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痛ーーい!!

■2023年(両親81歳)

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母、エントランスで転倒 続き(6)

周囲には誰もいなかったので、処置室のドアに耳をピタリとくっつけ、何とかして中の様子を伺おうとする。

わずかに医師や看護師の声が聞こえる。

11:30 縫い始めている様子。

母 「これ、わたしの時計です。わたしのです! …痛ーーい!!」

医師「針刺さってるの、痛くないですか?」

母 「痛いよ、でも…」

医師「針は痛くない?」

母 「針は大丈夫… 痛――い!! 髪の毛…」

医師「針痛かったら教えてくださいね。」

母 「痛い、痛い、痛い、痛――い!!」

医師「もうあと一回でおしまいですよ。」

母 「やめて、ちょっと。押さないで。(動いて抵抗している様子)もう帰る!」

医師「左手を離してください。」

母 「痛い! 痛いって言ってんのに!!」

医師「もうおしまいですよ。頭濡れてて気持ち悪いね。まだ痛い? 痛くないね?」

母 「痛い。」

医師「頑張りましたね。」

母の頭が縫われている間の一連のやりとりを、手に汗を握る思いで聞く。

ガサガサと音がしドアが開けられそうな気配がしたので、慌てて壁から耳を離し、向かいの待合椅子に腰掛ける。

耳から聞こえてくる音に全神経を集中させていたので、どっと疲れを感じる。

母と一緒になって痛みを味わったような気分になる。

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