痛ーーい!!
■2023年(両親81歳)
11/23
母、エントランスで転倒 続き(6)
周囲には誰もいなかったので、処置室のドアに耳をピタリとくっつけ、何とかして中の様子を伺おうとする。
わずかに医師や看護師の声が聞こえる。
11:30 縫い始めている様子。
母 「これ、わたしの時計です。わたしのです! …痛ーーい!!」
医師「針刺さってるの、痛くないですか?」
母 「痛いよ、でも…」
医師「針は痛くない?」
母 「針は大丈夫… 痛――い!! 髪の毛…」
医師「針痛かったら教えてくださいね。」
母 「痛い、痛い、痛い、痛――い!!」
医師「もうあと一回でおしまいですよ。」
母 「やめて、ちょっと。押さないで。(動いて抵抗している様子)もう帰る!」
医師「左手を離してください。」
母 「痛い! 痛いって言ってんのに!!」
医師「もうおしまいですよ。頭濡れてて気持ち悪いね。まだ痛い? 痛くないね?」
母 「痛い。」
医師「頑張りましたね。」
母の頭が縫われている間の一連のやりとりを、手に汗を握る思いで聞く。
ガサガサと音がしドアが開けられそうな気配がしたので、慌てて壁から耳を離し、向かいの待合椅子に腰掛ける。
耳から聞こえてくる音に全神経を集中させていたので、どっと疲れを感じる。
母と一緒になって痛みを味わったような気分になる。
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