保険担当窓口で申請します。

●高額療養費制度
医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担額が1カ月単位で一定額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分が後日、加入している医療保険から払い戻される制度です。上限は年齢と収入によって変わります。
医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、下記の「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。保険証に記載してある保険者に申請します。


●限度額適用認定証
入院するためにあらかじめ医療費が高額になることがわかっている場合は、事前に加入している医療保険に申請すると「限度額適用認定証」が発行され、窓口での支払いを自己負担額限度額までにすることもできます。また、払い戻しされるまでに無利子で借りられる「高額療養費貸付制度」という制度もあります。


●高額医療・高額介護合算療養費

一年間の医療保険と介護保険における自己負担の合算額が著しく高額になる場合に、超過分が払い戻されます。高額介護サービス費や高額療養費制度が「月」単位で負担を軽減するのに対し、高額医療・高額介護合算療養費制度は「年」単位でそれらの負担を軽減する制度です。市区町村の介護保険担当窓口で申請します。


●医療費控除(介護保険)

訪問介護サービスの自己負担額から、保険で補填される分を差し引いた額が最大200万円控除されます。また通常の治療費や薬代の他、保険適用外の医療費や通院時の交通費、薬局等で治療を目的として購入した市販の薬代なども医療費控除の対象となります。確定申告の時に税務署に申請します。


●難病の医療費助成制度

難病には多くの疾患が指定されていますが、例えばパーキンソン病や進行性核上性麻痺などの他、認知症の中でも前頭側頭型認知症が難病に該当します。指定難病をお持ちの方は、難病医療受給者証の交付を受けることで医療費の助成を受けることができます。また、指定難病をお持ちの方は障害者手帳を取得しなくても、後述する障害福祉サービスを利用することができます。都道府県・指定都市の窓口に申請します。

なお、自治体によっては難病患者に対して、独自の支援制度を設けている場合があります。額は自治体によって様々ですが、年数万円程度の指定難病見舞金を出しているところも多いようです。お住いの自治体の役所に問い合わせてみましょう。


ちなみに、難病の診断を受けていても病状が基準を満たさず、難病の認定が得られなかった場合も、医療費の総額が33330円に達する月が年3回以上あれば、医療費の助成を受けられるという「軽症高額該当(けいしょうこうがくがいとう)」という制度もあるようですので、認定が得られなかったとしても諦めずに、医療費等の領収書は全て取っておきましょう。


●特別障害者手当
在宅介護を受けている人のうち、精神や身体に重度の障害があって日常生活において常時介護を必要とする20歳以上の人に、月額27,350円(令和2年4月から)が支払われます。障害者手帳を持っていなくても申請できますが、所得制限があります。市区町村の障害・福祉に関する窓口で申請します。


●自立支援医療制度
認知症などの精神疾患があり、継続的な通院の必要性が認められている人が申請できます。外来や外来での投薬、デイケア、訪問看護などを含め、精神科医療に関わる医療費の自己負担額が1割になる可能性があります。ただし通院に関わるものが対象であり、入院費には適用できません。市区町村の障害・福祉に関する窓口で申請します。



●障害者手帳

認知症の症状が重くなってくると、日常生活に様々な支障が出てきます。そのため状態によっては、精神障害者手帳を申請できる場合があります。また脳血管性認知症などで麻痺が残ったり、身体に障害がある人は、身体障害者手帳を申請することができます。障害者手帳があることにより、公共機関や公共交通機関の割引、税金の控除や減免などを受けることができます。また自治体によっては医療費の助成をしていたり、タクシー券の交付をしてくれるところもあります。市区町村の障害・福祉に関する窓口で申請します。


また障害者手帳を取得することで、国や自治体が提供する様々な障害福祉サービスを利用できるようになります。これらは、特にまだ介護保険が利用できない年齢の方にとっては心強い制度です。

なお、介護保険が使える方で同様のサービスがある場合は、基本的に介護保険の適用が優先となります。介護保険にないサービスとして、同行援護などの外出支援や、様々な就労支援があります。若年性認知症などでまだご本人が若く、就労に意欲がある場合、こうした形での再就職を目指すことも可能です。また、重度の身体障害や知的障害・精神障害があったり、難病や四肢欠損などで常に介護が必要な状態の方には、24時間対応の介護サービスが1割負担で受けられる「重度訪問介護」というサービスもあります。


なお、元々障害福祉サービスを利用されていた方が、65歳を機に介護保険利用に移って一気に自己負担が増えることがありますが、低所得者の方の場合は、「新高額障害福祉サービス等給付費」という制度があります。対象者は、一旦介護保険の利用者負担(原則は介護報酬の1割)を払った後、障害福祉制度から償還されることで、自己負担がゼロになる、という制度です。

支給の要件としては、所定の障害福祉サービス(居宅介護、重度訪問介護、生活介護など)を連続して5年以上利用していること、障害支援区分が2以上であること、65歳以降は介護保険の訪問介護や通所介護など所定のサービスを利用すること、などがあります。


 

●障害年金

病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。障害の状況や年金の納付状況など、いくつかの条件があります。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、初診時に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

なお、老齢年金との併給は基本的にできず、障害基礎年金+障害厚生年金、老齢基礎年金+老齢厚生年金、障害基礎年金+老齢厚生年金の三つの組み合わせのみが可能です。
また、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、下記の障害手当金(一時金)という制度があります。どちらも年金事務所または年金相談センターに申請します。


●障害手当金(厚生年金)

病気やケガで障害者となった際に、障害の程度が軽い場合に一時金がもらえる制度のことです。これは障害厚生年金制度にのみにある制度です。一定期間保険料を納付していることなど、いくつかの条件があります。年金事務所または年金相談センターに申請します。


●傷病手当金

健康保険の被保険者が病気やケガが原因で会社を休んでいる期間に、会社から充分な報酬がもらえない場合に、手当金が支給される制度です。一年間以上、健康保険に加入している必要があります。加入している医療保険の保険者に申請します。

なお、傷病手当金以外に年金や障害手当金を受け取る場合は、二重取りにならないよう額が調整され、場合によっては不支給になることもあります。


●介護休業給付金(雇用保険)

常時介護の必要がある家族を、二週間以上にわたって介護するために休業した場合に申請できます。ただし、休業前の二年間に、計12か月以上の被保険者期間が必要です。ハローワークに申請します。


●生活福祉資金貸付制度
所得が少ない人や障害がある人の生活を経済的に支える貸付制度です。銀行などに比べて、低金利で借りることができます。現在、新型コロナウイルスの影響で生活が困窮している人にも対象を拡大しています。市区町村の社会福祉協議会で申請できます。


●家族介護慰労金

介護保険サービスを利用せず、自宅で1年以上にわたって要介護4~5に認定された要介護者を介護している家族に対して、自治体から年額10万円~12万円が支給される制度です。実施の有無や細かい条件は、自治体によって差があるようなので、役所の福祉担当の窓口に問い合わせてみましょう。なお、この制度は積極的に利用するものというよりは、本人の拒否が強いなどの事情でどうしても介護保険サービスを利用できない場合に、やむを得ず申請するものと考えたほうが良さそうです。


●生命保険の高度障害(民間)
生命保険には多くの場合「高度障害特約」がついています。被保険者が認知症になり、それが高度障害と認定された場合、死亡時と同等の保険金が支払われることがあります。ただし、生命保険会社や加入したときの約款によって高度障害の基準は異なるため、詳しくは保険会社に確認してみてください。


●住宅ローンの支払い免除
金融機関で住宅ローンを組むにあたって、大抵は団体信用生命保険への加入が条件となります。その場合、返済途中で契約者が死亡、もしくは高度障害になった時には、本人に代わって団体信用生命保険が残りのローンを支払います。高度障害に認知症が含まれるかどうかは金融機関によって契約内容が異なるので、借入先に確認してみてください。

●高齢者住宅改修助成制度(介護保険)

バリアフリーのための改修費が最大18万円助成されます。要支援・要介護認定を受けている必要があります。市区町村の窓口で申請します。

●特定増改築等住宅借入金等特別控除

バリアフリー工事にあたって住宅ローンを組んだ場合、所得税が控除される場合があります。確定申告の時に税務署に申請します。

●特定福祉用具販売

要支援・要介護認定を受けた人を自宅で介護するのに必要な福祉用具の購入が一割負担になります。上限は年10万円です。市区町村の窓口で申請します。

●紙おむつなど消耗品の購入の補助

要支援・要介護認定を受けた人の介護に必要な消耗品の購入が補助される場合があります。対象の物品は、自治体によって異なります。市区町村の窓口で申請します。


いかがでしたでしょうか。

これが全てというわけではなく、もしかしたら他にも私の知らない支援制度があるかもしれませんし、自治体によっては独自の支援制度を設けているかもしれませんので、ぜひお住まいの自治体の役所や包括支援センターに詳しく尋ねてみてください。

また、私は制度の専門家ではありませんので、もしかしたら調べた内容の理解に誤りがある可能性もあります。もし何かお気づきの点や、補足などありましたら、コメント欄よりご遠慮なくご指摘頂ければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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    https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r5k/covid-19_donation.html



参考サイト:

「介護する&される人が使える制度9種」マネーポストWEB


「認知症になったら使える制度 医療費の負担を減らすには」なかまぁる

「認知症になったら使える制度 障害者手帳や生活保護などを解説」なかまぁる

「誰も知らない65歳の壁。障害→介護で自己負担軽減措置制度が?」ケアマネ介護福祉士のブログ

「【元MSW解説】難病になった時|もらえるお金は?使える仕組みは?」カモミールの家




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