尚子

二人の娘を育児しながら認知症の両親のサポートをする日々を送っています。 両親が認知症に…

尚子

二人の娘を育児しながら認知症の両親のサポートをする日々を送っています。 両親が認知症になり、長らく住んできた家を離れることに。2023年の夏で、入居から早2年が経ちます。認知症の始まりから実家の後始末まで、目まぐるしく起こったあれこれを綴っていきたいと思います。

最近の記事

痛ーーい!!

■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(6) 周囲には誰もいなかったので、処置室のドアに耳をピタリとくっつけ、何とかして中の様子を伺おうとする。 わずかに医師や看護師の声が聞こえる。 11:30 縫い始めている様子。 母 「これ、わたしの時計です。わたしのです! …痛ーーい!!」 医師「針刺さってるの、痛くないですか?」 母 「痛いよ、でも…」 医師「針は痛くない?」 母 「針は大丈夫… 痛――い!! 髪の毛…」 医師「針痛

    • 薄い壁一枚

      ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(5) 11:15 看護師さんに外で待っていてくださいと言われ、廊下に促される。 尚子 「え! ここで縫うんですか?」 看護師「はい。」 てっきりどこか手術室に移動して行われるのかと思っていたら、この処置室でそのままとは。 驚きつつ退室し、看護師さんにドアを閉められる。 こんな薄い壁一枚を隔てた奥で母の縫合手術が行われると思うと、ソワソワしてとてもじっとしていられない。 大丈夫だろうか。

      • ほのぼの

        ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(4) その後しばらく救急車内で待たされ、次回から転院希望していたS病院に搬送先がやっと決まる。 施設長さんは救急車を降り、これ以降はわたし一人が付き添うことに。 10:08 別荘を出発 車中で母の手を握り、声をかける。 こちらの心配をよそに、「尚ちゃん? いま来たの?」などとほのぼのとしている。 これだけの傷を負ってもなお、痛みは感じないのだろうか? 驚異的。 10:20 S病院 到着

        • ブリの解体ショー

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(3) 肝心の母の姿が見当たらないので尋ねると、救急車の中に運ばれているという。 エントランスを出て急いで駆け付ける。 救急隊員さんにドアを開けてもらうと、ストレッチャーに横たわっている母と、横の椅子に施設長さんが座っていた。 母の顔を覗き込んで声をかけると、うっすらと反応してくれる。 意識があることが分かってホッとする。 「尚子だよ!!」と何度も呼びかける。 わたしのことも何とか認識できて

        痛ーーい!!

          ハの字

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(2) 別荘近くのバス停で降り、また猛ダッシュで別荘に着いたのが9:30頃。 先ほど横切って行ったと思われる救急車が停まっていた。 向かいには消防車も停まっている。 何か関係あるのだろうか? 消防車を横目に急いでエントランスに向かうと、スタッフさんがタオルで一生懸命窓ガラスや床を拭いていた。 タオルは真っ赤になっている。 母の血だ。 床にも赤茶色っぽい水たまりのような跡ができている。 わ

          母の救急車

          ■2023年(両親81歳) 11/23  母、エントランスで転倒 続き(1) とりあえず旦那さんに電話する。 「美容院なんていつでも行けるんだから、早く(別荘に)行ってあげな!」 と言われ、目が覚める思いがする。 そうだ、こんなところで茫然としている暇はない、すぐに駆け付けなくちゃと スイッチが入る。 これからしばらくの子守をお願いし、電話を切ろうとした瞬間、背後からサイレン音が近づいてきた。 そしてその音は最大音でわたしの横を通り抜けていった。 「あ! こ

          母の救急車

          母、エントランスで転倒(10回目)

          ■2023年(両親81歳) 11/23 母、エントランスで転倒(転倒10回目) 9:22 別荘より着信あり。 母がエントランスで窓越しに外を眺めている時に転倒したとのこと。 母が転んだ瞬間は誰も見ておらず。 左の後頭部が3センチほど切れて大量出血していると。 肩から右肘にかけての痛みが強いようで、痛がって暴れているとか。 救急車を呼んでいるので、別荘まで至急来てほしいと言われる。 大量出血だなんて。 頭が真っ白になる。 この日は美容院の予約をしていて、ちょうど家

          母、エントランスで転倒(10回目)

          転ばないでね

          ■2023年(両親81歳) 11/20 母の妹、二女、三女と訪問 11時頃 母の妹は約5カ月ぶりの訪問。 先月末の入院も心配だったのだろう。 忙しい合間を縫って足を運んでくれた。 前回は皆で居室に移動してゆっくりと過ごせたが、今やもう父の移動が難しい。 食堂の椅子に腰掛けている両親のところで久々の再会時間を持つ。 両親に、繰り返し母の妹が来てることを説明するも、ちゃんと伝わっているかどうかは怪しい。 母の妹も二人に一生懸命話しかけているが、ちぐはぐな会話が

          転ばないでね

          カラーリングについて

          ■2023年(両親81歳) ※11/18手帳メモより 「母さん久々に黒髪! 若返って良かった! が、しかし!! 「これで最後かな」とスタッフさんに言われる。 本人にとっても負担が大きいと。 うーむ。それは分かるが何とかならないものか…。 そりゃあ本人からしたら、カラーしてもしなくても何も変わらないかもしれないが、わたしにとってはカラーの効果はとても大きい。 一番近くで見守る者として、カラー後のさっぱり若返った母さんの姿を見るとモチベーションアップするというか、

          カラーリングについて

          これで最後かな

          ■2023年(両親81歳) 11/18 単身で訪問 17:00頃 確か車中で娘たちが寝てしまい、わたしだけ車を降りて束の間会いに行ったんだったかな。 この日は訪問理美容が入った後で、二人とも散髪してさっぱりしていた。 母の白髪もきれいに黒くなり、若返って良かった。 「お母さん! きれいになってよかったわぁ!」と喜んでいると、スタッフさんがくぐもった表情で「これで最後かな」と言う。 ? 何のことかと思えば、母のカラーリングは今回が最後だという。 え?

          これで最後かな

          前進の一歩目

          ■2023年(両親81歳) 11/15 10:00 母 T病院 神経内科 T医師 診察 続き 母は、行きの車中では結構はっきりしていて会話も通じやすかったが、帰りは病院の外に出るなり、外気の冷たさ、強風に驚き、たちまち院内へ引き返そうとする。 帰ろうと促しても抵抗姿勢。繰り返し促すと、やや怒り気味で抵抗される。 困った。 足が竦んでどうにも前進の一歩目が出ない。 これではとても駐車場まで歩いてもらえそうにない。 仕方ないので、受付に相談して入り口のところまで車を

          前進の一歩目

          転院

          ■2023年(両親81歳) 11/15 10:00 母 T病院 神経内科 T医師 診察 前回診察の続き。 先週まで一過性脳虚血発作を起こし入院していた旨を伝える。 入院中、血圧が上がってしまったので退院時に降圧剤を処方されていた。 その点について、脳梗塞直後は血圧が一時的に上がると教わる。 降圧剤が効き過ぎで血圧低下してしまうと危険なので降圧剤を減量するとのこと。 次回以降、S病院に転院したい旨を相談する。 T医師はS病院も掛け持ちで診察を行っており、S病院の

          若さの秘訣

          ■2023年(両親81歳) 11/14 孫の晴れ姿披露 続き 母にも声をかけ、車いすを押して父の隣に来てもらう。 やや硬い表情。 三女の七五三のことを伝えると、「そう」と少し笑ってくれた。 皆で両親を囲み、記念撮影をする。 その間も父はお構いなしで、三女を抱っこしようと着物を引っ張り放題。 気が気じゃない。 母の目の前に二女が近寄ると、母は両手を伸ばし、二女の手を握る。 そして自然とやわらかい表情になる。 やはり孫の力はすごい。 旦那さんのお義母さんは両

          若さの秘訣

          孫の晴れ姿

          ■2023年(両親81歳) 11/14 旦那さんのお義母さんも一緒に皆で訪問 9:00頃 この日は三女の七五三ということで、孫の晴れ姿を両親に披露すべく、お参り前に皆で向かう。 父は食堂の椅子に、母は車いすに座っていた。 三女が晴れ着姿で二女と一緒にキャッキャと騒ぐ。 スタッフさん、他の入居者さんが「まぁ、かわいいわねぇ」と和んでくれる。 父、娘たちの姿を見て顔がほころぶ。 とても嬉しそう。 七五三の晴れ着とは認識できてはいないが、ひらひらした着物の触り心地に

          孫の晴れ姿

          まだ2年

          ■2023年(両親81歳) 11/12 父 81歳 誕生日 続き 皆で母を囲んで写真を撮ってから食堂に戻ると、父が上体を右に傾け眠ってしまっていた。 さっきまで起きていたのに! 脇腹には黒いクッションが挟まれていた。 残念な思いだが、眠ってしまった父の周りに娘たちに集まってもらい、誕生日の記念撮影をして帰る。 ※11/12手帳メモより 「父さん祝81歳! 何とか迎えられて本当に良かった!! もう最近はずーっと椅子に座ってて歩いている姿が見られない。 一緒に居室

          まだ2年

          父、81歳

          ■2023年(両親81歳) 11/12 父 81歳 誕生日 4人で訪問 11:30頃 父、1F食堂の椅子に座っていた。 娘たちお手製のバースデーカードを渡し、父の誕生日を祝う。 娘たちと触れ合い、嬉しそうな父。 笑顔が出る。良かった。 母はふらつきが強いとのことで、1F宿泊室に横になっていた。 目を見開いて天井を見つめている。 「今日はお父さんの誕生日だよー!」と話しかけると、何やらよくしゃべってくれた。 しかし、もしゃもしゃとした語り口であまり活舌が良く

          父、81歳