見出し画像

ブリの解体ショー

■2023年(両親81歳)

11/23 
母、エントランスで転倒 続き(3)

肝心の母の姿が見当たらないので尋ねると、救急車の中に運ばれているという。

エントランスを出て急いで駆け付ける。

救急隊員さんにドアを開けてもらうと、ストレッチャーに横たわっている母と、横の椅子に施設長さんが座っていた。

母の顔を覗き込んで声をかけると、うっすらと反応してくれる。

意識があることが分かってホッとする。

「尚子だよ!!」と何度も呼びかける。

わたしのことも何とか認識できている様子。

施設長さんからも改めて報告を受ける。

頭からとにかくものすごい出血だったので、これはもう即救急車だということで、往診も何も連絡する隙もなく救急車を呼んだそう。

母が飲んでいる動脈硬化予防のアスピリンの影響で、出血時は余計に血が溢れてしまい、その大量出血具合にスタッフさん一同動揺してしまったとか。

数日前にブリの解体ショーが別荘内であり、「その時は美味しい美味しいと、たくさん召し上がっておられました」というエピソードも聞く。

途端、母がブリのお刺身に舌鼓を打っている絵が頭に浮かび、胸が締め付けられる思いがする。

今やこんな痛々しい姿になってしまって。

転倒が心の底から悔やまれる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?